2022年4月第三週の体操ニュース
明日から全日本選手権が始まります。国内のシーズンの幕開けです。
一方、海外ではひと足先にシーズンが始まっていました。
そしてパリ五輪への出場資格も発表されています。
いよいよパリ五輪への道が開かれました。
今週のニュースです。
▼パリ五輪出場資格発表
2024年パリ五輪に出場するための基準が発表されました。
パリオリンピックの予選の仕組みは東京オリンピックの予選よりも簡素化されていて、団体は4人から5人に変更されました。
直近だと、今年2022年の世界選手権でまず団体の出場権を得る3カ国が決まります。
予選システム - 第30回オリンピック競技大会 - 2024年パリ大会
体操競技は男女とも書く96名が出場できます。
団体出場権を得た国は1カ国最大5人、団体出場権を得ない国は1カ国最大3人まで出場できます。
団体出場国は、団体メンバー5人のほかに個人で選手を出場させることはできません。
東京五輪では1カ国最大6人まで出場できましたが、パリ五輪ではどの国でも1カ国5人が最大という事になります。
基準1:2022年世界選手権団体決勝上位3カ国。
男子⇒1カ国5人×3カ国=15人
女子⇒1カ国5人×3カ国=15人
基準2:基準1で出場権を得た国を除いた、2023年世界選手権団体予選の上位9カ国。
男子⇒1カ国5人×9カ国=45人
女子⇒1カ国5人×9カ国=45人
基準1,2で男女とも各12カ国団体出場国が確定します。
ここまでで確定する出場枠は男女各60人。
基準3:2023年世界選手権団体予選において、団体出場権を得られなかった上位3カ国は個人出場権を各国1枠獲得することができる。
男子⇒1カ国1人×3カ国=3人
女子⇒1カ国1人×3カ国=3人
基準4:2023年世界選手権における、基準1,2で団体出場権を獲得した国の選手を除く男子個人総合予選上位8名、女子個人総合上位14名。ただし、1カ国につき1名まで。
男子⇒1カ国1人×8カ国=8人
女子⇒1カ国1人×14カ国=14人
基準5:2023年世界選手権種目別決勝の結果において、基準1,2,4に該当する選手を除く男女各種目最上位の選手。(決勝進出者に該当者がいない場合は予選の最上位者)
男子⇒各種目1人×6種目=6人
女子⇒各種目1人×4種目=4人
ここまでが2023年の世界選手権終了時点で確定する枠です。
基準3が団体予選での結果なのに対し、基準4は個人総合予選の結果を見る必要があります。
予選自体は団体も個人総合も種目別も同時進行で行われているので、どの道予選の演技がすべて終了すれば確定します。
基準3,4で確定する枠によって、基準5が予選時点で確定するか、決勝の結果を待って確定するかがわかります。
基準6:オリンピック予選となる2024年種目別ワールドカップで出されるワールドカップランキング上位2名。ただし、基準1,2で団体出場権を得た国、基準4,5で出場権を得た選手、基準3,4,5により3枠を獲得している国の選手を除く。
男子⇒各種目2人×6種目=12人
女子⇒各種目2人×4種目=8人
基準7:2024年大陸選手権の個人総合予選または決勝の最上位者。ただし、基準1,2で団体出場権を得た国、基準4,5,6で出場権を得た選手、基準3,4,5,6により3枠を獲得している国の選手を除く。
男子⇒各大陸1人×5大陸=5人
女子⇒各大陸1人×5大陸=5人
各大陸というのは、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アフリカの5大陸の事。
東京オリンピックの予選では、W杯で各種目1人ずつ、大陸選手権で2人ずつだったのが、パリ五輪ではW杯で各種目2人、大陸選手権で1人になりました。
開催国枠:開催国であるフランスがいずれの基準でも出場権を獲得できなかった場合、2023年の個人総合予選においてフランスの最上位者に割り当てられる。
フランスがいずれかの基準により1枠でも出場権を獲得した場合、基準4の次点の選手が割り当てられる。
