見出し画像

TAKUMAR 標準レンズ撮り比べ(逆光編)

前回に引き続き旭光学(現リコー)のTAKUMAR標準レンズを集めて撮り比べてみました。

前回は生花を被写体に選び主にカラーバランスの違いを比較しましたが、今回はゴーストやフレアの出方の違いを比較してみました。

前回同様、かなり大雑把な比較ですがご容赦ください。


光源に太陽光ではなく人工照明を使って三脚を構えて撮影した方が違いがはっきり分かると思うのですが、屋外での撮影で写りを確認しながらの方が感覚的に分かりやすいかと思いまして太陽光を使いました。

カメラは Nikon Zf 、すべて絞り開放での撮影です。

これぞ正しくオールドレンズ

まずは Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)の写りをご覧ください。

ド逆光の林  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

前回詳述しました通りこのレンズは8枚玉でTAKUMARの標準レンズの中で最も人気の高いレンズです。

TAKUMAR 標準レンズ撮り比べ(生花編)|Takahiro@明け方の民の調べ

このレンズは奇麗なゴーストやフレアが出やすくしかもレンズの変色が無いためカラーバランスが良いというのが人気の理由だと思われます。

単層コーティングですので逆光耐性は高くありませんが、逆にそれがオールドレンズの魅力を引き出す要因になっているようです。

公園内のレストラン  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

TAKUMAR 特有の緩い感じの写りです。

このレンズに限らず、他の F1.4やF1.8の Auto-TAKUMAR、Super-TAKUMAR
 でも同様の写りを楽しめます。

PENTAX伝統の写り

今回は比較対象から外れている smc PENTAX FA50mm F1.4 もこんな感じでして、旭光学の時代から受け継がれている伝統を感じます。

PENTAX K1改+FA50mmF1.4 実写|Takahiro@明け方の民の調べ

PENTAX(ペンタックス) smc PENTAX-FA50mmF1.4 実写レビュー | フォトヨドバシ

PENTAX K1 に取り付けると爆速オートフォーカスが利用できる現代のレンズですが、光学系だけオールドのままなのが不思議です。

このレンズは今も手放さずに持っておりますので一度機会を見つけて比較してみたいと思います。

ボケを味わう

絞りを開放かそれに近いところに設定して前ボケ後ボケを積極的に使うことでオールド感満載の写りになります。

ボケ感を見るためピント位置を変えて3枚撮影してみました。

画面中央にピント  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

ベンチより少し手前の画面中央付近にピントを合わせるとこんな感じで十分にオールド感が出ておりますが、ピント位置を前後にずらすとこれが更に強調されます。

画面下にピント  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

画面の下の方の落ち葉にピントが合っていて、それ以外は後ボケしています。

画面中央の落ち葉がいわゆるバブルボケ状態でしかも全体にうっすらとフレアがかかっていてメルヘンチックです。

画面上にピント  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

今度はピント位置を公園の向こう側の道(画面上)に持ってきてみました。

これはもう完全にメルヘンの世界です。

手前の落ち葉がぐるぐるボケで、ベンチや遊具の光が崩れ全体にうっすらフレアがかかっていて、まるで夢の中のような映像になりました。

ここは良くないところ

枝が紫  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

画面中央の木の枝と空の境界にパープルフリンジが目立ちます。

中央部拡大  Super‐TAKUMAR 50mm F1.4(前期型)

もう少し絞ればましになると思いますが、

「何とかとオールドレンズは使いよう」

で、開放付近を使用する場合はこういうのが目立たない撮り方をしないといけませんね。

画像処理で取れるのかもしれませんがよくわかりません。

虹色ゴースト比較

逆光で発生するリング状の虹色ゴースト これが TAKUMAR の人気の要因の一つだったりしますので、ゴーストの違いがどの程度か比較してみました。

ただし太陽の位置や気象条件は常に変化しますので全く同じ条件で撮影することは不可能でして、あくまで傾向を掴む程度の比較となります。

始めにレンズの画像、次にそのレンズで写した画像と続きます。

Auto-TAKUMAR 55mm F2.0
Auto-TAKUMAR 55mm F1.8
Auto-TAKUMAR 55mm F1.8(後期)
Super-TAKUMAR 55mm F1.8(前期)
Super-TAKUMAR 55mm F1.8(後期)
Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm F1.8
SMC-TAKUMAR 55mm F1.8

こちらは分解清掃中のためテスト画像がありません。

Super-TAKUMAR 50mm F1.4(前期)
Super-TAKUMAR 50mm F1.4(後期)
Super-Multi-Coated TAKUMAR 50mm F1.4

私が塗装したのでシルバーに変身しておりますが元々はブラックです。

SMC-TAKUMAR 50mm F1.4

好みの問題もありますし撮影条件やレンズの状態(カビ、クモリなど)が大きく影響しますので結論めいたことは言えませんが、なんとなく次のようなことが言えそうです。

  • Auto-TAKUMAR、Super-TAKUMAR は逆光でフレアが出やすく暗部が白っぽくなりやすい

  • Super-Multi‐Coated や SMC は逆光でフレアが出にくくリングも控えめ

アトムレンズの黄変問題

あと、前回も書きましたが Super-TAKUMAR 後期 以降のF1.4のレンズは黄変の度合いが強いものが多いためか、今回の写真でも全体に緑が強く出る(青に黄色が混ざっている)傾向にあるようです。

F1.8はアトムレンズ1枚なのに対し、F1.4にはアトムレンズが2枚入っていて、より黄変の影響を受けやすいのかもしれません。

黄変が強いレンズを使用する際はカラーバランスの補正を行った方が良さそうです。

今回使用した機材

最後に今回使用したカメラとアダプターをご紹介します。

カメラは前述の通り Nikon Zf で、これにアダプターを2つ付けてレンズを取り付けています。

カメラ側が TECHART TZM‐02 という電子接点付きのアダプターで、レンズをモーターで前後に動かすことでマニュアルフォーカスのレンズを無理やりオートフォーカスで使う機能が付いています。

少しもたつくことがありますがちゃんと顔認証もしてくれます。

このアダプターのレンズ側は Leica M マウントになっており、ここに M42 変換アダプターを取り付けてから TAKUMAR レンズを取り付けています。

今回は TAKUMAR ですのでM42変換アダプタ―ですが、これを別のアダプターに取り換えることで様々なマウントのレンズに対応できます。

こんなことができるのは Nikon が世界最短フランジバックのミラーレス機を出してくれているお陰で、これが無かったらおそらく Nikon を使っていなかったと思います。

おしまい

最後までご覧いただきありがとうございました。この投稿が良かったと思われた方はスキ❤をぽちっとお願いします。コメントお待ちしております。

いいなと思ったら応援しよう!