蕭佑然(台湾)のあん馬/ 2019年世界選手権予選の演技
あん馬というのは何をしとるんだかわからんとか、これやってて楽しいのかとかいろいろ言われたりもしますが、あん馬がわかると体操を見るのがより楽しくなります。
今回は台湾の蕭佑然選手のあん馬を見ていきましょう。
2019年世界選手権では種目別あん馬決勝に残り、7位という成績を残しています。
また、台湾は団体で五輪出場権を獲得しており、蕭佑然は団体メンバーとして東京オリンピック出場を決めています。
今回はあん馬でよく使われる技として、「前移動」と「後ろ移動」という技を紹介します。
この技はほとんどの選手、それはそれはほとんどの選手が使う技なので絶対に覚えておいた方がいいですよ。
前移動と後ろ移動はそれぞれ別の技なのですが、セットで使われることが多いです。
前移動には【マジャール】、後ろ移動には【シバド】とそれぞれ名前がついています。
体操の技は初めて実施した選手のファミリーネームがそのまま技名になるのですが、この2つは両方ハンガリーの選手の名前ですね。
ここで前回も使ったこの画像の出番です!
「馬端」というのは両ポメル(②④)の外側の①⑤の部分のことを指すということは前回書きましたよね。ここでは馬端①を起点とします。
馬端①からスタートして旋回しながら前向きに移動、もう片方の馬端⑤にたどり着くとD難度の【マジャール】、
そして、馬端⑤からスタートして旋回しながら後ろ向きに移動、もう片方の馬端①にたどり着くとD難度の【シバド】がそれぞれ得られます。
もちろん①⑤が逆でも前方向、後ろ方向に移動していれば技は成立します。
大概の選手は前移動【マジャール】⇒後ろ移動【シバド】と往復して使うことがほとんどです。
以前、世界選手権に出場している選手に最も使われている技は何なのかという調査を一人暮らしの部屋で何日もかけて勝手にしたことがあったのですが、あん馬部門では【シバド】と【マジャール】が全体の8割もの選手に使われていたことがわかりました。
それくらい多くの選手に使われている技なので覚えておいて損はないです。
下の表では技名に番号を振ってますが、正直どこからどこまでが何の技かわからないと思うのでタイムを載せておきます。
0:53~が【マジャール】、0:56~が【シバド】ですね。
それ以外の技もD難度の技をたくさんそろえていて、且つリズムが乱れることなく終末技まで完遂しています。
腰も伸びていて、きれいな旋回ですね。
0:42~でも後ろ向きに移動しているのがわかりますでしょうか。
これは④の縦向き後ろ1/2移動なのですが、この技では馬背(あん馬の中央部分)から馬端までの距離しか移動していません。これだとB難度になります。
つまり、この縦向き旋回で行う前移動、後ろ移動というのは、移動する距離が長いほど難度が上がるんですね。
さらにどの部分を経由するかによっても難度が変わるのですが、それはまた別の記事で。
今回は前移動の【マジャール】、後ろ移動の【シバド】の2つ、そして移動距離が長い程難度が上がるということを覚えられましたね。
台湾というのは事実上「国」として認められていません。
扉絵に使用しているのは台湾(中華民国)の正式な「国旗」(青天白日満地紅旗)ではありますが、オリンピックではこの旗を使うことはできません。
台湾は「チャイニーズタイペイ」という「地域」としての出場が認められています。
そして「チャイニーズタイペイ」はオリンピック委員会旗と呼ばれる旗を使用します。
中華民国の国花である梅の花、国旗にも描かれている青天白日マーク、そして五輪マークが描かれています。
オリンピック以外の大会でもこの旗が使われています。
体操の世界選手権も例外ではありません。
もちろん東京オリンピックでもこの旗が使われることでしょう。
台湾のこういった現状もぜひ知っておいてください。
追記:台湾団体は決勝に進むことができませんでした。
蕭佑然も得意のあん馬で6.3という高いDスコアを通すことができず、予選落ちです。
終末でバランスを崩し、背中から落ちる形になってしまいました。
フロアを降りた後、コーチに泣きついている様子が苦しかったです。
手が長く安定した美しい旋回を選手なので今後Dスコアを積んであん馬でメダルを獲れる選手になってほしいです。