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『いつかまた、となりに立つときにはさ』2024/10/23,24 感想記 #ネタバレ有 #いつかまたとなりに立つときにはさ

 今回は10月23日 A班 初日10月24日 C班初日を観劇してきました。スケジュールの都合上、B班は見れていないのです…ごめんなさい。

「41歳最後の観劇」「42歳最初の感想記事」ということになりました。


まえがき

キッカケ。

 行くキッカケとなったのが、渡森さやさんの配信で知ってだったかなと。「でっでび」「転しな」の流れから「面白いから是非に」という話で。しかも2000円(特典付きは4000円)と格安。これは、行くっきゃないね!と。スケジュールの都合上、A班とC班のみの観劇となりました…。B班もこうなると見たかったなぁ…。

軽く、思い返して

 感想を書く上で、台本があれば買って読んでるのですが、言われている通り、台本と実演でだいぶ内容が変わっています。伝わる内容は大きく変わってないのが凄いなぁと。

 最初に、大体、90分~100分前後の上演時間を予定されていたのが、いつの間にか、120分前後の上演時間予定になっていて「うええぇっ?!」ってなったんだけど、あっと言う間に駆け抜けていって、ストーリー全体の緩急も極まっていましたが、小さな部分でのやり取りも面白かったですねぇ。

出演・キャスト

※太字が役名。敬称略。

シングルキャスト
 岡崎 己哲…板橋 駈
 尾形 拓向…船津 佑太
 七原 壮…滝口 聡気

キャスト (左からA/B/Cで記載しています)
 多門 文花
  樋口 沙也夏/丸尾 奈々子/冨沢 穂乃果
 すずまな
  坂本 鈴菜/平塚 郁奈/菜花 はな
 デンジャーサイボーグ斎藤 
  まさお/じょにー/栗下 尚樹
 若林 大輔
  黒騎 優護/MAG/青木 智洋
 若林 優子
  太田 有美佳/中川 真由美/有泉 穂香
 加藤 佳南
  とよはし しほ/雨宮 みき/渡森 さや
 三浦 里美
 
 おひな/塩沢 萌/伊泉 みな
 岡崎 胡桃
 
 望月 麻鈴/夏美/加藤 さや花

ストーリー

序盤

 登場人物たちの繋がり、関係性や立ち位置、そのキャラクターの生い立ちにスポットを当てた序盤ですね。

 己哲が喫煙所でタバコを吸っているところからシーンが始まり、壮、拓向の関係性がわかります。その後、漫才シーンに入っていきます。夫婦漫才コンビの大輔と優子、村社会人というコンビを組んでる文花とすずまな、トリオ漫才の爆竹博打の己哲、壮、拓向の三人、そして阿佐ヶ谷の危険人物、デンジャーサイボーグ斎藤という順番でネタを披露していきます。
 ここの場面、面白かったですね。A班/C班ともにほぼ同じネタなんですけど、動きがそれぞれ違っていて面白かったです。そして、爆竹博打のネタで、A班初日、シングルキャストの3人がそれぞれ一度ずつセリフを噛むというハプニングが起こります。これ、初見ではハプニングかどうか判断つかなかったんですよ。あぁ、こういう演出か的な見方をしていたんです。その後も噛んだ事や拓向が舞台上では緊張感が増して失敗しがちだったことが引きずられていたので。喋り出そうとすると噛むという負の連鎖が発生して「まじで、こういうトリオいそうだなぁ、おもろいなぁw」と(笑)。で、翌日、C班で同じ場面を見た時に「あ、A班のこの場面は、まじでハプニングだったんだ」ってなりましたね(笑)。

 打ち上げシーンに移っていきます。話の中で、試行錯誤を繰り返していることや、常に同じテンションの若林夫妻、村社会人の特にすずまなが売れている芸人が恋人として出来た後の変化などが語られ、それぞれがお笑いに対してちょっとした悩みがある事もろもろと判明します。打ち上げも程ほどにして、今回、己哲の彼女 佳南とその同僚である里美と妹の胡桃が来ていた事が明かされ、己哲は早々に打ち上げ会場を後にします。

 己哲の自宅に戻り、鍋パを開始する一同。その場面で里美と拓向が出会い、いい感じになります。
 己哲の鈍感さは、見ていてワザとか?と思うくらいでしたが本当に鈍感だったんでしょうね(笑)。

 そして、妹 胡桃と複雑な家庭事情が語られます。胡桃の父親は、己哲の母親と再婚であり、血は繋がってません。そんな父親がもしかしたら大病を患っているかもしれないから、会って欲しいと胡桃は己哲に懇願しますが、乗り気ではありません。そんなやり取りを聞いていた佳南。居たたまれなくなったため、その場を後にする胡桃。その後、己哲には、父親が過去に4人いたこと、父親というものが存在も含めてよく分らないという己哲の心情が語られます。そんな己哲を見て、佳南は、今後のためにもと想い、自身の家族に会ってみないかと提案。その後、二人の夢も語られて、まずはその第一歩ということで賞レースに出ることも考え始めます。

