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【旅するデザイン思考】刺激的アジトで得る創造の動機

怒涛の2月もほぼ毎週、大学、企業とのデザイン思考のワークショップを実施中。特に日本の海外留学生の皆さんとのワークショップは海外から見た日本の文化や価値観が現れ、いつも予想外の展開を見せ楽しい。創造性を常に一定のサイズ感に留めることなく、拡張し続けるための最も手っ取り早い手段は常に自分を自分の知らない世界に触れさせておくこと。そんな意味から私と私の家族は旅するように生きている。そんな意味でメキシコは今や我々にとって創造性を拡張する為のアジトの一つになりつつある。今日はそんな我々のアジトな最近のメキシコとデザイン思考の関係について書いてみます。

知的でOrganicなコレからの街Tulum

Cancunから南にクルマで2時間、知る人ぞ知る静かなブームが起きている街があります。それがTulum。既に人気のCancunやPlaya Del Carmenに続き開発が進む中、現在建築ラッシュ。外国人向けの分譲地も多く売りに出されているけれど、海岸から50km圏内は外国人が所有出来ないのでその場合は厳密には借地になる。とはいえ永住権にも期限の無いメキシコ、そんな違いはあまり気にならないほど様々に自由度があります。

観光のメッカであるCancunとは趣を異にし、より知的かつ文化的で時間の流れにもゆとりを感じる。カリブ海を瞬間的に満喫するならCancun、少し長い目でカリビアンな日常をデザインするならTulumでしょう。我々のアジトの条件は、豊かな緑に囲まれていて、風通し良い空気の抜け感があり、食べ物が美味しく、そして出来ればビーチへ歩いて行けること。Tulumは食に対する意識も高く基本Organic、Veganもシュガーフリーも当たり前に選べるのが嬉しい。

Azulikに感じる挑戦的な創造欲求

Tulumで最も驚いた場所。それは海岸沿いのジャングルに佇むプライベートリトリートAzulik。アーティストでもあるRoth ArchitectureのEduardo Roth Neira氏によって建てられた。約20年の歳月を掛け、生態系との共棲、先住民マヤ族と共存する高次元のSustainabilityを追求、全ての建物を地表の生態を阻害しない高床式で構築した結果、直線と平面が存在しない驚くべき建築物となっている。曲がりくねった吊り橋式の通路や藁葺き屋根のツリーハウスヴィラなど、その構造は周辺の生態系の変化に応じるため、常に試行錯誤の途上にあり、それは永続的な即興芸術としても成立している。

48あるヴィラには照明、エアコン、テレビが無く、什器類も全て現地の職人による手作りの木製家具や工芸品という徹底ぶり。これを見た後ではコンクリートやガラスの「力で自然を捻じ伏せ」たような建築が思想的に周回遅れに見えてくる。“完成しないことが完成である”と言わんばかりのこの大胆さと独創性には“飽くなき挑戦的な創造欲求”を感じ、強烈に共感します。


いつか何処かで見た風景?@Tubo

Tulumの中心街、ビーチへも2kmのRiviera Mayaにある一風変わったホステルがこのTubo Tulum Hostel。下水用のコンクリートパイプ、いわゆる土管を宿泊用の部屋に利用したエコフレンドリーを謳うホステル。内径2.13メートル×長さ2.5メートルのチューブ状の部屋は、ダブルベッド、エアコン、プラグ、ライトを備えています。部屋自体は決して広くはないけれど、共用キッチンのある広い共用エリアがあり、リラックスしたり、料理をしたり、出会った旅行者と情報交換したりできます。

完全な円筒形の入れ物の中で寝泊まりする体験。子供の頃に雪で作ったカマクラのようで、その適度な狭さも相まって不思議な安心感がある。転がって移動できれば毎日位置を変えられるモバイルホテルのコンセプトにも応用できそう。見ていると色々インスピレーションを得られる一方で、私くらいの世代にはついついドラえもんw。ジャイアンがリサイタルを開く姿が… この既視感はソレだったかぁ~w。

Beach+Art+Food=すべてが創造のトリガー

文化的なTulumには雑貨店や工芸品店も多く、また、職人技の生きた工芸品が創られるプロセスも垣間見ることができる。繊維を編み込んだバスケットや、生命のアーキタイプ「Tree of Life」を模したドリームキャッチャー、カラフルなモザイク柄の便器!と街を歩いているだけで五感と感性が刺激される。そしてそんな手作り品一点一点の持つテクスチャーや独特の彩にメキシコの地でしか生まれ得ない暖かな温もりを感じ取ってしまう。

そして街の彼方此方に見られる壁面アート。写実/抽象、様々な表現に彩色豊かなダイナミックなアートはどれも青空に映える。街歩きを終えたらAmansala Beachclubでまったり過ごすのもGood。Tulum周辺のビーチはCancunよりも野性的魅力に富む。多くのビーチでウミガメと一緒にシュノーケリングが楽しめます。ベジタリアンレストランのEl Vegetarianoのオーガニックフードも秀逸!海、アート、食。全てが創造の動機となる。

私から見ればデザイン思考は方法論というよりも寧ろ「生存本能」であり「生き方」そのもの。人生を楽しく満喫することそれ自体が創造のインスピレーションになるということ。だから、デザイン思考を生活やビジネスに巧く活かせている人に共通するのは「人生を思いっきり楽しんでいる」ことなんじゃないかと、単純にそう思っています。


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