エプケ・ゾンダーランド(オランダ)の鉄棒/2018年世界選手権予選の演技
ロンドンオリンピック種目別鉄棒チャンピオン、オランダのエプケ・ゾンダーランドです。
2012年ロンドの林ピックで、コバチ系の3連続を成功させ、金メダルを獲得したゾンダーランド。
その名は一躍世界中に知られることとなります。
ロンドンオリンピック以降も世界選手権の種目別鉄棒で3度優勝。
ゾンダーランドといえば鉄棒、鉄棒といえばゾンダーランドです。
しかし、2019年の世界選手権、五輪予選となる大会で予選落ちしてしまいます。
これにより、ゾンダーランドが五輪に出場するには、種目別ワールドカップを勝ち抜かなければならなくなりました。
そこでゾンダーランドの壁として立ちはだかったのが、日本の宮地秀亨選手でした。
宮地選手は男子最高難度であるI難度の大技を携えてワールドカップに挑み、ゾンダーランドと肉薄する戦いを見せました。
結果、2年半の及んだ長期戦はゾンダーランドが競り勝ち、東京オリンピックへの切符はゾンダーランドに託されました。
ゾンダーランドは手離し技だけでなく、ひねり技でも高難度を連発して高いDスコアを持ちます。
そのひねり技の一つが《シュタルダーリバルコ》という技。
前々回紹介した【リバルコ】、そして前回紹介した【シュタルダー】からのひねり技、これらを組み合わせた、ひねり技最高難度の技です。
鉄棒では、手離し技はI難度までありますが、それ以外のひねり技はE難度が最高難度です。
E難度のひねり技は3つありますが、そのうちのひとつがこの《シュタルダーリバルコ》です。
文字通り、【シュタルダー】と【リバルコ】を組み合わせた技です。
これを文字に起こすと、「後方開脚浮腰回転とび1回半ひねり大逆手握り」になります。
リバルコは車輪から1回半ひねって大逆手で握る技。【リバルコ】でさえやる選手が少ないので、《シュタルダーリバルコ》をやる選手はごく限られます。
【リバルコ】のようなひねり技は、倒立に収めることが良しとされている技です。
ひねって大逆手で握ることも難しいのに、それを倒立に収めるとなると、減点は必至。
年々ひねり技に対する減点が厳しくなっていくにつれて、これらのひねり技を実施する選手が減っていきました。
ゾンダーランドもこの技をやる時とやらない時とがあります。
動画では、②【カッシーナ】と③【コバチ】を連続で、そして④【コールマン】も実施しています。
④【コールマン】の後にやっているのが⑤《シュタルダーリバルコ》です。
天は彼に二物を与えます。
ゾンダーランドは医者としての一面も持つのです。
2018年に医学博士号を取得し、医師として働きながら、東京オリンピックへの準備を進めてきました。
北京大会に初出場してから4度目のオリンピック。
医師になってからは初めてのオリンピックです。
大舞台の鉄棒で暴れてほしいですね。
無観客なのが惜しまれます・・・。