中盤

 賞レースのために稽古、ネタ合わせをしている三人。感想を述べてもらったりしています。また、ここで里美と拓向が付き合い始めていることが判明します。恋人ができると人って変わっちゃうんですかね~とセリフと共に、文花のすずまなに対する悩みも未だ解決していないことが打ち明けられます。

 その後、場面が切り替わって、いつものお笑いメンバーで高尾山へ。登頂した後、記念撮影して何故か下山することなくそのまま山頂で解散という展開(笑)。
 A班初日、この場面だったかな、確か、何故かある一定のラインを跨ぐと、目がバキバキに決まってしまうという話があったのは(笑)。

 爆竹博打の三人になったタイミングで、拓向が里美と結婚したい、幸せにしてやりたいと思っており、将来のことを考えた結果、芸人のままなら彼女に苦労かけさせてしまう、だから芸人を辞めるという考えに至ったことを二人に伝えます。もちろん、残される二人は慰留させようとしますが、拓向が己哲に「相手の優しさに甘えちゃダメだろ…」と言い、次のライブで脱退する決意が固い事を伝え、その場を去ります。

 村社会人の文花とすずまなで下山後、食事処を探す場面で、ひと悶着が起きます。文花は、良いネタが思い付いたと、すずまなをそっちのけにして、ノートにネタの書き込みを始めます。すずまなが呼びかけても止める様子はなく、一区切りつくまで待ちぼうけを喰らい、ついにすずまなの想いが爆発します。更にそれを返すように、文花のすずまなに対する想いも伝えますが、すずまなの勢いは留まるところを知らず、その場を立ち去っていきます。

 残された、己哲と壮は、端っこの方で今後について対話します。己哲が壮を誘った理由や、たぶん、戻ってくると思うことを伝えて、メシを食いに己哲宅へ帰ることにします。

 拓向は里美と会って、芸人を辞めることを伝えます。里美は、なんだか寂しそうな表情を見せます。本当にそんなので良かったのかなぁ…と思いながら話を聞いている里美。拓向も決意を改めて里美に語ります。里美も、なんだかしぶしぶ受け止めた上で、二人は食事へ行きます。
 A班はたこ焼きで、C班は二郎でしたね(笑)。

 己哲宅へ戻ってきた二人、その後、妹の胡桃も家にやってきます。用事があるため、一泊するためにやってきたとのこと。その後、己哲と佳南は、食事の支度しに行きます。残された壮と胡桃の間、名前しかしらなかった二人の間に、気まずい雰囲気が流れますが、会話で払拭していきます。その後は、今日の出来事の話になり「結婚するために拓向がお笑い辞めるってよ」という話から佳南の「じゃぁ、私たちはどうなのよ?」と話の方向性を気まずく思ったのか、突如として壮と胡桃がコンビ芸を見せます(笑)。
 もうこの場面は、なんとも言えない微妙な空気感を打破すべく立ち上がった二人!みたいな感じで面白かったですね。こういうのたまにあるわーと(笑)。

終盤

 ラストライブとなった日、もちろん、芸人仲間の間でも拓向が辞めることは伝わっています。いつもの面々がいるなか、村社会人のすずまなが来ていません。そして、結婚を決めた事で芸人のを辞める決断をした拓向の話から、大輔と優子の結婚についても話が及びます。結婚式といえる式を挙げたわけではなく、近くの町中華を貸し切ってドンチャン騒ぎしただけだが、それが良かったという話を聞きます。そんなこんなでネタ合わせもすることになり、色々やっていると、すずまながドタドタと登場。また、改めて、文花と一緒に芸人をやっていきたいと述べ、文花は芸人だからといって友達だったすずまなに対してお笑いの話しかしてこなかった事を反省していると述べ、和解します。

 そして、ライブが始まろうとしていた時、大輔のケータイに着信があります。劇場スタッフが病欠となったため、今回のライブは中止になったと。
ここで、周知はされるが来たお客様のためにも劇場に残るメンバーを決めますが、流れ的に爆竹博打の三人が残ります。

 そこで拓向は、芸人を辞めた後の事は、何をするか決めていなかった事と、やっぱり辞めたくないという話を始めます。この時の心境を高校時代に打ち込んだ高校野球最終打席に例えます。拓向は、やはり大好きだったお笑いを続けていって、お笑いで稼いで彼女を幸せにしていきたいと決意を新たにし、二人も戻ってくることに対して受け入れて、前向きに頑張っていこう、この劇場で酒でも酌み交わそうという話になります。
 このシーンの「なんすか?走馬灯すか?」「死なねぇーよ、バカ!」というやりとりは、緊張感の中にあって面白かったですねww

