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PENTAX SP 実写 露出計の調整
書きたいことはたくさんあるのですが、焦点が定まらず悩んでいるうちにnoteの更新が遅れてしまいました。
そうこうしているうちにフィルムカメラで撮影した写真が出来上がりましたので、今回はその出来栄えをご覧に入れながらウンチクを述べてみたいと思います。
フィルムカメラブーム?
スマホやデジカメ全盛の時代ですが、なぜかフィルムカメラは根強い人気があるようで、中古の一眼レフがヤフオクでたくさん出回っております。
使用したカメラとレンズ
使用したのはボディがPENTAX SP、レンズがSuper-Takumar 55mm F1.8です。
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1964年に発売され300万台の出荷台数を記録し日本製カメラが世界中で使われるきっかけを作った名機です。
持ってみると軽いし使いやすいし、それにカッコいいです。
カメラ、レンズ共にヤフオクでジャンク品を購入し撮影ができる状態に整備しました。
使用したフィルム
フィルムは FUJIFILM 400 という米国製のフィルムです。
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何らかの理由で通常の製品が品薄になっていたようで、これしか手に入りませんでした。
感度は名前が示す通りISO400ですので、PENTAX SPの設定をASA400に合わせました。
ただ、ISO400のフィルムですと晴天時の日中には絞りをかなり絞らないと撮影できませんので、ほとんどの撮影でND8減光フィルターを使用しました。
ところがこの減光フィルターが曲者でして、一眼レフで使用するとファインダー像がかなり暗くなってしまいます。
屋外の日中ではASA50から100くらいのフィルムでないと使いにくいです。
実写
デジタルとの比較
庭の紫陽花を撮ってみました。
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絞り開放で撮りましたが60年前のレンズとは思えない素晴らしい解像感です。
そしてこちらが同じレンズをNikon Zf(デジタル)に付け替えて撮影したものです。
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レンズは同じですがフィルムに相当するセンサーが異なりますので発色の仕方が全然違います。
デジタルの方が元の色を忠実に再現しているように思います。
感度を間違えてISO100に設定してしまいましたが、その分シャッタースピードが遅くなっておりますので露出は同じです。
ISO100と400の違いは無視してよいと思います。
次は構造物です。
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上がフィルムで下がデジタルですが、デジタルの方が露出を低めにしていて少し暗く写っております。
夕日が高架橋に当たっている状況ですので赤くなるのは分かるのですが、フィルムの方は派手目、デジタルは控えめという特徴がこれにも良く出ております。
デジタルが...というよりNikonの味付けが、と言った方が正確かもしれません。
発色以外の違いとしましては粒状感の違いで、PENTAX SPで撮った方はフィルムの粒子が見えます。
一方Nikon Zf(デジタル)で撮った方はどこまで拡大していっても粒々が見えてきません。
こういう発色の仕方や粒状感の出方がフィルムらしさを生み出しているのでしょう。
モノ中心の画像
なるべく色々な物を撮ってみました。
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この時は減光フィルターを持っていなかったためf16くらいに絞って撮影しております。
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こちらもf16くらいで撮っております。絞り開放病の私はf16など滅多に使うことはないのですが、こういう絵も悪くないですね。
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こういう場面を撮ると本当に絵のようになります。
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このレンズは逆光で撮ると虹色のリング状のゴーストが出ます。
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しっかり締まった黒が出るときとそうでない時との違いが良くわかりません。
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写真を撮り終わるまで待ってくれる人が居るのですが、この画像のように通り過ぎる瞬間を撮りたいときにそれをされると困ってしまいます。この時はうまく行きました。
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室内はこの画角だと厳しいです。
