看護師として、多様性あふれる社会へ。個人事業という選択。
はじめに
私は看護師として病院勤務を経て、現在は個人事業主として、訪問看護や介護、受診同行、外出支援など、幅広い保険外サービスを提供しています。
なぜ、私は保険外サービスという道を選んだのか?
従来の看護師の働き方では、夜勤が必須となることが多いです。しかし、私には持病があり、夜勤は体調を崩してしまうため、続けることが難しくなりました。日勤のみの勤務では収入が不十分となり、生活が苦しくなることもありました。
また、看護保険でカバーできるサービスは非常に限定的で、利用者の方が求める内容は、多くの場合、保険適応外となります。例えば、受診同行、外出支援、買い物、掃除など、生活を豊かにするための様々なサポートが求められています。
既存のプラットフォームでは、多様なニーズに対応することが難しいと感じました。
看護師が個人事業を行うことは、従来の考えでは考えられなかったことかもしれません。しかし、時代は変わり、多様な働き方が求められています。
看護師は、組織に属して働くだけが選択肢ではありません。自分の理念や価値観に基づいて、自由にサービスを提供することで、より多くの人々の役に立つことができるのです。
個人事業という選択のメリット
個人事業であれば、訪問看護ステーションや高齢者施設を起業するような大きな初期投資は必要ありません。スモールスタートで始めることができ、自分のペースで事業を拡大していくことができます。
また、保険外サービスは、利用者との距離が近く、より密接な関係を築くことができます。利用者一人ひとりのニーズに合わせた、きめ細やかなサービスを提供することが可能です。
さらに、保険外サービスはスケールしにくい事業のため、個人事業の方が向いていると言えます。
法人化すると、経営陣の報酬や福利厚生などのコストが発生します。また、組織運営のための事務作業も増え、効率が悪くなります。
一方、個人事業であれば、これらのコストや事務作業を最小限に抑えることができます。そのため、限られた収入の中で最大限のサービスを提供することができます。
利用者とのエピソード
利用者からダイレクトに報酬を頂くサービスとなるため、サービスの質を高める努力を以前にも増して意識する様になりました。
看護師という仕事は医療行為を行っているイメージを持たれがちですが、実際はそれ以外の業務が大半を占めます。
例えば利用者の接遇、生活環境の改善、各関係者との橋渡し役となってコーディネートする役割など。
自分は病院受診付き添いや介護タクシーとの連携を中心に事業展開していますが、ほんの少しの間だけの関わりであっても、その利用者にとって人生を左右する時間となることも十分ある。
一例としては、受診同行による医師とのIC(インフォームドコンセント)が挙げられます。
大半の利用者は受診字に医師の話を聞いていない、理解していないことが多い。
なぜ話を聞かない、理解しようとしないのかは以下の通り
医師の言う通りにしていれば勝手に治療が進んでいくから
医療用語が難しすぎて理解できない
とりあえず内容は分からないけど治療して病気を治して欲しい
自分が受診同行した際に必ず行うこと
事前のヒアリングで受診の際に何を要望しているか利用者と家族、関係者に確認しておく
どのような検査や治療を受けるのか
不安に思っていることは何か
医師に聞いてほしいことは何か
ヒアリング内容から受診時に想定される検査、治療内容を事前に調べて、利用者の状態と照らし合わせてアセスメントしておく
利用者にとってどのような説明が必要か
検査や治療を受ける際にどのようなサポートが必要か
受診時に医師から聞かれるであろう治療に関すること、治療の流れ、方向性を想定して事前にシミュレーションする
利用者が医師の説明を理解できるように、分かりやすく説明する準備をする
利用者が納得して治療を受けられるように、サポートする準備をする
受診時に医師とコミュニケーションをとり、決定した内容を関係各者にレポートで共有する
利用者や家族が治療内容を理解できるように、分かりやすく説明する
今後のケアプランに活かせるように、必要な情報を共有する
これらのことを行うことで、利用者は自分の身に起きていることを認識でき、認知症の方の場合だと関係各者から感謝されることが多い。
事業を軌道に乗せるために行ったこと
一つの案件に依存しなかった
一つの案件に依存してしまうと、その案件が終了した場合に収入が大きく減少してしまう可能性があります。
そのため、複数の契約(個人契約、業務委託、個人請負)と複数のサービスを組み合わせることで、一つ一つのサービスの負担は少なく、例え一つの契約が終了になったとしてもダメージが最小限で抑えることができる。契約が一つ終了になったら、他のサービスで補い、新規契約で補填する流れを構築することができた。
固定収入につながる契約は大事だが、それだけに依存すると契約が切れた時に難しい状況になる。最低限の固定収入の確保は必要だが、それ以外は様々な契約で補填し収入を上げる企業努力をしっかり行うことが大切
固定収入につながる契約は、事業の安定化に役立ちます。しかし、それだけに依存してしまうと、契約が終了した場合に収入が大きく減少してしまう可能性があります。
そのため、固定収入に加えて、様々な案件を受託することで、収入源を分散することが重要です。
積極的に情報収集を行い、新たなニーズを掘り起こす
常にアンテナを張り、新たなニーズを掘り起こすことが重要です。
そのため、業界誌を読んだり、セミナーに参加したり、他の事業者と交流したりすることで、情報収集を積極的に行いました。
顧客満足度向上に努め、リピーターを獲得する
顧客満足度を高めることで、リピーターを獲得することができます。
そのため、利用者一人ひとりのニーズに丁寧に耳を傾け、質の高いサービスを提供することに努めました。
SNSやブログを活用して、事業をPRする
SNSやブログを活用することで、事業を多くの人に知ってもらうことができます。
そのため、定期的に投稿を行い、事業内容や利用者の声などを発信しました。
これらの努力を積み重ねた結果、徐々に事業を軌道に乗せることができました。
個人事業という選択の難しさ
個人事業には、法人化にはない難しさもあります。
社会保険に加入できない
個人事業主は、社会保険に加入することができません。そのため、健康保険や厚生年金などの制度を利用することができません。
税金の負担が大きい
個人事業主は、法人よりも税金の負担が大きくなります。
リスクをすべて自分で負う
個人事業主は、事業に関するリスクをすべて自分で負うことになります。
しかし、これらの難しさも、工夫次第で克服することができます。
例えば、社会保険については、国民健康保険や国民年金に加入することで、ある程度のリスクをカバーすることができます。また、税金の負担については、税理士に相談したり、自分自身で税金対策を調べることで、節税対策を立てることは可能です。
個人事業は、自由な働き方ができるというメリットがあります。
自分のペースで仕事を進めることができ、自分が本当にやりがいを感じる仕事に取り組むことができます。
また、利用者との距離が近く、密接な関係を築くことができます。
看護師として、そして個人事業主として、私はこれからも多様性あふれる社会の実現に向けて、歩んでいきます。
このブログ記事が、看護師の新たな働き方について考えるきっかけとなれば幸いです。