ロベルト・ツヴォロガルのあん馬/2019年世界選手権予選の演技
バルト三国・リトアニアから唯一の出場、オールラウンダーのロベルト・ツヴォロガル選手です。ヨーロッパ選手権の種目別鉄棒で優勝経験があります。
得意種目は鉄棒ですが、今回はあん馬を紹介します。
あん馬の頻出技として前回は【マジャール移動】【シバド】を紹介しました。こちらは2つセットで「マジャシバ」と呼ばれています。
「マジャシバ」は前後に移動する「移動技」ですが、今回は移動のない旋回技の特に頻出の技を紹介します。
ちょっと難しいですが頑張って覚えましょう。
まず、あん馬の旋回ひとつひとつは正面支持で始まり、正面支持で完了となります。正面支持とはお腹が下を向いて両腕で体を支えている画像のような状態のこと。(逆に背中が下を向いていると「背面支持」になります。)
そして、あん馬には「ループ」「シュテクリB」という旋回の種類があります。
「ループ」というのは一把手(一つのポメル)上で1回旋回をするというもの。
ひとつのポメルの上で縦向きに1回旋回をすればB難度の【ループ】が認定されます。このGIFでは縦向きで始まり縦向きで終わっていますが、
これは横向きから始まって縦向きで終わるループ
そしてこれは縦向きから始まって横向きで終わるループ
これらは微妙な違いですが、すべて「ループ」という一つの技として存在します。
もう一つの「シュテクリB」とはひとつのポメル上で旋回しながら旋回のスタートと反対の向きを向いて終わる技を言います。
ここではスタートは両ポメル上ですが、一つのポメル上からスタートする場合も同じ「シュテクリB」として取られます。
この「ループ」と「シュテクリB」をひとつのポメル上で3回、もしくは4回連続で実施することで【フロップ】という技になります。
3回連続で繋げるとD難度の【Dフロップ】、4回連続で繋げるとE難度の【Eフロップ】になります。
これは「シュテクリB⇒横~縦ループ⇒縦~横ループ⇒シュテクリB」と、4つ繋げているので【Eフロップ】ということになります。
そして、『「ループ」もしくは「シュテクリB」のどれかを2回』+『一つのポメル上でのロシアン転向』を組み合わせることで【コンバイン】という技になります。
「ロシアン転向」というのは以前の記事のあん馬の項目で教えました。
下を向いたまま体を旋回させる動きのことでしたね。
⇒【体操競技】男子各種目の覚えておいた方がいいことhttps://note.com/tajeda/n/n549b5c8bff22
【コンバイン】は2つの旋回の後にやるロシアン転向を何周回るかによって難度が変わります。
今回のロベルトは半周(180°)回っているので、「縦~縦ループ⇒縦~横ループ⇒ロシアン180°」でD難度の【Dコンバイン】になります。
このロシアン転向が1周(360°)になるとEコンバイン、2周(720°)になるとFコンバイン、3周(1080°)回ると最高難度のGコンバインになります。
ロベルトの演技を見てみましょう。
0:25~が【Eフロップ】、0:32~【Dコンバイン】です。
ちょっと難しいので、これからいろんな人のあん馬の演技を投稿する際にそれらを見てなんとなく一つのポメル上で3回か4回旋回してたらそれっぽい技なんだなと思ってくれればいいです。あとは下向き転向(ロシアン)の形だけでも覚えて【コンバイン】をしてるんだなっていうのがわかるようになると尚楽しめます。
ロベルトは前回のリオ五輪に続き2大会連続の五輪出場。
前回に比べて狭き門ではありましたが今大会も出場を決めました。
彼は2020年のヨーロッパ選手権の種目別鉄棒で優勝し、それがリトアニア勢が国際大会で初めて金メダルを取った事例だそうです。
素晴らしいことです。
ロベルトならば、東京オリンピックで種目別鉄棒の決勝に残れる力はあるかもしれません。
期待しましょう。
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