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閑話三昧 #14 ~スチームパンク
Steampunkとは
Wikipediaによれば、
現実世界における内燃機関が存在しないか研究中という設定のもとで蒸気機関が広く使われている前提があり、イギリスのヴィクトリア朝やエドワード朝の雰囲気がベースとなっている世界観である。イギリス以外の国も概ねそれと重なる時代、アメリカでいえば西部開拓時代、日本でいえば明治時代~大正時代頃の近代化を推し進める文明開化から大正ロマンの雰囲気が代表的世界観である。
レトロ・フューチャーという言葉がしっくりくる人もいるかも知れない。
個人的には、少年のころ見た「ワイルド・ウェスト」が思いあたる。
ウィル・スミス主演の映画「The Wild Wild West」(1999年)ではない。
その元となったTVシリーズ(1965-69年)のことである。
007のようなスパイ物全盛のときに、西部劇仕立ての隠密捜査官をつくり上げたのである。当然、007が使うような秘密兵器と仕掛けが欲しいところだが、蒸気機関が主流の時代である。必然的にスチームの活躍だ。
サイバーパンクにはネオンの冷たさが感じられるが、スチームパンクには蒸気の暖かさがある。
スチームパンクは、英国ヴィクトリア朝と親和性がある。
H・G・ウェルズやジュール・ベルヌのSF小説に登場するタイムマシンや潜水艦も機能一辺倒ではなく、装飾があっても不思議はない。
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過ぎたるは・・
スチームパンクの装飾は過剰になってゆく。
何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」である、と私は考える。
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その境界がむずかしい。
装飾を無意味とするならスチームパンクは成立しないし、過剰はガラクタと変わるところがない。
ゴシック様式の古い聖堂では無数の彫像や建築装飾がちりばめられているが、それには建築にたずさわった多くの職人たちの祈りがこめられている。
実用性を妨げない程度の精巧さが私の好みである。
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