気候危機:これから4年の重み
Before It’s Too Late 通信 -手遅れになる前にー
2020年12月14日 第051号
今さら聞けないパリ協定(2):これからの4年の重み
5年前のパリ協定では、世界の平均気温を産業革命以前と比べ2.0℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることが合意されました。
その後2018年に2.0℃上昇と1.5℃上昇の場合を比較した、IPCCの「1.5℃特別報告書」が出されました。
これは本当に衝撃的な内容でした。例えば1.5℃ではサンゴ礁の消失が70~90%であるのに対し、2.0℃では99%以上が消失すると予測。
また、生物種の生息域の消失については、1.5℃と2.0℃では、昆虫の場合6%が18%に、脊椎動物は4%が8%に増えると分析されています。
この報告以来、世界は1.5℃上昇に抑える方向に転換しつつあります。
そのためには2050年に、温室効果ガス(GHG)の排出をネットゼロにする必要があり、先般の菅首相のネット・ゼロ宣言で日本もやっと土俵に乗りました。
しかし、現実は多くの国がパリ協定後も解決を先送りしGHG排出は増加しています。(今年はコロナで減少)
各国は今度こそ真剣に取り組まなければなりません。
その試金石となるのが2030年の目標です。2050年ネット・ゼロ実現のためには、2030年にGHGの45%削減が必要です。
下の2つの図は2020年から2030年までの削減率の比較です。https://www.unenvironment.org/interactive/emissions-gap-report/2019/
上の図は今から削減を始める場合で、毎年、対前年比で7.6%の削減をする必要があります。
しかし、もし今までの排出を4年間放置すれば、2030年の目標を達成するためには、下の図のように2025年から15.4%の削減を続けなければなりません。(国連環境計画2019年報告書)これは実現不可能なシナリオです。
もう無駄にする時間はありません。
この危機感に基づいて、気候関係のNGOや自然エネルギーや原発、若者など67団体が呼びかけて、先週「あと4年 未来を守れるのは今」というキャンペーンを開始しました。
10月から政府はエネルギー政策の改定作業に入っています。https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/034/034_009.pdf
キャンペーンの第一弾は、政府の改定に対し、市民の広範な意見を取り入れること、2030年までに50%以上の排出削減をすること、原発や石炭火力に頼らず再生可能エネルギーに転換することなどを求める署名です。
このリンクhttp://ato4nen.com/から簡単に署名できます。
是非、署名をお願い致します。
そして、ご家族やお友達に転送などで拡散してください。さらに、拡散する方にも拡散をお願いしてください。
次の世代に安心、安全な生活できる気候と環境を残すために。
横山隆美