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Tableau×生成AIによるプロジェクト管理の試み(ステークホルダーマネジメント編)


はじめに

「DATA Saber×PMBOK」という二つ名で活動している、TableauのDATA SaberのRyo Takahashiです。

このnoteでは、「Tableau×生成AIによるプロジェクト管理の試み」として、PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)の「ステークホルダーマネジメント編」をお届けします。生成AIを活用しステークホルダー分析を行い、それをTableauで可視化する方法を探っています。

プロジェクト管理やTableauにご興味のある方に、少しでもお役に立てる内容になればと思います。

そもそもステークホルダーマネジメントって何?

一言で言うと

ステークホルダーとは、プロジェクトに影響を与える、またはプロジェクトから影響を受けるすべての人や組織を指します。例えば、プロジェクトチームのメンバー、クライアント、上層部、さらには外部の関係者まで含まれます。
それぞれのステークホルダーは、異なる視点やニーズを持っています。
一人ひとりが「違っていても正しい」という考え方を理解しながら、最終的にはプロジェクトの成功という共通のゴールを目指して協力していくことが大切です。

ステークホルダーマネジメントとは?

プロジェクトでは、ステークホルダーそれぞれが異なる立場や意見を持っています。プロジェクトが進む中で、意見の違いや利害の不一致が発生することもあります。しかし、これらの意見や背景には、それぞれの立場から見た「理由」があります。相手の視点を理解し、共通のゴールを見据えて行動することが重要です。

ステークホルダーマネジメントでは、以下のような考え方が大切になります。

  • 意見の違い ≠ 利害の不一致
    プロジェクト規模が大きくなるほど、個人やチームが見渡せる範囲は相対的に狭くなります。個別の課題で衝突があっても、マクロでみると目標は同じである場合がほとんどです。

  • 折り合いの付け方を覚える
    相手の背景や状況を理解し、自分の意見も丁寧に伝えることで、双方が納得できる合意を目指します。

ステークホルダーが協力し合うためには、意見の相違を乗り越え、「同じ目的に向かっている」ことを常に意識することが大切です。これはテクニックというより、プロジェクト成功のためのマインドセットかもしれないです。

ステークホルダーの全体像を把握するために

ステークホルダーマネジメントを効果的に行うには、まず各ステークホルダーの特徴やプロジェクトへの関与度を把握することが重要です。そのために行われるのが「ステークホルダー分析」です。

ステークホルダー分析では、ステークホルダー一人ひとりの影響力や関心度、態度などを評価し、それに基づいて適切な対応計画を立てます。このプロセスを通じて、プロジェクトの進行に影響を与える可能性のある要素を明確にし、全体の調和を図ることができます。

次に、この「ステークホルダー分析」について詳しく見ていきます。

ステークホルダー分析

プロジェクトでは、ステークホルダーの特性を把握し、それに応じた対応を取ることが重要です。この分析では以下の3つの指標を用います。

ステークホルダー分析に用いる指標

  • 権力:意思決定や影響力の大きさ

    • 算出方法:権力は「役職」と「影響度」を掛け合わせて評価します。

      • 役職:ステークホルダーが持つポジションや役割を指し、例えば部長や担当者などが含まれます。役職が高いほど、権力に寄与します。

      • 影響度:プロジェクト成功に与える直接的な影響の度合いです。例えば、最終承認を行う人やプロジェクトのリソースを握る人は影響度が高くなります。
        この2つを掛け合わせることで、役職が低くても影響度が高い場合には「権力が高い」と判断でき、逆もまた然りです。

  • 態度:プロジェクトへの肯定・否定の姿勢

  • 関心度:プロジェクトへの関心の高さ

ステークホルダーを8つのタイプに分類

ステークホルダー分析では、権力、態度、関心度を基に、関係者を8つのタイプに分類しました。それぞれのタイプに応じた対応を取ることで、プロジェクトの進行をよりスムーズにすることができます。

生成AIでステークホルダー分析データを作成

インプットデータをもとに、ステークホルダーのリストとその特性(権力、関心度、影響度など)を図表形式で整理し、CSV形式で出力するプロンプトを作成しました。このプロンプトは、ステークホルダー分析を効率的に進めるための補助ツールとして機能します。実際に作成したプロンプトは、以下に添付していますので、ご覧ください。

「踊る大捜査線」の情報でステークホルダー分析を試してみる

プロンプトを使い、「踊る大捜査線」のWikipediaページから得た情報をもとに、登場人物のステークホルダーリストを作成し、それぞれの特性(権力、関心度、影響度など)を整理しました。ただ、インプット情報が限られていたためか、結果には違和感があるものの、登場人物の特性をある程度捉えられているようにも感じました。

Tableauを使ったステークホルダー分析の可視化

プロンプトで作成したデータをもとに、Tableauを使ってステークホルダー分析を進めます。Tableauを使うことで、複雑なデータも直感的に把握できるようになります。可視化例ではバブルチャートを用いてタイプごとの特徴や関係性を整理しました。これにより、ステークホルダータイプごとの傾向を視覚的に確認できるようになります。
Tableauの設定については、この記事では詳しい手順を割愛しています。Tableau Publicにも公開していますので、ご興味があればそちらもご参考ください。
Tableau×PMBOK® | Tableau Public

可視化例1 ステークホルダーキューブ

可視化例2 セイリエンスモデル

さいごに

今回の記事では、生成AIとTableauを活用したステークホルダー分析のプロセスを紹介しました。プロンプトでデータを作成し、Tableauでタイプを可視化する流れは、プロジェクト管理に役立つ一つのアプローチとして試みたものです。
生成AIとTableauを組み合わせることで、複雑なデータを効率的に整理し、視覚的に把握しやすくする方法が見えてきました。この記事が、ステークホルダーをより深く理解し、プロジェクトを円滑に進めるきっかけになれば幸いです。
今後も他のプロジェクト管理領域にも取り組んでいく予定です。Tableauと生成AIを掛け合わせることで、プロジェクト管理の各分野に新たな発見や改善のきっかけを見つけていけたらと思っています。

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