「聴き合う学校」初めての学校導入事例の報告
学校関係者の傾聴と対話のコミュニティ「聴き合う学校」では、2024年8月、初めてとなる「一つの学校内で、トップ(校長先生)主導による複数名の同時利用」が行われました。利用いただいたのは、近畿地方にある小さな自治体の公立中学校です。
実施までの流れ
具体的には、夏休み期間を利用して、通常全6回のところを全3回に短縮。限られた時間ではありますが、評価や判断をまじえずに聴いてもらうことの価値や意味を感じてもらうことを重視しました。体験いただいたのは全部で5名。夏休みが始まる直前の7月15日前後に、校長先生より、当該の先生お一人お一人に「聴き合う学校」についてご紹介いただき、やってみよう!と思われた方にご提供しました。各先生と事務局が連絡を取り合い、日程を調整。「聴き合う学校」サポーターとのマッチングを行いました。8月1日から順次、傾聴のセッションを開始。
個人が特定できない範囲で、どんな先生が利用してくださったかというと、
という方々です。
8月は夏休みなので、学校に子どもたちは登校せず、学期中に比べ時間のやりくりがしやすかったと思われます。平日の日中、子どものいない教室や、人のいない図書室でzoomにつないでくれた方もいました。逆に仕事の無い土曜日の朝8時に固定された方もいました。
聴き役について
なお、「聴き合う学校」で、お話を「聴く役」を担う人材をサポーターと呼んでいますが、現在サポーターは8名。私立中高の教員、私立小学校の教員、元高校教員、元小学校教員、などがいらっしゃいす。いずれも現役または元教員、教育関係者です。こちらの8名は、「傾聴」や「対話」について探究を続けている方々で、「聴き合う学校」が大切にする「評価や判断をまじえずに聴く」ことにも意識を向け続けています。
ご利用者と「聴き方」サポーターをつなげ、画面オフ、本名を明かさなくてもOK、という状況で、他ではなかなか話せないことも正直に吐露してもらったり、頭の整理に伴走させていただくことをしています。
実施してみて。その後
夏休み3回を終えてどうなったかというと、継続して利用したいとのお申し込みをすでに2名いただいています。
1名は、9月も継続利用の希望あり、1名は、二学期の平日は時間が厳しいため冬休みに利用希望あり、というご意向を確認しています。ありがとうございます。
受けてみての感想を話してくださった音声を、ご本人の許可を得て公開しますので、ぜひ生の声を聞いてみてください。<こちら> ※googleドライブが開きます。約25秒の音声と、約1分の音声があります。
ほとんどの方が、最終回(3回目)とても明るい声になって終わっていかれました。また是非お話しましょう!という言葉もお世辞には聞こえず、その場を楽しんでくださったことが伝わってきました。
(この文章を書いている9月3日現在ではまだわかりませんが)同じ学校内で同時に複数の先生方が、評価や判断をまじえずに聴いてもらう時間を取ることによって、先生個人の意識の変容だけでなく、先生同士の関係性にも少しずつ変容が生まれることが期待できます。
気づいた課題
①全6回ではなく全3回という回数
当初より想定していましたが、通常全6回のところを全3回にしているため、4,5,6回目で話せたかもしれない、より深い内省や深い気づき、より深くにある価値観に触れる話、気づきを踏まえた上でのアクションプランの話、などができずに終わっていることも否めませんでした。
②利用希望から当日までをよりスムーズにする必要
おおよそ7月15日ごろ、夏休みが始まる直前に、利用意向の確認と、その後のお申込み、聴き役とのマッチングおよび日程調整、というステップを進めましたが、それらの連絡と調整に手間取ってしまうケースがありました。
これは「聴き合う学校」のUI/UXの問題と、各先生の忙しさの問題、両面に課題がありました。⇒流れの説明を図解するとか、ステップバイステップで説明できるものを用意するなど改善を検討していきます。
今後
学校関係者の傾聴と対話のコミュニティ「聴き合う学校」では、引き続き、学校単位での導入を検討いただける方との出会いを探しています。実施の仕方については相談しながらアレンジさせていただきます。1名だけの実施、全3回だけの実施、なども可能です。ぜひ一度お問い合わせください。新たな出会いを楽しみにしています。お待ちしております。
「聴き合う学校」代表 すーじー/鈴井孝史