「あれ、誕生日なんだけど」の災難。
先日の7月4日はみなさんがご存じの通り、私の誕生日であった。
あれだけ会社で「7月4日は誕生日」アピールをしたので、誰かしらか「誕生日おめでとう」と言ってもらえるはずだと思っていた。
もしかしたら、仕事中に突然音楽が鳴りだし、みんなが躍り出し「誕生日おめでとう!」とアメリカ的なやつをやってくれるかもしれない。
もしかしたら仕事中に突然、電気が真っ暗になって「♪ハッピバースディ~」の歌声と共にケーキが運ばれてくるかもしれない。
もしかしたら、可愛い女子社員から「うちで二人だけの誕生日パーティをしましょ」と家に誘われるかもしれない。
私はそんな当たり前のことに期待をしつつ、1日中そわそわしていたのだが、いつまで経っても軽快な音楽は鳴りださないし、電気は消えないし、ケーキが運ばれてくる気配もなければ、可愛い女子社員が私に近寄ってくることもなかった。
もっと言うと「誕生日おめでとう」の「た」の字すら誰からも言われることがなかった。
ここまでくると悪い魔女がこの世から「誕生日」という言葉を奪い去ったのかとすら思った。
おかしい、みんな照れているだけなのだろうか。
確かに私のような色男に正面から「誕生日おめでとうございます」と言うのは少々気恥しい部分もあるのかもしれない。
照れる気持ちはわからないでもないのだが・・・。
その後も、いくら待っても誕生日の気配を感じないので、さすがの私も我慢の限界に達し、
「Aさん、これ次の仕事の資料です誕生日」
「あ、これ部長のとこにもって行って誕生日」
と、語尾に誕生日とつけて喋ろうかと思ったのだが、これはあまりにも露骨すぎるため断念した。
結局、そのまま何も起きることなく仕事が終わり、ガックリと肩を落とし更衣室に行くと年下である後輩の男の子がいた。
私は悲しみのあまり「実はさ・・・今日、誕生日なんだ」とボソリと彼に呟くと、「あっ、そうなんすか・・・おめでとうっす・・・」と言われた。
そして帰りに松屋に寄り、誕生日だからという理由でプレミアム牛丼(ちょっと高いやつ)のネギたま牛めし大盛を食べて家に帰った。
私の記念すべき誕生日の報告は以上である。
泣いてなんかない。
泣いてなんかないったら。