
民宿ういづ【宮古島編#7】
10:30に民宿うぃづに到着した。
11:00に行くとは言ったが、この時間に来て本当に大丈夫なのか?
少しの不安がよぎる。
食堂らしきところの明かりは消えており、
人影が無い。
受付らしきところも、見当たらず、
途方に暮れようとしたとき、
人影が見えた、、、
私は話しかけた。
「こんにちは!」
部屋の清掃中らしき女性が、笑顔で、
「あ、いっらっしゃいませ、少しお待ちくださいね」
「いま呼んできますから」
「呼んでくる?」
私はどういうことなのか思案したが、
その場で待つことにした。
少しして、感じのいい女性が来られた。
「ようこそ、いっらしゃいませ!」
「部屋の準備はできてますので、ご案内しますね」
昨日、連絡をいただいた方だ!
あの時、午前中に来て欲しいと言われたことは、
本当だったんだな、少し安堵した。
感じのいい女性と、
食堂らしきところで受付を済ませた。
「宮古島で、新しいことがしたくて」
私がそう言うと、
感じのいい女性は、やさしく諭すように、
「まず住んでみて、それから考えたほうがいいですよ」
これまで幾度となく、同じような人たちを見てきたのだろう。
・理想と違う
・知り合いがいない
・娯楽が無い
・地元の人と反りが合わない
宮古に住まわれている方は、口を揃え、
「移住されても、戻られる方が多いんですよ」と語っていた。
私が宮古島へ来た目的は市場調査。
英語で言えば、マーケットリサーチ。
ここ数日だけで、様々な有益情報を得ている。
食堂らしきところは、
3年前まで「食堂」だった。
いまでは宿泊者の朝食のみ、提供するそうだ。
感じのいい女性は、
「朝から仕込みするのが大変でねぇ~」
「3年前にやめちゃったの」
私が「うぃづ」を選んだのは、
民宿に食堂があると、昼夜の食が楽だろう、
もしかしたら地元の人からも話が聞けるかもしれない。
そう思ったからである。
その願いは儚くもやぶれた。
私はそのことを言葉に出さなかったが、
感じのいい女性は、なにか察してくれたのだろう。
「よかったら近所に食堂があるんで、お昼、一緒に行きますか?」
初対面の輩に、なんて親切なのだろう。
お礼を言いつつ、昼食は一人で行くことにした。
お昼時の3年前まで「食堂」だった空間は、ひっそりとしていた。
これも時代の移り変わりなのだろう、そう思ったとき、
ふと、何かがひらめくような感覚があった。
感じのいい女性は、
「ここ数年で宮古には新しくて綺麗な宿がたくさんオープンしたでしょう」
コロナという魔物の影響も大きいが、
うぃづは、いまは細々と営んでいて、
工事関係者の方が長期で滞在されていたり、
リピーターの方が泊まりにきていただける程度ですよ、と語った。
話し終えようとすると、突然、感じのいい女性は、
「長期で宿泊されているTさんと話してみたら?」
「いろいろ教えてくれるかもよ」
「連絡とってみるね!」
「あっ、Tさん!」
「今日から泊まりに来た人と、時間あるときに話してみてくれる?」
ここに来て、まだそれほど時間が経ってもいないのに、
新しい出会いを繋いでくれる。
感じのいい女性は矢継ぎ早に話をすすめ、私は圧倒された。
私が宮古島へ来た目的は市場調査。
英語で言えば、マーケットリサーチ。
ここ数日だけで、多くの出会いがある。
この時はまさか、
お姉様方の夜の宴に参加させていただくことになるとは、
夢にも思っていなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
to be continued
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