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太宰治と銀座
久しぶりに東京・銀座を歩きまわり
うす暗い路地裏で「バー・ルパン」を見つけた
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このバーで
太宰治を象徴する写真が撮られた
戦後まもないころ
写真家の林忠彦が
「俺を撮れ」と言った太宰にむけて
せまく後もないのでトイレのドアをあけ
便器にまたがりただ一個残っていた
フラッシュバルブを
発光させて撮影した
戦中戦後の10年間
太宰の妻であった津島美知子は
自書『回想の太宰治』で
こう語っている
「銀座のルパンで
林忠彦氏の撮影された写真で
この靴が重要な役割を果たしている
太宰は脚の高い椅子を二つ並べた上にうまく安坐して
上着を脱いだチョッキ姿で
ワイシャッツの袖口をめくり上げ
めずらしく颯爽として
登山家か何かのような大変活動的な印象をあたえるが
こういうポーズをとれるのも兵隊靴なればこそであるし
ごきげんの顔と 兵隊靴と 煙草をはさんだ細く長い指との対照が
おもしろい」
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ちなみに 銀座・ルパンはおよそ100年まえに開店し
菊池寛 永井荷風 川端康成などの作家
藤田嗣治 東郷青児など画家
戦後は織田作之助 坂口安吾 太宰治などの無頼派が
常連であった
なお この古い文壇バーは、今も営業している