55. 運命はリーキャンで交わる
もう年度も変わろうかという3月中旬、我が愛知学院大学・競技ダンス部は「中部リーダーズキャンプ」、略して「中部リーキャン」に参加していた。
中部リーキャンとは中部の大学5校が一同に集まり、勉強会や会議などを1泊2日で行うイベントである。
といってもメインイベントは会議の後に開催される宴会で、5校の部員100名以上が参加する
未曾有の大宴会だ。
会場に到着した時にはすでに各校のダンス部員達がごった返していた。
部長によると今年はまた一段と多いらしい。
凄いっすね〜、こんなにいるんすね。
「4月からは全員お前のライバルだぞ。」
4月から4年生の人達もいますよ。
「いいか、2年生からは3、4年のカップルと一緒のフロアで闘っていかなくちゃならない。」
え〜、絶対不利じゃないすか〜。
「まぁ、最初はダンス歴も違うし勝つのは正直いって難しいけど、2年のうちに慣れておけば3年になる頃にはいい勝負が出来るはずだ。」
ホントっすか〜?
「ホ、ホントだぞ。現にオレだって4年生に勝ってただろうが。」
まぁ、確かに。
「つまり誰にでも可能性があるってことだ。お前がオレに勝つ可能性もな。」
いやいやいや、先輩こんど4年じゃないすか。勝てる訳ないっすよー。
「とにかくそういう気持ちで頑張れってことだ。」
はーい。
「だから今日は、これから先ライバルになりそうな奴らの顔とか名前をしっかり覚えておけよ。」
覚えられるかな〜。
「おっ、もう始まるぞ。」
・・・
あっという間に勉強会やら会議は終了し、あとはお楽しみの宴会だ。
心なしか皆んながウキウキしているのが伝わってくる。
その時、誰かがまっすぐこちらに向かって近づいてくるのが見えた。
もの凄くキザッたらしいイケメンが話しかけてきた。
「やぁ、愛知学院のオオサカ君だよね?」
そ、そうですけど・・・。
「僕は名城の○○。同じ1年生なんだけど覚えてるかな?」
そ、そうなんだ。いや、ゴメン、ちょっと覚えるの苦手で・・・。
「僕は去年の対抗戦の新人戦で2位だったんだ。」
あ~、そういえば。
(ヤベェ、ぶっちゃけあの女子しか覚えてないよ〜)
「あの時1位だった君の話しを聞きたいと思ってね。」
そ、そうなの。
「あっちで一緒に飲まないか?」
うん、いいよ。
「試合の時だとなかなか話せないからね。」
それから各校の1年生の男子が集まり、お互いの自己紹介などをしながら盛り上がっていった。
だいぶ宴もたけなわとなり、あっちこっちでドンチャン騒ぎが繰り広げられていた。
その時キザなイケメン君がたまたま通りかかった女子に声を掛けた。
「あっ、ねえねえ○○ちゃん、こっち来なよー。オオサカ君がいるよ。」
えっと思って振り返ると、そこにはあの名城対抗戦でモーレツにガンを飛ばしまくっていたあの子が立っていた。
後の妻である。(3回目)
次回、そろそろ最終回。
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