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隠れヤンキーが支配する日本

うわさに聞いたのだが、朝ドラ「おにぎり」で麻生久美子さんと酒井若菜さんが元ヤンキーと元レディース役としてメンチの切りあいをし、それが結構好評だったらしい。
お二人とも私は好きな女優さんだったので、YouTubeで検索してみたら、すぐに見つかった。なるほどメンチを切りあってはいるが、これはまぁギャグだなと思った。他愛のない映像である。

しかしギャグとはいえ、元ヤンキーと元レディースのメンチの切りあいを見た私には、40年前に私が友人たちに語った未来予想図が蘇ってきた。

当時は学歴社会の特徴が非常に強い時代で、「一流大学」への進学が社会的成功への近道とされていた。その一方で、学歴がない人は「3K(きつい・汚い・危険)」と言われる職業に従事するケースが多かったため格差が拡大した。格差社会の始まりだったと言える。

私は一流大学に進学した訳ではないが、どちらかというと学歴側に所属していたので、当時「10代で妊娠」し「できちゃった婚」をする人たちを見て、「やがて日本はヤンキーが支配する」と思ったのだ。

ちなみに当時私は進学側でない人たちをヤンキーとひとくくりにしていた。もちろんこれは偏見であり、今は「低学歴=ヤンキー」という認識はないが、とりあえず当時はそう感じていたという前提で話を続けたい。

カンのいい人はすぐに分かると思うが、高学歴側の女子は、まず10代で妊娠、結婚する真似はしない。高学歴側が正しいと言っているように聞こえるかもしれないがそうではない。単純な計算の問題に気づいたのだ。
高学歴側の女子は40年経った今、事実として子供が少ない傾向にあることが知られている。
(「平成29年出生動向基本調査」では、最終学歴が高いほど、未婚率が高く、子どもの数が少ない傾向が示されている。)

10代(20歳前)で子供を産めば20年以内にその子供も子供を産む確率は高くなると仮定する。逆に30代手前で子供を産む人の子供は晩婚化する可能性が高くなりそうだと仮定する。
この仮定がある程度正しいと、雑な計算だが40年前に10代で出産した人は今、そこそこ成長した孫がいる確率が高い。加えて厚労省のデータにより、学歴が低い女性ほど、子どもの数が多い傾向があることが示されているし、逆に高学歴の女性はまだ孫がいる確率も、多産である確率も低い。

この結果、何が起こるのか?

元ヤンキーと元レディースのメンチの切りあいがウケていると聞いて、私が40年前の未来予想を思い出しても不思議はないのではあるまいか?
もちろん私もドラマや映画でヤンキー同士がやりあうシーンをみて、単純に面白がることがあるし、麻生久美子さんと酒井若菜さんが元ヤンキーや元レディースという設定自体に笑ってしまえる。

その一方で、2016年参議院選挙の調査では、最終学歴が中卒や高校中退の有権者の投票率は、大卒有権者の投票率よりも20ポイント以上低いことが確認されているなど、様々な政府系の統計での結果を考えると、今の若者の投票率が、なかなか上がらないことに自然と合点がいくのである。

実際、専門学校、短大、大学で学生に先の国政選挙に投票に行ったか聞いてみたところ、びっくりするほど行っていないのだ。

今では40年まえのような「見るからにヤンキー」という人種はほぼ見当たらない。しかし今や日本は、投票に行かないという投票行動を示すヒャッハーな隠れヤンキーに、逆の意味で支配されているのだろうな・・・と感じてしまうのである。

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