体操の技を覚えよう【鉄棒04】終末技
鉄棒の終末技というのは、すべての種目を通して一番最後、その大会のすべての結果が決まる技です。
団体総合、個人総合において正ローテーションと呼ばれる、
ゆか⇒あん馬⇒つり輪⇒跳馬⇒平行棒⇒鉄棒
個人総合ならばそれまでに50の技、
団体総合ならば152の技で得点を積み重ねた最後の最後、その競技を締めくくる技です。
思えばアテネオリンピックの28年ぶりの団体金メダルも、内村航平さんが大逆転で連覇を果たしたリオ五輪個人総合も、鉄棒の「伸身新月面」の着地がピタリと止まるシーンが切り抜かれることがほとんどです。
それほどに人々の印象に強く残る鉄棒の終末技にはどんなものがあるのか。
紹介しましょう。
①後方伸身宙返りおり【A難度】
シンプルな後方伸身宙返りです。
②後方抱え込み2回宙返りおり【B難度】
抱え込み姿勢で2回宙返りをするとB難度が得られます。
③後方伸身2回宙返りおり【C難度】
伸身姿勢で2回宙返りをするとC難度が得られます。
④後方抱え込み2回宙返り1回ひねりおり〔ツカハラ〕【C難度】
②抱え込み姿勢の2回宙返りに1回ひねりを加える技。
〔ツカハラ〕と名前がついていますが、「月面宙返り」「ムーンサルト」と広く呼ばれています。
⑤後方伸身2回宙返り1回ひねりおり【D難度】
④月面宙返りを伸身で行う技。
D難度という事もあり、鉄棒の終末技の中では最もよく使われる技です。
「伸身月面」「伸身ムーンサルト」とも呼ばれます。
⑥後方抱え込み2回宙返り2回ひねりおり【D難度】
②抱え込み姿勢の2回宙返りに2回ひねりを加える技。
④抱え込み2回宙返り1回ひねりを「月面」と呼ぶのに対し、
抱え込み2回宙返り2階ひねりを「新月面」と呼ばれます。
⑦後方伸身2回宙返り2回ひねりおり〔ワタナベ〕【E難度】
これがアテネオリンピックの団体金メダルや、リオオリンピックの大逆転劇で良く見る有名な技です。
伸身姿勢での2回宙返りに2回ひねりを加える技。
〔ワタナベ〕と名前がついていますが、あの名実況も言っていたように
「伸身新月面」と呼ばれるのが一般的。
⑧後方伸身2回宙返り3回ひねりおり〔フェドルチェンコ〕【F難度】
伸身姿勢での2回宙返りに3回ひねりを加える技。
世界でもできる選手はひと握り。
伸身新月面を見慣れている人にとっては「あれ、今ひねり多くなかった?」と思ったらおそらくそれが〔フェドルチェンコ〕です。
⑨後方抱え込み3回宙返りおり〔アンドリアノフ〕【F難度】
抱え込み姿勢で3回宙返りをする技。
ひねりは加えていませんが、⑧〔フェドルチェンコ〕と同じくF難度が取れます。
車輪でさえ体力を使うのに、最後に3回も宙返りをするのは体力お化けと言えるでしょう。着地を取るのが非常に難しい技です。
⑩後方屈身3回宙返りおり〔ファルダン〕【G難度】
屈身姿勢で3回宙返りをする技。
⑨抱え込みの3回宙返りよりも高さが必要、さらに着地もより取りづらいとあって難度はG難度。
終末技では最高難度になります。
パリ五輪に出場する選手にはこの屈身3回宙返りを使い手とする選手がいるので、もしかしたら迫力満点のこの技が見られるかもしれません。
⑪バーを超えて後方伸身2回宙返り1回ひねりおり〔ハイデン〕【D難度】
最後は特殊な終末技。
前方向ではなく、バーを超えて後ろ方向に体を投げ出し、⑤伸身ムーンサルトと同じ動きをして着地をする技。バーを超えながらするこの技は〔ハイデン〕と名前がついています。
手離し技に〔カッシーナ〕という技がありましたが、カッシーナはバーを掴まなくてもD難度が取れてしまうという超人技なんですね。
これで鉄棒の主だった技の数々が理解できたでしょうか。
理解が難しい方は何度も何度も画像を見返すと良いでしょう。
さて、次回は鉄棒における組み合わせ加点について紹介します。