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体操の技を覚えよう【つり輪03】振動力技
つり輪ではこれまで「グループⅠ:振動技・振動倒立技」、「グループⅡ:力技」について紹介してきました。
チャプター01で振動倒立技があったように、振動系の動きから力技の姿勢に収めることで成立する技も数多存在します。
グループⅠ:振動技とグループⅡ:力技のハイブリッド、グループⅢ:振動力技について紹介します。
チャプター01の「グループⅠ:振動技」を紹介した際に出てきた技と、チャプター02の「グループⅡ:力技」で紹介した力技の姿勢が出てきます。
あらかじめこの2つの技グループを理解した上で当記事を見るとよりわかりやすくなると思います。
▼前振り上がり
振動技と力技との組み合わせでひとつの技とする振動力技ですが、チャプター01:振動技で紹介しきれていない要素をここで紹介します。
まず前振り上がり(A)です。
前振り上がりは、前方への振動の力を使って輪よりも上まで体を持っていき、支持の形を取るA難度の技。
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この動きを使って力技に収めることで、振動力技としての価値を持ちます。それぞれ前振り上がりを使った振動力技を紹介しましょう。
①前振り上がり脚前挙支持【B難度】
前振り上がりの動きから脚前挙支持の形に収める技。
前に振り上げた脚を下向きに下ろさずに前向きに維持します。
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②前振り上がり脚上挙支持【C難度】
前振り上がりの動きから脚上挙支持の形に収める技。
脚を上げたまま上昇局面を見せ、脚を上向きに維持しなければなりません。
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③前振り上がり十字懸垂【C難度】
前振り上がりの動きから十字懸垂の形に収める技。
脚前挙や脚上挙と比べて上昇の力は抑え気味。
十字懸垂に収める振動技全てに言えることですが、十字懸垂に収めるにあたって、肩の位置が輪よりも高くならないことが求められます。
画像の実施では脚前挙十字懸垂に収めています。
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④前振り上がり上向き中水平支持〔ロドリゲス〕【F難度】
前振り上がりの動きから上向き中水平の形に収める技。
グループⅢ:振動力技では最高難度のF難度が取れる希少な技ですが、難しさゆえに使い手が現れないのが現状。
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▼翻転
チャプター01でも紹介した翻転逆上がりの動きも、力技と組み合わせることができます。
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Ryohei Kato (JPN) - Still Rings - 2016 AT&T American Cup
⑤翻転逆上がり十字懸垂【C難度】
翻転逆上がりの動きから、支持ではなく十字懸垂に収める技。肩の位置が輪よりも高くなってはならず、逆上がりの最中は腕を横に広げた状態を維持しなければなりません。
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⑥翻転逆上がり十字倒立【E難度】
翻転倒立の動きで十字倒立に収める技。こちらも肩の位置が輪よりも高くならない実施が理想。
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⑦翻転逆上がり中水平支持【E難度】
翻転逆上がりの動きから中水平の形で動きを止め、姿勢を維持する技。
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ここまでは振動力技の中でもあまり見ることのない動きでした。
ここからはよく目にする、よく使われている動きになります。
▼後ろ振り上がり
最もよく使われる振動の要素が後ろ振り上がりです。
この動きで支持姿勢に収めるとA難度(グループⅠ:振動技に属する)が得られます。
力技にも持ち込みやすく、動きとしてもシンプルなので、種類も豊富です。
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KOSKI Elias (FIN) - 2022 Artistic Worlds, Liverpool (GBR) - Qualifications Rings
⑧後ろ振り上がり十字懸垂【C難度】
後ろ方向に振動を加えて体を振り上げ、十字懸垂の形に収める技。
近年のルール変更の影響でトップレベルの選手でも実施する例が増えています。
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⑨後ろ振り上がり十字倒立【E難度】
チャプター01で紹介した後ろ振り倒立と同じ動きで十字倒立に収める技。
⑥翻転十字倒立と同じくE難度。
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⑩後ろ振り上がり開脚上水平支持【B難度】
後ろ方向に振動を加えて体を振り上げ、開脚上水平の姿勢に収める技。
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⑪後ろ振り上がり上水平支持【D難度】
