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米大学注目選手&気になる演技【NCAA1週目】

2025年が始まり、2028年ロサンゼルスオリンピックに向けた新しいルールが発足しました。

毎年のことですが、アメリカでは年始から早速大学生たちがしのぎを削るNCAAが1月の2週目には既に始まっていました。
15の大学が1月~4月までほぼ毎週様々な組み合わせで対抗戦を行い、4月にNCAAファイナルが行われ、その年の優勝が決まるという長期の大会です。

アメリカの大学はこういう時、部の公式チャンネルで選手の演技をアップしてくれるので、シーズンが明けるまでの国際大会がない期間を潤してくれてありがたいです。

今回は1月の1週目に行われた対抗戦の中から印象的な演技を紹介します。


キャメロン・ネルソン(オハイオ州立大学)/ゆか

NCAAの幕開けとなる初日の対抗戦で体操史を塗り替える史上初の演技構成を持つ選手が現れました。
オハイオ大学のキャメロン・ネルソンは、かねてから3回宙返りを使う選手として国際大会にも出場していましたが、ここではひとつの演技の中に3回宙返りを2つ入れるというとんでもない演技を披露しました。

新しいルールになって演技構成にカウントされる技数が10技から8技に変更になりました。
初手になんと屈身3回宙返りナゴルニー(J)を成功!パリルールではI難度でしたが、ロスルールでJ難度に格上げされています。
本家のナゴルニー選手が2021年に発表して以来、第二の使い手は現れていませんでしたが、ここで第二の使い手が誕生しました。
さらに2コース目には抱え込みの3回宙返りリューキン(I)
リューキンもH難度からI難度に格上げされています。
3回宙返りを2つ入れた衝撃的な演技構成を見せてくれました。

8技でDスコア6.0を超えることは難しくなりますが、ネルソンは加点も駆使してDスコア6.2を記録しています。
早くもロスルール下における世界最高Dスコアを記録したのではないでしょうか。

ネルソンはつり輪と鉄棒でも3回宙返りを実施していて、まさに3回宙返りのスペシャリスト。

つり輪

鉄棒


イグナシオ・ヨッカーズ(オクラホマ大学)/あん馬

以前の記事でも紹介したヨッカーズといえば、Gコンバインの使い手でしたが、新たにブスナリを入れた演技構成を披露しています。

新ルールでは14点取るのも大変そうですが、14点台半ばは素晴らしい得点です。国内のローカル大会というのもあり、全体的な得点の相場が分からない状況下ではありますが、世界的にも上位層の点数になるのではないでしょうか。


マック・セイラー(オクラホマ大学)/あん馬

オクラホマ大学のセイラーはベズゴのさばきが綺麗で、SNSでは、これまでまだ誰もやっていない、3/4ベズゴ(ダフチャン)を使ったフロップを練習している動画を上げています。

新ルールになってショーンはE難度からD難度へ格下げされた一方で、ベズゴはE難度据え置きになりました。
これにより、ベズゴの需要と、ベルトンチェリ(3/4ショーン)を使ったフロップ・コンバインの需要はまずまず高まりそうですが、いよいよダフチャンを使ったフロップ・コンバインの実施例が出てきそうです。


パトリック・フープス(空軍)/あん馬

空軍所属のパトリック・フープスが新しい技を入れた構成を披露しました。
かねてからベルトンチェリを使ったGコンバインを得意としていましたが、それをアップデートさせて新たにHコンバインを実施しました。

パリルール下で爆誕したH難度のコンバインですが、使い手らしい使い手は日本の杉野選手しかいませんでした。フープスは新たにHコンバインの使い手として今後も常用してくれると嬉しいですね。


チャーリー・マイルズ(空軍)/鉄棒

同じく空軍のチャーリー・マイルズの鉄棒も紹介します。
彼の鉄棒では珍しい屈身のゲイロードを実施しています。

ゲイロード系の技は、ゲイロード、屈身ゲイロード、ペガン、マラス、コウディノフとありますが、これらの「ゲイロード系」の技は総じて難度が格上げになっています。
これからゲイロード系の需要が高まりそうなところでその片鱗が見えた気がしてわくわくします。


テイラー・バーカート(スタンフォード大学)/鉄棒

スタンフォード大のテイラー・バーカートの鉄棒も紹介します。
従来はトカチェフ3連続を使っていましたが、同系統の手離し技は2回までに制限がかけられたことで、新たに伸身ピアッティを入れています。
元々入れていたウィンクラーも実施して、終末には新しく3回宙返りを入れています。

アドラー系を使わずにシュタルダー1回半ひねりでグループⅢのD難度を確保しています。
元々使っていたウィンクラーはF難度からG難度に格上げ、終末の3回宙返りはF難度、終末のグループ点も0.6確保しています。
ヤマワキも綺麗にさばける選手で、かつてはウェルストロムも使っていたことがあります。ウェルストロムもウィンクラーと同様、F難度からG難度に格上げになったので、復活させるかもしれませんね。


アメリカのNCAAは動画が豊富なので、今後も面白い演技があったら都度紹介していきます。

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