男子⇒1人
女子⇒1人
ユニバーサル枠:IOC(国際オリンピック委員会)、ANOC(国内オリンピック委員会連合)、FIG(国際体操連盟)の三者委員会が各国の推薦を基に男女各1名ずつ出場選手を決定。
男子⇒1人
女子⇒1人
これらの基準を満たした出場者は男女各96名、東京五輪よりも2名ずつ減っていて、さらに狭き門となりました。
スペシャリストの枠を増やし、団体の人数を減らした東京五輪に比べ、オールラウンダーとスペシャリストの比重はリオ五輪のものに戻ったというイメージでしょうか。1カ国で出場できる最大人数が6人から5人に減ったとはいえ、東京五輪で6人出場することができたのは日本、中国、ロシアの3カ国のみです。それを考えると、出場選手の顔ぶれ的にはあまり変わりはなさそうにも思えます。強豪国から多く出場できれば大会自体もレベルの高いものになるのはもちろんですが、団体が5人になったことで、また五輪サイクルが3年になったことで戦略も東京五輪とは大幅に変わってくることと思います。
▼ドイツがクラブに所属するロシア選手を除外
ドイツが自国のクラブに所属するロシア選手との契約を解除したとロシア国営タス通信が報じました。
東京五輪団体金メダリストである、ニキータ・ナゴルニー、アルトゥール・ダラロヤン、ダビド・ベルヤフスキーのほか、代表クラスの選手たちもドイツのクラブに所属し、ブンデスリーガに出場していましたが、ウクライナ侵攻を受けて全ロシア選手との契約を解除した模様。
ドイツのほかに、イタリアとフランスも外国選手をクラブに所属させていますが、この2国は今のところそういった話は出ていないようです。
ダラロヤンはイタリアのクラブにも所属していることから、23日に行われる試合に出場する予定。
▼ロシア選手権 ダラロヤンがAA優勝
ロシア選手権が行われ、男女とも個人総合・種目別で各優勝者が決まりました。
男子の結果だけ下記に記載します。
女子の結果も見たい方はロシア体操連盟のページのページ下あたりからご確認ください。
個人総合
1,アルトゥール・ダラロヤン 82.198+81.031=163.229
2,キリル・プロコピエフ 81.664+81.166=162.830
3,ヴィクトル・カリュジン 82.432+79.863=162.295
種目別
ゆか
1,キリル・プロコピエフ 14.266
2,ニキータ・ナゴルニー 14.200
3,ダニエル・マリノフ 13.766
あん馬
1,ヴラジスラフ・ポリャショフ 14.733
2,ニキータ・ナゴルニー 13.633
3,ユリ・ブッセ 13.333
つり輪
1,グリゴリー・クリメンテフ 14.300
2,ヴィクトル・カリュジン 14.233
3,オレグ・ストゥプキン 14.033
跳馬
1,ニキータ・ナゴルニー 14.900/14.133 14.516
2,ヴラジスラフ・ノヴォクショノフ 13.833/13.966 13.899
3,ダニル・ロバチ 13.900/13.866 13.883
平行棒
1,ダビド・ベルヤフスキー 14.566
2,ヴィクトル・カリュジン 14.400
3,ヴラジスラフ・ポリャショフ 14.000
鉄棒
1,ダニエル・マリノフ 13.866
2,イルヤ・キバルタス 13.333
3,ヴラジスラフ・ポリャショフ 13.266
ナゴルニー、ベルヤフスキーは種目を絞って出場。それぞれ種目別で優勝しています。
ルール改正直後だったり、五輪後シーズン明けだったり、怪我明けだったりで全体的に寂しい結果です。
▼米国NCAA スタンフォードが強さ
米国大学スポーツの大一番NCAAが開催され、全米チャンピオンのブロディ・マローン率いるスタンフォード大が2位と大差をつけて団体優勝を勝ち取りました。
また、個人総合はミシガン大のポール・ジュダがマローンを破って優勝。
跳馬ではDスコア5.2のドリッグスを跳んでEスコア9.700。さらに内規加点0.1をもらい15.000というとんでもないスコアを出して種目別でも優勝しています。
