【ポーカー】【メモ】Applications of No-Limit Hold’em【Part2 / 17】(執筆中)
2.Preflop Play(プリフロップでのプレイ)
2-1.Introduction(はじめに)
ポーカーは数学的に解決されたゲームではない。
あるシチュエーションにおける戦略の最適な頻度を知るためには、関連するほかのシチュエーションの議論が必要で、互いに複雑に絡み合っている。
戦略における最適な頻度を考える時、0から構築するのではなく、「ベースの戦略を搾取する戦略が無いか」という議論を繰り返すアプローチが効率的だ。
2-2.Preflop 3-Betting, 4-Betting, and 5-Betting Frequencies(プリフロップにおける3bet, 4bet, 5betの頻度)
3bet等のベットサイズ、頻度の完璧な戦略を把握することは困難だ。
今から説明する話はそれをずっと簡単にし、かつ最も大切なコンセプトだ。
通常、Good playerは3-3.5BBのopen raiseに対して10-12BBで3betする。
3.5BBのopen raiseにブラインド以外の位置で10BBの3betするということは、(3.5+0.5+1)=5BBを得るために10BBをリスクに晒している。必要勝率は10/15、つまり2/3 = 0.667。つまり、1/3以上で相手がdefenceしない場合、自動的にEV+となる。
3betが12BBであった場合、同様の計算で、必要勝率は12/17 = 0.706。
このような議論から、3betの額が20%増えても、最適defence頻度は4%増えるだけであるという点に留意したい。
また、3betをdefenceするのは必ずしもopen raiserとは限らない点にも留意したい。
COが3.5BBにopenし、BTNが10BBに3betする。3betしたプレイヤーが即座に利益を上げるのは2/3以上の頻度でfoldされたときである。
つまり残りのプレイヤーはみんなで合計少なくとも1/3のdefence頻度を守らなければならない。仮に、各blindが3%の確率で4betやcold callのdefence行動を行い、それ以外はfoldする場合、original raiserのdefence頻度は以下の議論により、少なくとも29.1%は必要だ。
original raiserのdefence頻度をXとする。
(1-X)の頻度でfoldする。また、blindは二人合わせて(1-0.03)^2の頻度でfoldする。
その積(1-X)(1-0.03)^2が全員foldする頻度であり、これが2/3以下である必要がある。
これを解いてX≧0.291
しかし、これほど簡単に議論できるわけではない。
というのも、プレイヤーは通常、OOPよりもIPで小さな3betを行うからである。自分がopne raiseして、相手が小さな3betをした場合、その相手は通常IPにいて、また、こちら側のdefence頻度を助けてくれるactionができる人が複数残っているはずだ。
このプレイヤーがOOPの場合、そのプレイヤーの3betは通常より大きくなるため、他に行動するプレイヤーが残っていなくても、それほどdefenceする必要はない。
結論としては、一般的に、理想の戦略は、3betに対して、open raiseするhandsの少なくとも27~31%をdefenceすることである。
しかし、特定のhandsがどれだけのEquityを持っているかは、相手のcalling rangeによって大きく変わる。
例えば、JJ+/AKのcalling rangeに対して、33は32.2%、A5sは30.7%のEquityがある。
しかし、AAやKKのcallingに対しては、33のEquityは18.4%しかなく、A5sのエクイティは26.7%である。
もう1つ考慮すべき点は、5bet bluffは通常3 bettorからであり、彼はすでに11BBを投資しているので、All Inすることで平均89BB(100BBでハンドを始めたと仮定)のリスクを負うだけである。
したがって、最終的なポットは201.5BBとなり、Equityの1%につき2BB強の払い戻しが期待できる。
つまり、例えばcallされた時のEquityが31%の場合、相手がfoldしなかった時の期待値は201.5×0.31 = 62.5BBとなる。
89BBを危険に晒し、平均62.5BBのリターンがあるので、全体を通した期待値は、callされた場合は62.5-89 = -26.5BBの期待値と言える。
しかし、相手がfoldした場合、4bet(24BBとする)がopen raiser、3 bettorとは別のプレイヤーと仮定すると、5betのbluffは平均【24(4bet) + 11(3bet) + 1.5(blind)】 = 36.5BBを獲得することになる。
従って、この例では、5bet bluffで利益を得るためには、下記の計算より42%以上の確率でfoldされる必要がある。
36.5X + (-26.5)(1-X) = 0
ちょうど42%の頻度でfoldされる場合、期待値は0。(=無差別:indifferent)
実際は、5bet bluffで利益を生むためには、40~50%の確率でfoldされる必要がある。
正確なパーセンテージは、5betのcalling rangeに対するEquityと、open raise、3bet、4betそれぞれに使われるbet sizeに依存する。
