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石偉雄(香港)の跳馬/2019年世界選手権予選の跳躍

香港が誇る跳馬のスペシャリスト、石偉雄です。

跳馬の世界最高難度、Dスコア6.0の技は、5つあります。
石は世界で唯一、種目別跳馬でそのうちの2本をそろえてきます。
ひとつは「側転跳び1/4ひねり前方かかえ込み宙返り1/2ひねり後方かかえ込み宙返り」という技には【リ・セグァン】の名前がついています。
そしてもうひとつ、「前転とび前方屈身2回宙返りひねり」という技には【リ・セグァン2】の名前がついています。

この2つは世界最高難度の跳躍技であり、ともにリ・セグァンの名を冠する技です。
「リ・セグァン」というのは北朝鮮の選手の名前から取られています。


【リ・セグァン】は、これまで紹介した側転とびの【アカピアン】などのような要領で着手後に抱え込み姿勢で1回ひねり、そして宙返りをもう1回加えた超大技です。
かなり複雑な技ですが、見てみましょう。

リ・セグァン1

そして、前回少し触れましたが、【リ・セグァン2】はこれまで紹介してきた【ドラグレスク】【ブラニク】の要素を組み合わせたものです。
【ドラグレスク】を屈身で、または、【ブラニク】に半ひねりを加えた技、どちらとも表現できます。技名というのは便利なものです。

リ・セグァン2

どちらもリ・セグァンの名を冠していることからもうかがえるように、かつて北朝鮮のリ・セグァンという選手がこの2つの技を携え、リオ五輪で金メダルを獲得しました。
当時は跳馬の最高難度を2つそろえる選手はリ・セグァンただ一人でした。
しかし、リ・セグァンが引退した今、最高難度を2本そろえる選手は石偉雄ただ1人です。

石は1本目に【リ・セグァン】、2本目に【リ・セグァン2】を跳んでいます。

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香港もまた、台湾のように、地域単位での出場が認められてています。
香港がオリンピックに初めて参加したのは1952年のヘルシンキオリンピック。
当時の香港はイギリス領。香港には自治権があったため、1951年にオリンピックへの参加が認められました。
以降、今回の東京オリンピックまで、モスクワオリンピックを除くすべての大会に出場。これまで夏季冬季合わせて金銀銅メダルをそれぞれ1つずつ、計3つのメダルを獲得しています。

香港史上4つ目のメダル獲得に燃えるのが石偉雄です。
最高難度2つを携えた唯一の選手として、香港から唯一の選手として、大舞台に挑みます。

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