米国体操協会:スタンフォード大がNCAA団体戦3連覇 ジュダは総合優勝V
NCAAのリザルトはE審判全員のジャッジが開示されているんですね。
こちらも男子の結果だけで失礼します。
団体
1,スタンフォード 423.628
2,オクラホマ 414.555
3,ミシガン 414.490
個人総合
1,ポール・ジュダ(ミシガン) 85.298
2,ブロディ・マローン(スタンフォード) 84.733
3,レイデル・ガンボア(オクラホマ) 83.398
ウィンターカップ優勝のビタリー・ギマランイスは4位でした。
ゆか
1,ブライアン・ぺルラ(スタンフォード) 14.800
2,ジェイコブ・ムーア(ミシガン) 14.633
3,ブロディ・マローン(スタンフォード) 14.600
あん馬
1,チェイス・クリングマン(ペン・ステイト) 14.000
1,ブロディ・マローン(スタンフォード) 14.000
3,ザック・ヌネス(オクラホマ)13.833
つり輪
1,ライリー・ルース(スタンフォード) 14.600
2,マーク・ベルラガ(スタンフォード) 14.533
3,ジェイヴィア・アルフォンソ(ミシガン) 14.366
跳馬
1,ポール・ジュダ(ミシガン) 15.000
2,コイ・ヤング(スタンフォード) 14.933
3,ザック・マーティン(スタンフォード) 14.900
平行棒
1,カラン・フィリップス(スタンフォード) 15.233
2,コルト・ウォーカー(スタンフォード) 14.600
3,エフゲニー・シミニウク(ミシガン) 14.400
鉄棒
1,ブロディ・マローン(スタンフォード) 14.700
2,ポール・ジュダ(ミシガン) 14.566
3,ジャック・フリーマン(オクラホマ)14.266
▼朝日生命が22年度をもって体操事業から撤退
体操名門クラブである朝日生命体操クラブが今年度、2022年度をもって体操事業から撤退するという事です。
塚原体操センター:朝日生命体操クラブ・朝日生命体操教室の業務運営につきまして(ご連絡)
朝日生命体操クラブは半世紀続くクラブで、1968年メキシコシティ五輪~1976年モントリオール五輪まで団体3連覇のメンバーである塚原光男氏を総監督としていましたが、数年前に息子でありアテネ五輪団体金メダリストである塚原直也氏が替わって総監督に就任していました。
しかし、塚原直也氏が3月をもって総監督を退任。現在は光男氏が再び総監督となっているようです。
理由としては、「女子体操界の強化の使命を果たし終えた」こと、練習拠点の老朽化などを挙げていますが、これらはおそらく外向きのものでしょう。
塚原体操センターは当社協賛終了後も体操事業を継続する意向だそうです。
現在朝日生命に所属している選手は、
市瀬達貴、松永直也、山田元大
相馬生、山田千遥、松永亜里紗 など
また、かつて所属していた山本翔一選手は朝日生命から地元大分県のクラブに所属を移しています。
そして、フィリピンから来日して朝日生命を拠点にしていたカルロス・ユーロですが、今年の全日本の班編成を見ると、所属から朝日生命の文字が消えて帝京大学のみになっています。
これらの動きもこの件と関係しているのでしょうか。
画像出典
https://olympics.com/ja/olympic-games/paris-2024
https://stanforddaily.com/2022/04/17/mens-gymnastics-earns-third-straight-national-championship/
https://tass.ru/sport/14392925
https://news.yahoo.co.jp/articles/b952c765362f0832ce91cddfc5e12bc4a20926fb/images/000
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?