まとめると、3bet、4bet、5betのbluffが成功しなければならない頻度は、通常以下の頻度に収まる:
3bet bluffで即座に利益を得るには、通常67~70%の頻度でfoldされる必要がある。
4bet bluffで即座に利益を得るには、通常54~60%の頻度でfoldされる必要がある。
5bet bluffで即座に利益を得るには、通常40~50%の頻度でfoldされる必要がある。
つまり、bluffを追加するごとに(potに投入されるBBの数という点では)かなり高くなるにもかかわらず、それぞれのbluffが利益を得るためには、その前のブラフよりも少ない頻度で成功する必要があるのだ。
繰り返しになるが、上記の頻度は、3betと4betがどれくらいの頻度で成功すればすぐに利益が出るかを示している。
もし相手がRe-raiseではなくcallでディフェンスすることがあれば(ほぼ間違いなくそうするだろうが)、こちらの3betや4betは、利益を得るためにそれほど頻繁に成功する必要はない。
それは、こちらの最も弱いbluffでさえ、flopで幸運に恵まれることがあるからである。
同様に、次のことも言える:
Preflopを4betすることでdefenceする必要があるのは、相手がcallでdefenceすることがない場合、25~30%程度である
この数字が他の場合より低いのは、通常defence頻度を助けるプレイヤーが残っているからである。4betに直面したときに、3betのレンジは、40~46%の確率で5bet All Inをする必要がある。
5bet All Inに直面した場合、4bet rangeは通常50~60%の頻度でcallすべきである。これらの頻度は、3bet、4bet、5betの状況で、value raiseとbluff raiseの比率を決めるのに重要である。
それぞれのrangeにどのようなhandsが含まれているかを正確に知ることはできないが、rangeがvalueやbluffに偏りすぎていないかを確かめることはできる。
2-3.First In Ranges(open raiseのrange)
様々なポジションからのopenに対して3bet rangeを考える前に、まず、理論的にopen raiseすべきハンドとは何かを理解しなければならない。
foldの期待値は0であるから、プレイヤーは正の期待値を持つ手札でopen raiseすべきである。
つまり、open raise rangeの中で最悪のhandは、foldの期待値をぎりぎり上回るか等しいので、EVが0に近いはずである。
したがって,ゲーム理論的に最適なプレイヤーのopen raise rangeにおける最悪のhandsの性質について,以下の4つの仮定を置くことができる。(リンプインをここでは考慮しない)
最悪のhandsの期待値は0EVとは言わないまでも、それに近いものでなければならない。handsの期待値がほぼ0になるのは、open raiseされることがある場合であって、常にopen raiseされるわけではない場合である。例えば、UTGが65sを75%の頻度でしかraiseしない場合、そのハンドの期待値は0に近いはずである。しかし、もし彼が常に65s でraiseするのであれば、彼は投機性の高いハンドをEarly positionでプレイしすぎているとみなされ、Re-raiseやその他のプレイに弱くなる。したがって、65sの期待値は負になる可能性が高い。
最悪のhandsは3betに直面した場合、頻繁にfoldすべきである。通常、open raise rangeの中で最も弱いhandsでraiseをdefenceすることは意味がない。
プレイヤーが3betではなくコールで対応した場合、最悪のhandのトータルEVは-3.5BB以上となる。(open raiseで最も弱いhandでも、flopで強いhandになることがある)。
最悪のハンドは、flopを見たときに+1.5BB以上のEVを持つことはない。ポーカーはゼロサムゲームであり、もしPreflopのopen raise rangeで最も悪いハンドがブラインド以上の勝利を期待できるのであれば、cold callをするプレイヤーは最適なプレイをしていないことになる。
handsが4bet bluffとして特にうまく機能する場合や、ハンドが偽装されていてインプライドオッズに役立っている場合は、この例外がまれにあるかもしれない。
上記の仮定は、Preflopの3betとopen raise rangeがどのようなものでなければならないかを考え始めるための有用なガイドラインとなる。
プレイヤーは最も弱いopen raise handsで1.5ビッグブラインドを獲得するために3.5ビッグブラインドのリスクを負うので、即座に利益を得るためには少なくとも70%の頻度で成功しなければならない。つまり、対戦相手の3betの頻度を全て合計した結果、Preflopでraiseしたプレイヤーが3betされる頻度が合計で30%以上になる場合、3betに対してfoldしなければならないhandsでopen raiseすることは利益にならないということである。
2-4.Maximum 3-Betting Ranges(3betをする最大のRange)
議論を簡単にするため、プレイヤーは全てのポジションから同じ3bet頻度である仮定する。
この仮定は、このセクションの最後にある最終的なハンドチャートでは削除されるが、どのような3ベットレンジが可能かを考えるための出発点を与えるために今は役に立つだろう。