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影が青っぽくなってフィルムらしさが良く出ています。
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人物
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チラシ配りの応援に行った時に撮らせていただきました。お優しい笑顔と背景の柔らかいボケ感が良くマッチしています。重かったですがカメラ持って行って良かったです。
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こちらは茶話会で撮らせていただいたものです。このレンズの逆光耐性の弱さが良い雰囲気を出すのに一役買っています。
露出計の調整
ここからはメカの話ですのでご興味のある方はお読みください。
以前お伝えしました通り露出計は動くようになりましたが、このカメラに適合するH-B型の水銀電池が入手不能で代わりにLR41アルカリ電池を使用しております。
LR41は1.5V、本来使用するべきH-B水銀電池は1.3Vと電圧が異なるためそのままでは露出オーバーアンダーになってしまいます。
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トップカバーを開けると巻き戻しレバーの近くに可変抵抗があり、これをピンセットか何かの先で回して感度を調整する必要があります。
訂正:巻き戻しレバーを外すと小さい穴が現れ、そこからピンセットで可変抵抗を触れますのでトップカバーを開けなくても調整ができます。(2024年6月29日)
露出計があればそれに合わせれば良いと思いますが、普通ありませんので信頼のおけるデジカメの露出に合わせればよいかと思います。
私は Nikon Zf にPENTAX SP用のレンズ(Super-Takumar 55mm F1.8)を取り付けて露出を合わせこみました。
調整自体は簡単ですが、このカメラは一般ユーザーがトップカバーを開けられる仕様にはなっておらず、カバーを開けるにはシャッターダイヤルや巻き上げレバーなど軍艦部のパーツを全部取り外さなければなりません。
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カバーを開けるだけでも一般にはかなり大変な作業で、カバーを閉めて元通りにパーツを組み上げるのは更に大変です。
もしも挑戦されるのでしたら、こちらを参考に作業を行うと良いと思います。
Pentax SPの分解手順 ハイアマチュア向け - フィルムカメラ修理のアクアカメラ (aquacamera.shop)
万が一分解や組み立てに失敗してカメラが動かなくなっても、アクアカメラさんにお願いすれば何とかしてもらえると思いますよ。
このサイトはそのための仕掛けだったりして...
ペンタックスからフィルムカメラ新登場!
フィルムカメラが若い人にウケているのだそうで、ペンタックスからフィルムカメラが新登場してしまいました。
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その名もPENTAX 17 17は35の半分つまりハーフサイズということで36枚撮りフィルムなら72枚撮れるのです。
これならフィルム代が高くなった今もお財布に優しいですね。
その分画質は落ちるのですが、そこを氣にする人はデジカメを使いなさいと言うことなのでしょう。
価格が9万円近いのでどうかなと思いますけど、フィルムカメラ技術の継承の意味があるのだそうで、儲けは二の次なのかもしれません。
ハーフカメラが使いたいなら昔のオリンパスペンやキャノンデミの中古と言う手もありますね。
まとめ
今回は以上となりますが、最後に数十年ぶりにフィルムを使ってみた感想を述べたいと思います。
一言でいうと、「高い、面倒、でも面白い」です。
フィルムは安いものでも一本2千円前後、現像代やデータ化まで含めると36枚で3千円以上かかってしまいます。
しかも一回フィルムを入れたら感度の変更はできませんし色見を変えることもできません。
いちいち現像に出さないといけませんし、一本撮り終わって上がってくるまではどんな絵が撮れているか分かりません。
しかし、出来上がって来た絵が独特の色見になっていたりして、フィルムならではの意外性を楽しむことができます。
現像とデータ化をお願いしたカメラのキタムラの店長のお話では、スマホしか知らない若い人にウケているのだそうで、ジェットダイスケさん(レンズ沼の人)も同じようなことをおっしゃってました。
アナログ的なプロセスや見たことのない色合いに新鮮味を感じるのでしょうか。
「電池が無くても写真が撮れるんだー」というのは若い人には驚きであり、私には安心感を与えてくれます。
高すぎてしょっちゅうは撮れませんけど、次はリバーサルフィルムを使ってみたいです。
それと、キタムラに写真フィルムが置いていないと言うのは間違いで、あまり目立たないところに何種類か置いてありました。
おしまい
最後までご覧いただきありがとうございました。この投稿が少しでも良かったと思われた方はスキ❤をぽちっとお願いします。コメントお待ちしております。