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2019年つり輪チャンピオン イブラヒム・チョラック(トルコ)のつり輪/2020年欧州選手権種目別つり輪決勝の演技

2019年世界選手権の種目別つり輪で優勝し、世界チャンピオンとなったトルコのイブラヒム・チョラック選手。
東京オリンピックではつり輪のスペシャリストとしてつり輪1本でメダルを狙います。

2020年12月、コロナ禍の中、例年より半年遅れて自国であるトルコ・メルシンでヨーロッパ選手権が行われました。チョラックは世界チャンピオンとしてこれに臨み、ここでも種目別つり輪で優勝しています。

今回はチョラックのモリモリなつり輪の演技を見ながら、つり輪の頻出の技を覚えましょう。

今回は少し多いですが4つの技を覚えます。
つり輪のグループⅠ:振動技、振動倒立技に属するこの4つの技はつり輪が得意な選手、苦手な選手関係なく広く使われている技です。

・前方抱え込み2回宙返り懸垂【ヤマワキ】(C)
・前方屈身2回宙返り懸垂【ジョナサン】(D)

まずはこの2つです。
動画では、初めに力技を2つ実施した後、表の③④に当たる箇所で前方向に2回回る動きを2度繰り返しています。これは「前方2回宙返り懸垂」という動きで、抱え込み姿勢だと【ヤマワキ】屈身姿勢だと【ジョナサン】という技になります。
前方に2回宙返りをしますが、着地はせず、輪を握ったまま懸垂状態で終える技です。体を懸垂状態に落としたら次の振動技や振動力技に繋げるのが通例です。
このように、力ではなく、振動を使うことで様々な動きをするのがグループⅠの「振動技」になります。

次に
・翻転倒立(C)
・後ろ振り倒立(C)

今度は「振動技」を使って最終的に倒立に収める2つの技です。
「倒立」というのはわかりますよね。逆立ちのことです。
「倒」という字には「さかさま」という意味があります。
倒(さかさま)に立つと書いて「倒立」ですね。
体操競技において「逆立ち」という呼び方をすることはありません。

さて、「翻転」というのは振動を使って体を翻らせ、逆上がりのような動きをすること。

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「後ろ振り上がり」は振動を使って体の向きはそのままに輪の高さまで体を上げること。

後ろ振り上がり

この動きはそれぞれA難度の技として存在しており、足が下に来る純粋な支持の形を取ることで成立しますが、これらを足を下げることなく最終的に倒立に収めることで倒立技として成立します。

動画の⑧が「後ろ振り倒立」、⑨が「翻転倒立」です。

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演技中に笑う選手めちゃめちゃ怖いですね。

チョラックはEスコアで勝負する選手。
世界選手権で金メダルを獲得した時のDスコアはこれより0.2上げた6.2でした。そしてEスコアは決勝進出者の中でトップのスコアで優勝しました。
このヨーロッパ選手権でも着地を止めてEスコアは9.000を記録しています。
つり輪でEスコア9点台というのはなかなか出ないものです。
着地が止まった時の彼は強いですね。

Dスコアが拮抗し、比較的ミスが出にくいつり輪のスペシャリスト。
その中で勝つには、いかにEスコアを伸ばせるか、着地が止まるかどうかに懸かっています。

東京オリンピックでの団体は4人のみで構成されます。
トルコは団体での出場権は得られませんでしたが、個人出場枠で4枠勝ち取っている唯一の国。
その中の1枠がチョラックです。
トルコ勢は近年めきめき力を付けていますが、オリンピックでトルコ勢がメダルを取ったことは未だありません。トルコ勢史上初のメダルに一番近いのがチョラックだと思います。

期待と胸筋が膨らみます。

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