また、単純に30%を残りのプレイヤーの数で割ると、各プレイヤーが3betできる最大額の正確な見積もりが得られるが、正確な解は得られないことにも注意しなければならない。
なぜなら、この見積もりでは、2人以上のプレイヤーがopen raiseを3betするhandsを持っている可能性を考慮していないからである。
したがって、open raiseの3betが合計で30%以下になるためには、各プレイヤーが3betしない頻度を計算する必要がある。
例を挙げる。UTGのプレイヤーがオープンしたとき、actionできるプレイヤーが5人残っているので、解を出すには、各プレイヤーがオープンを3ベットしない確率を掛け合わせなければならない。
X^5 =0.7 ⇒X = 0.931
1-0.931 = 0.069
よって、UTG以降のプレイヤーが3betできる最大の頻度は一人あたり6.9%。
前節2-2からの「Preflop 3-Betting, 4-Betting, and 5-Betting Frequencies(プリフロップにおける3bet, 4bet, 5betの頻度)」で見たように、プレイヤーは相手の4betのほとんどに対して3betの範囲の40~46%以上をfoldすることはできない。
つまり、3bet rangeの40~46%は、ポストフロップの4bet potか、Preflopの5bet All Inに備えるべきであるということである。しかし、これは相手の4betに対して54~60%の確率でfoldし、bluffに対し無差別な状態にさせるべきであることも意味する(相手の4betに対して常に5betかfoldのどちらかをすると仮定して)。
つまり、もし我々が6.9%の確率で3betしているのであれば、AA-QQ/AKのrangeである4betに対して、2.76%の手札でdefenceすべきなのである。次の表は、今までの議論から導かれる表である。
上の表が理論的に正しい3betでなければならないと証明したわけでは決してない。4betに直面したときに5betのbluffとして使うために、プレミアムでないhandsを3betで使うこともできるし、Preflopでcold callすることによって、非常に強いhandsをスロープレーすることもできる。しかし、これはプレーヤーが3betでアグレッシブに攻めすぎているかどうかを判断するための基準になりうる。
open raise rangeの中で最も弱いhandsは、いくつかの理由から、callされると損をする可能性が高い。
最も弱いhandsはPreflopのcold call rangeの平均的なhandsよりも弱い。
flopで、Preflop raiserは、BTNでopen raiseした場合か、Blindにcallされない限り、多くの場合OOPとなる。
Blindの1人がcallした場合(その場合、Original raiserがIPでflopを見ることになる)、Blindからの余分なデッドマネーが少なくなるため、potは小さくなる。
理論的に正しいUTGのopen raise rangeの中で最悪のハンドを3.5BBでオープンしたとする。全体の30%の頻度で3betされ、25%の頻度でcold callされる。
さらに、open raiseがcallされたときの期待値は平均0EVであると仮定する。これらの変数を設定すると、以下の議論により、このシチュエーションでUTGのopen raise rangeの中で最悪のhandsをopen raiseする期待値は-0.375BBであることがわかる。
0.3(-3.5BB) + 0.25(0BB) + 0.45(1.5BB) = -0.375BB
ここで、0.3は3betの頻度、-3.5BBは3betに直面したときのEV、0.25はcallの頻度、0BBはcallされたときのEV、0.45はすべての相手がfoldする頻度、1.5BBはすべての相手がfoldしたときのEVである。つまり、UTGプレイヤーは、理論的に正しいUTGのopen raise rangeで最悪のhandsをopne raiseした場合、平均して-0.375BBを失うと予想される
このシチュエーションでは、理論的に正しいopen raise rangeで最悪のハンドをオープンしても、収支が合わないことに注意しよう。対戦相手はあまりにアグレッシブにプレイしており、我々の弱いハンドは3ベットしてくる対戦相手には30%も通用しない。理論的に正しいレイズが特定の相手に対してマイナスの期待値を持つことがあるという事実は、誰も驚かないはずである。例えば、フロップでの理論的に正しいブラフは、フォールドを拒否する相手に対しては損をする。相手が常に3ベットまたはフォールドし、合計で30%3ベットしてくれれば収支は合うだろうが、オープンがコールされることもあることを考慮に入れておくことを忘れてはならない。これは計算するときに忘れがちなことである。相手にコールされても収支は変わらない」と考えがちだが、そうではない。相手がフォールドしたときは1.5ビッグブラインドの勝ちになり、一方がコールしたときは0ビッグブラインドの勝ちになる。これは、対戦相手が合理的なコールドコールの範囲を持っている限り、3ベットする確率は合計で30%以下であるという事実を示している。その代わりに、相手がいつもこれらの手でリレイズするのであれば、理論的に正しいオープニングレンジの弱い手でオープンするインセンティブはない。