中国が、カルフォルニア州が、次はどこか?脱石炭競争が進む!
私が気候変動の問題に関わるようになって2年数か月になります。
この短期間に気候危機解決に大きな変化が起こっています。
グレタ・トゥーンベリさんが始めた若者の運動の盛り上がり。
そして、毎日のように新聞紙上を賑わす気候問題に関する動き。こんなことは2年前にはありませんでした。
最近の記事から拾うと、まず、中国が国連総会で2060年までにCO2の排出量を実施ゼロにすると発表。
この計画では、2050年までに実質ゼロが必要なパリ協定の1.5℃目標には不十分です。しかし、世界最大の排出国の中国が、脱石炭に動き始めたことに大きな意味があます。
欧州のシンクタンクの試算によれば、実現されると2100年の世界の平均気温上昇が0.2~0.3℃抑えられます。
歴史的規模の森林火災に見舞われているカリフォルニア州は、2035年までに州内で販売されるすべての新車を、電動自動車など排ガスを出さないゼロエミッション車にすると発表。
これにより州内では、プリウスなどハイブリッド車の新規販売も禁止されます。
トランプ大統領がパリ協定からの離脱を発表したことで、米国全体が気候危機対策に後ろ向きだという印象があるようです。
しかし、エネルギー政策は週単位で決定できるため、カリフォルニア州、NY州、ワシントン州をはじめ10州が、自治体や企業などを含む”We Are Still In”(我々はパリ協定に留まる)に参加して、自然エネルギーへの転換を進めています。https://www.wearestillin.com/signatories
これらは大変励みになるニュースですが、地球規模で考えると少し注意して見ることが必要です。
中国の場合は、国外で石炭火力発電所を新規建設しています。中国国内の排出にはなりませんが、世界全体の排出を増加させる点で見逃せません。
これは中国に限った話ではなく、日本にも言えることです。
また、中国が他国で多量の温室効果ガスを排出して生産された製品を輸入した場合も、中国の排出にはなりません。
このように温室効果ガスの排出を消費の側から考えると、異なる景色が見えます。
自国内で排出していなくても、他国に排出を伴う生産移転した商品を、化石燃料を使用する輸送手段で輸入したら間接的排出になります。
消費から考えると、輸入に頼る現在の日本の排出量はさらに増加します。
電動自動車については、カリフォルニア州は2045年までにクリーン電力を10%にする目標を掲げているから良いのですが、電気自動車への転換では、その電気を何で作るかも重要です。
電気を石炭や他の化石燃料で作っていたら、折角の電動化も削減効果は限られてしまいます。
このように考えると、地球規模の脱石炭・脱化石燃料は、今のままでは難しいと思われる方が多いのではないでしょうか?
だから、新産業革命とも言えるエネルギーの大変革が必要になります。世界では、この点を意識して石炭火力の廃止や自然エネルギーへの転換、自動車の電動化が急速に進んでいます。
日本が新しい時代に取り残されないよう、エネルギー政策の転換を急ぐことを求めていきましょう。
横山隆美