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従業員を定着させるにはどうする
【海外進出した経営者の悩み】
ベトナムに進出した金属加工メーカーです。当社に応募してくる技術者や作業員は少しでも良い条件の会社が見つかればスグ辞めてしまいます。日本のように長く勤めてもらい技術を覚えてもらいたいと思います。従業員を定着させるにはどうしたら良いでしょうか?
【質問に対するお答え】 日本企業は中小企業であっても人気企業であることが多くどこの会社も従業員の募集は比較的容易であるものの、採用後の定着には頭を痛めています。従業員を辞めさせないためには、給与や研修制度および管理職登用等で会社の魅力を高める方法と、経営者の魅力を高め、従業員にインセンティブを与える方法等があります。しかしこうした方法も万全ではなく、転職社会であると割り切りあきらめずに継続して教育訓練等を行う忍耐強さが求められます。
1.会社の魅力を高めるには?
給与に限らずトータルで魅力のある給与制度を構築する
人気の高い日系企業への就職も興味本位の応募であれば、給与の高い会社が見つかれば移動してしまいます。給与については近隣の会社の相場を調査し、最低でも同程度の給与水準とすべきです。中小企業はどうしても賃金水準では大企業と比べ見劣りするものですが、給与以外の貸付制度、健康保険への加入、食事内容の改善、福利厚生等可能な限り気を配り・工夫し、トータルでの魅力のある給与制度を構築すべきです。
研修制度を整備し日本に行かせる
ある会社の例では、日本への研修制度を構築しています。希望者から選抜して毎年数名派遣していますが、応募に当たっては勤続年数や資格、人事評価、提案件数など細かく要件を定めており、長年勤続し良い勤務成績を残さないと日本に行けない仕組みとしています。 現地従業員、特にワーカークラスにとって日本に行くことは大きな魅力であり、目標を持たせることにより、仕事への取り組み姿勢も変わり、定着率の向上が期待出来ます。
有能な現地従業員を経営観幹部に登用する
海外に進出し10年程度が経過すると、現地従業員もそれなりに育って来ますが、マネージャークラスへの登用は行っているでしょうか? 日本人や経験者ばかりを登用せず、思い切って現場上がりの有能な社員も管理職に登用することも必要です。 これは従業員に処遇上のインセンティブを示すもので、優秀な社員にとって魅力のあるキャリアパスになり、長期勤続につながります。
2.経営者の魅力を高める
ワイワイガヤガヤと現地従業員と接し経営者の魅力を伝える
会社創設時に会社の魅力を従業員に理解させることは難しいものです。そこで日本人社長自らがその魅力を示すように努力することが大切です。そのために、ベトナムやベトナム人が好きだと態度に示します。またベトナム国民に敬意を払い、いつもにこにこして接するよう心がけます。
現地従業員から信用されるには、社内イベントや会議には必ず顔を出し、昼食を社員食堂で一般社員と同じテーブルで食べ、言葉がわからなくてもワイワイとやって従業員と接するように努めれば、自然に懐かれ、尊敬してくれます。
そして事あるごとに、会社の将来を示し、労働環境の改善など自分の考えを繰り返し言っていれば、社長の考えが自然と伝わり浸透し、定着率も良くなります。
3.転職社会であると割り切る
海外はどこも転職社会であり自分の能力向上やより良い賃金と処遇を求めて転職を繰り返すことが一般的であり、上記のような努力をしても、将来は幹部にと思っていた社員に止められてしまうことはよくあることです。また十分コミュニケーションを取り、相談対応を心がけたとしても、日本人にはなかなか分からない理由があり辞めてしまい、後になってようやくわかるという場合が多いようです。
辞められて困らないよう普段から後任の目安をつけ、教育訓練をあきらめずに続ける忍耐強さが求められます。
日本は単一民族で、言葉は統一され、あうんの呼吸やあ~、エ~でもコミュニケーションがとれる、世界からすると特殊な国民性の国です。日本の常識は進出国では非常識とわきまえ、現地人と交わることが大切です。
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