後ろ方向に振動を加えて体を振り上げ、上水平の姿勢に収める技。
⑩振り上がり開脚上水平はB難度でしたが、閉脚の上振り上がり上水平は難度が二段階上がってD難度。
また、つり輪のスペシャリストと呼ばれる選手はほとんどの選手が実施する技。
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⑫後ろ振り上がり中水平支持【E難度】
後ろ方向に振動を加えて体を振り上げ、中水平の姿勢に収める技。
つり輪が得意な選手はもちろん、得意ではない選手にも難度稼ぎで使われることが多い技です。
片の位置が輪よりも高くならない実施が理想的。
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▼蹴上がり
蹴上がりそのものは、要素としてよく見られますが、蹴上がりと組み合わせた高難度の振動力技はそう頻繁には見ません。
蹴上がりで体を起こして支持姿勢を作るとA難度の価値が得られます。
(グループⅠ:振動技に属する)
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⑬蹴上がり脚前挙支持【B難度】
蹴上がりの動きから脚を下げずに脚前挙の形を保つ技。
力技が苦手な選手やジュニア選手がグループ要求を得るために使われる技。
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⑭蹴上がり脚上挙支持【C難度】
蹴上がりの動きから脚を下げずに脚前挙の形を保つ技。
⑬蹴上がり脚前挙から難度が上がってC難度が得られます。
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⑮蹴上がり十字懸垂【C難度】
蹴上がりの動きから、肩の高さを輪の高さで維持しつつ、十字懸垂に収める技。
画像の実施ではノーマルな十字懸垂に収めていますが、脚前挙十字懸垂に収めても同様の技になります。
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⑯蹴上がり脚上挙十字懸垂〔モリナリ〕【D難度】
蹴上がりの動きから、脚を下げずに、肩の位置を輪の高さで保ち、脚上挙十字懸垂の形に収める技。
⑮蹴上がり十字懸垂から難度が上がってD難度が取れます。
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⑰後方蹴上がり中水平支持【E難度】
こちらは後ろ方向に蹴上がりの動きをして中水平の形に収める技。
⑫後ろ振り上がり中水平はつり輪が得意ではない選手にも使われますが、こちらはつり輪が得意な選手にしか使われていない印象。
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▼ホンマ
チャプター01でも紹介した、単体でもB難度が取れる前方翻転逆上がり〔ホンマ支持〕。
この動きも力技と組み合わせることができます。
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TOBA Andreas (GER) - 2022 Artistic Worlds, Liverpool (GBR) - Qualifications Rings
⑱前方翻転逆上がり脚前挙支持〔ホンマ〕【B難度】
〔ホンマ〕の動きで脚を下げずに脚前挙の状態で保つ技。⑬蹴上がり脚前挙と同様、力技の苦手な選手やジュニアの間で実施する選手が多い技。
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⑲前方翻転逆上がり脚上挙支持〔グラシア〕【C難度】
ホンマの動きから脚を下げずに脚上挙の状態で保つ技。
⑱ホンマ脚前挙から難度が上がってC難度。
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⑳前方翻転逆上がり十字懸垂〔ホンマ十字〕【D難度】
ホンマの動きから肩の位置を輪の高さで維持しながら十字懸垂に収める技。
ホンマの動きを使う力技では最もよく使われる技ですが、減点が厳しいことから回避する選手もちらほら。画像のように肩の位置が輪よりも高くならない実施が理想的。
画像の実施はノーマルな十字懸垂ですが、脚前挙十字懸垂に収めても同じ技になります。
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→前方翻転伸身逆上がり十字懸垂【D難度】
ちなみに同じ動きを伸身ホンマから実施しても難度は変わらずD難度。
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㉑前方翻転逆上がり脚上挙十字懸垂〔タナカ〕【E難度】
ホンマの動きから、脚を下げずに、肩の位置を輪の高さで維持しながら、脚上挙十字に収める技。
十字懸垂を使う振動力技でE難度が取れる貴重な技ですが、本家の完成度が高すぎて、以降使い手が現れません。
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つり輪の醍醐味である力技について、力のみを使う力技と、振動を使う力技を紹介しました。
姿勢の種類と持ち込み方の要素は豊富にあることで技にもバリエーションが生まれます。
脚上挙十字懸垂はノーマルな十字懸垂と同枠扱いだったり、持ち込み方によっては別枠かつ難度も変わります。ややこしいですね。
次回はつり輪の終末技について紹介します。
チャプター01 振動技・振動倒立技
チャプター02 力技
チャプター04 終末技