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「ポジショナルプレー」と「トータル・ゾーン」


  マウリツィオ・サッリが率いていたナポリ、マルコ・ジャンパオロ率いたエンポリ及びサンプドリアが、この「ポジショナルプレー」と「トータル・ゾーン」を組み合わせた戦術をベースとしていた。 

ポジショナルプレー(Giochi di posizione):

・第一の目的は、試合で使えるパスワークの向上・守備力の強化が第一義的な目的ではないため、常に数的優位の状況でトレーニングする

↓・システムを任意で決める・たとえば「4-3-3」vs 「4-4-2」

↓・旧来の背番号で並べると、4-3-3GK:1DF:2(右SB)、5(右CB)、6(左CB)、3(左SB)MF:8(右インナーハーフ)、4(MF中央/レジスタ)、10(左インナーハーフ)FW:7(右ウイング)、9(センターフォワード)、11(左ウイング)


・「8vs8+フリーマン2」を行う場合

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・このように選手全員(11人)が各ポジションにつき、そのポジションに求められる動きを行いながらパス回しを行う

・「8vs8+2」の場合、理想的なピッチサイズは41×35m(正方形で行う場合は、38×38m)

・一人ひとりがポジション別に役割を考えながら行うトレーニングであることから、ポジショナル・プレーと言われる(従来の「ポゼッション」トレーニングでは、ポジションの概念がない状態、もしくは曖昧な状態で、連続パスの本数を増やすことだけが目的とされていた) 

・ポジショナルプレーのトレーニングを始めるに際して、監督が選手たちに伝えるべきは、以下のような内容となる 「自分の視界にいる味方へパスする。無理する必要はない。難しいパスを通そうとしなくていい。シンプルに。できれば1タッチで。その連続」

 ・これを難易度を上げながら行えば、パスを受けるために最も重要な〝マークを外す動き〟を、子どもたちは自然とできるようになっていく(〝マークを外す動き〟=ボールを受けるためのスペースをあらかじめ確保すること)

 ↓ここで、実際の試合でボールを失ったと仮定(攻から守への切り替え=ネガティブ・トランジション)

↓ 

トータル・ゾーン

・ポジショナルプレー=味方同士の間隔が近いため、ボールを失った瞬間に守備の態勢を整えることができる・最も重要なのは〝ボール〟の位置・相手チームの〝ボール保持者〟に対して守る側の全選手が注意を払う・その他の相手選手がどう動こうが関係ない(「知ったことではない(サッリ談)」)

・なぜなら、いうまでもなく、ボールがゴールに入らなければ失点にはならないから。

・最も重要なのはボールなので、常にボールの位置に応じて守る側の全選手の立ち位置(ポジショニング)が決まる・ポジショニングを決める上での基準は、

1)ボールの位置 

2)自陣ゴールの位置 

3)味方の位置

・この考え方で守備をすれば、オフサイドは敵のFWが勝手に引っかかってくれるもの、となる。(他方、90年代のミランは〝オフサイド・トラップ〟を意図的に仕掛けていた)

・この考え方で守備をすれば、必然的に布陣全体はコンパクトになる・コンパクトになるため、ボールを奪う確率が高くなる

・ボール奪取(守から攻への切り替え=ポジティブ・トランジション)

・ボールを奪う確率が高くなるため、攻撃の機会が増す・攻撃の機会が増すため、得点機も増す・すなわち、攻撃のための守備(守備のための守備ではない) 

【1例】あくまでもボールの位置でポジションが決まるため、相手GKのロングフィードに対する守り方は自ずと次のようになる 映像は、2014/15シーズンの エンポリ(監督=マウリツィオ・サッリ)

↓ポジショナルプレー

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