 突如として、己哲のケータイ電話が鳴り響きます。「あー、佳南?あぁ、ちょうどよかった、これから拓向と飲んで…」と伝えようとしたところ、佳南の様子がおかしいことがわかります。「お父さん、死んじゃった…」と予期せぬ訃報を聞き、己哲は佳南もとへと飛んでいきます。そして、己哲は、佳南の想いを聞き、佳南に今まで支えられてきたからこそ、今度は佳南を支えて行こうと決断をし、芸人を辞めることを決意します。
 もうこの場面は、もうずっと、うるうる来ましたねぇ…。何回見ても良いんすわぁ…。

 己哲は、芸人を辞めることを決意した事を拓向、壮の二人に伝えます。事の経緯を話をし、芸人を志したキッカケを己哲は、二人に問います。壮は、どんな時でも周りを笑いに変えられるのがカッコいい人生だからという憧れから、拓向は、お笑いがやってる時が一番楽しくて、笑って貰えることがめちゃくちゃ嬉しかったから辞められなかったと語ります。しかし、己哲はお笑いを始めたキッカケが二人と若干違うと生い立ちも含め話始めます。自身には父親がおらず、不幸な目で見られたくなかったため、自身が明るく面白い奴だと思われたいと思ったため、身の回りの出来事、現実から逃げるためにお笑いを続けていたと。更に今、現実の身の回りの人々に大事にされていることがわかり、己哲自身もその身の回りの人々を大事にしたいという想いから芸人を辞めるという決意をしたと言います。身の回りには、もちろん、壮や拓向も含まれていますが、お笑いを始めたキッカケについて釣り合わない以上、一緒に夢を見るには値しないと。自身の周りを片して戻ってくる、「いつか、また、隣に立つときにはさ」、またお笑いをやろうという話をします。そこから三人用のネタを二人用に書き換えたネタ本を渡しますが、壮は「ふざけんじゃねぇっ!」と己哲を殴ります。そして、壮は想いを己哲にぶつけます。「なんか言い返してこいよ!殴り返して来いよ!誰かのために辞めるクセに、誰も俺のために続けてくれない!」何も言い返せず、ごめんとしか呟かない己哲。「あんたなんか大っ嫌いだ!」と立ち去る壮。そして、拓向が己哲に寄り添い、言います。「己哲の気持ちもわかるし、壮の気持ちもわかし、一回辞めるって言った俺にとやかく言う資格は無いんだけどさ、資格がなくても言わせてくれ、今までありがとう」「こちらこそ…ありがとう
 この舞台、最大の山場でした。なんか、見ているこっちは、己哲、拓向、壮、それぞれの心情がしっかりと理解できる上で目の前の出来事を見せられているので、居たたまれないし、それぞれに葛藤というか、想いがあるのがわかってるので、もう涙無しで語れない場面ですね…。

エピローグ

恐らく数年後。良い家庭を築いている己哲と佳南。テレビに出ているの拓向、壮の話になります。まさかドッキリを仕掛けられる側に才能があったとは思いもよらず、テレビに出れるほど芸人として成功を収めている様子でした。その後、とある喫煙所で偶然会う二人。あの時のセリフ「いつか、また隣に立つ時にはさ」をここで「隣に立てましたね」と笑い話にして後日談を語らい始めます。村社会人は新人賞を獲得、若林夫妻はイギリスで大ブレイクし、デンジャーサイボーグ斎藤は死んだという話に。壮を探しにやってきた拓向もバッタリ、己哲と出会い「ドッキリ?!」と疑いますが、すぐに解消。昔の三人のように、また劇場に立とうと無理な話、バカな話をしながら、仲良く、三人はその場を別々の方向に向かって後にしたのでした。

 エピローグのね「デンジャーサイボーグ斎藤が死んだ」という下り、A班の時には、劇中、執拗なまでのアニサキスいじりがあったので、死んだという時に観客誰もが「アニサキスで?!」って思ったのか、笑いが起こったのに対して、C班の時は「うわぁ~」という引いた反応になったのがね、少し個人的に面白かったですねw。こういうエピローグで、清々しいまでに決着ついてよかったなぁ~と。

あとがき

 とてもよかったなぁと。もうキャストの皆さん、とても良くて、ストーリーもよくて、清々しく劇場を立ち去りましたねぇ。やはり、シングルキャストのお三方、板橋さん、船津さん、滝口さんと、激情の演技をなされていて、どんどんと引き込まれていきましたねぇ。佳南役の、とよはし しほさん、渡森 さやさんに至っては、これぞ、ヒロインだなと…。いやぁ、道中ね、己哲に対しての優しさもあり、父親が亡くなった際の悲劇もありと、感情の起伏が半端なかったと思います。

 お笑いが舞台ということもあり、自分自身にとっては、ちょっと縁がないのですが、こう夢に向って突き進んでいく、それが10代でなくても、20代、30代と歳を重ねて進んでいく上で、なかなか夢が叶えられず、現実を見ないといけなくなった時の狭間や葛藤というものを、見させていただきました。とても面白かったですねぇ。泣きたい時に見るって感じです。

こうして、また、応援したくなる劇団が増えていくんだよなぁ~(笑)。


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