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時は金なり

ローンは絶対しない。クレジットカードも作らない。

母が生涯貫いてきた信念です。(まだ生きてます。)

私は生まれも育ちも埼玉県、ごく普通の庶民的な家庭で育ちました。父の年収が一千万を越えたことはないと聞いています。専業主婦の母はとても倹約家で、車を買うのも家を建てるのもすべてキャッシュでした。

そんな家庭で育った私(現在37歳)はというと、買い物の支払いは基本クレジットカードだし、住宅ローンはがっつり借りてます。何なら住宅ローンは頭金を百万円だけ支払い、借りられるだけのお金を借りました。(こういう状態をカタカナで「フルレバレッジ」などとも呼びます。)

今の私のお金に対する価値観は、私を育ててくれた親のそれとは正反対かもしれませんが、これは「リテラシー」の問題だと前向きに整理しています。

きっかけはMBA留学

お金に対する考え方が根本的に変わったきっかけは、アメリカのMBA留学です。

①留学で大借金をして帰ってくる

MBA留学というのは大変お金がかかるもので、アメリカの場合は学費だけで1,200-1,400万くらいかかります。これに2年間の生活費も乗ってくるので、家族なんて連れて行こうものなら普通は総額で2,000万を越えます。私の場合は自費留学だったので、2年間どこからも給料が払われず、純粋に2,000万が減るだけです。30歳前後の方は、いまの貯金額から2,000万を単純に引いてみてください。それがあなたの2年後の貯蓄状態、そういうことです。たいていの方は30歳前後で2,000万の貯金なんてもっていないと思いますので、ふつうはマイナス(借金)ということになります。

34歳、妻子持ち、貯蓄マイナス、無職。それが帰国時の私のステータスです。完全な負け組ですね。こうなると多くの人間は、失ったものを一生懸命取り返そうとします。

まず、少しでも給料の高いところで働きたい。多くのMBAホルダーが外資系投資銀行や戦略コンサルに行く理由の一つは資金回収だと思います。

そして、少しでもお金が貯まってきたら運用に回したいと思うようになります。

②ファイナンスの授業で習う「今の1万円と一年後の1万円は価値が違う」

MBAは必修科目でファイナンスの授業があり、「現在価値」という概念を学びます。一年後にもらえる1万円は、いまの価値に直すと1万円未満になる、というものです。

ごくシンプルに言えば、いま1万円もっていたら、それを貯金しておけば一年後には利子がつくので数円程度プラスになりますよね。そう、銀行口座に置いておくだけで勝手にお金が増えるのです。

まさに「時は金なり」。将来の為にお金を増やしたければ、少しでも早いタイミングで多くのお金を手にする方が良いのです。

仮に10年間で100万円もらえるのであれば、毎年10万円ずつもらうよりも、最初の年に100万円いっきにもらって、余剰資金を運用したほうが、10年後に手元にのこる価値は大きいのです。

投資は難しい?

しかし、昨今は銀行の普通預金にあずけても利子はほとんどゼロに近いので、実はこれもあまり魅力的なことではありません。そこで、投資信託や不動産、株式や債券などへの投資が有効な手段になります。

でもなんだかこういう言葉が出てきた瞬間に、少し抵抗感がうまれます。私もMBA留学前はこういった知識はゼロでした。しかし留学で借金を背負い「お金を増やさないと家族を養っていけない!!」という切迫感をもつことで、こういった運用方法について積極的に勉強するようになりました。いまや手元の金融資産の9割は運用に回し、現金・預金として置いているのは1割程度です。

身の丈にあったお金

お金を増やしたい。そう思う理由は人それぞれだと思います。単純に良い生活をして豪遊できたら楽しそう、そんなモチベーションもあるかもしれません。

しかし、個人的な経験から、人間は「身の丈に合わない大きなお金を手にしても良い使い方をしない」と感じています。

外資系金融で働いていた頃、同世代で巨額の給料をもらう人たちを数々見て実感したことです。それこそ年収5,000万~1億なんて同じ部署にゴロゴロいました。しかし彼らの多くは、六本木や西麻布で一晩にびっくりするような金額を使い、中には女性とお金の関係を結んでいる方もいました。

もちろんそれら高収入のビジネスマンは大変能力が高く、寿命をすり減らすような身体的にも精神的にも非常に過酷な労働環境を耐え抜いた上で報酬を得ています。ストレスの捌け口も必要でしょう。しかし、そこまで頑張って得たお金を結局そのように使ってしまうのは何だか悲しい気がしました。

ではどうすればよいのでしょう?

まずは「想い」をもつこと

お金を貯めるモチベーション、やっぱりそれが大事なのではないかと思います。たとえば私の場合は、留学という自分の夢で借金を背負ってしまったが為に、それを支えてくれた奥さんや子供たちに苦しい生活をさせたくない、特に子供の将来の教育を十分に受けさせてあげられるだけの余裕は持っておきたい、そんなごく普通の理由です。

想いをもったらそれを達成するために頑張ること

しかしそれだけでも実はそれなりの金額を蓄える必要があり、簡単ではありません。まして老後の為に2,000万円貯金が必要、などという発表を金融庁がうっかりぽろっと発表してしまうような世の中です。

もちろん努力なしにお金は得られないし、増やせません。ましてやせっかく貯めたお金を銀行預金にただ置いておいては絶対に増えません。

なのに、日本人の金融資産の50%以上は銀行預金に眠っているそうです。これではせっかくの自分の「想い」を銀行に託しているようなもので、それでは個人の幸福感にはつながりにくいと、マネックスの松本氏は著書で主張していました。

お金を増やすには努力が必要。運用についての勉強も、努力のうちです。

時は金なり

そして「時は金なり」、少しでも多くの資産を築きたいという気持ちがあれば、一日も早く動き出す必要があります。

いまは日本政府も、iDeCoやNISAをはじめ、「貯蓄から投資へ」の流れをつくろうと一生懸命に制度を整えています。

まずはこういった「国のお墨付き」のついた制度の使いかたから勉強してみるのも一つの手ではないでしょうか?

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