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京都嫌い?アイロニー的な京都嫌い。

「京都嫌い」(井上章一、朝日新聞出版)が抜群に面白かった。今回はコロナも収束しそうな中、旅行の季節になるかも!?京都を巡る本2冊をポストします。

先ずは、「京都嫌い」理系の人の中には飛び抜けて文章が面白い人がいます。漱石の弟子寺田なんとかもそうだけど、この井上章一さんのそのお一人。

昔伊武雅刀さんで私は子供が嫌いだ、という歌あって、最初から最後まで子供の嫌なことをあげてて、笑えたが、この本は、京都の洛中の人を嫌う理由が本一冊分あって、感動すらする。

井上さんも京都の人なのだが、嵯峨産まれの、宇治在住。京都の洛中の人からすると京都じゃない街となり、これまで受けた差別的待遇や洛中の人たちの意識に見事なまでに論理的空手チョップを見舞う傑作だと思う。

中でも適齢期を過ぎた女性が、山科の男性を紹介され、山科に住むと東山が東じゃなくなる!とのたまうさまは、涙すら呼ぶ。2000年の街の2000年の意識の、おかしいほどずれた部分を冷酷に描き出す。えぐられる犠牲は、寺院、僧侶、なと多岐にわたる。

花鳥風月を愛でる京都本より、京都をよりよく理解できる事間違いない。

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