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体操の技を覚えよう【つり輪04】終末技

全種目の共通項である終末技。
つり輪においては中技でのミスというのは起こりにくく、Eスコアで大きな差がつく要素は終末技の空中姿勢や着地にあります。
また、力技が苦手な選手はこの終末技で高難度技を使ってDスコアを稼ぐ戦法を使います。

それでは見てみましょう。


▼後方系の終末技

つり輪の終末技は後方系の宙返りが使われることがほとんど。
まず後方系の技さえ覚えてしまえば問題ありません。

①後方伸身宙返り【A難度】

シンプルな後方宙返り。
つり輪は終末技で着地に向かう際、握っていた輪を手離す必要があります。
よく見ると、宙返りの途中、足が上を向いている瞬間に輪を手離しています。輪を握ってスイングで高さを出すための局面と、輪を手離して着地に向かう空中局面がある事が分かります。


②後方伸身宙返り1回ひねり【B難度】

前項の①後方伸身宙返りに1回ひねりを加えることでB難度が得られます。
単に宙返りに1回ひねるというよりも、足が上を向いて手を放してからひねっていることが分かります。
実質、宙返りの後半部分だけで1回ひねっていることになります。


③後方抱え込み2回宙返り【B難度】

こちらは抱え込み姿勢で2回宙返りでおりる技。
抱え込み姿勢と屈身姿勢はB難度の価値が得られます。


④後方伸身2回宙返り【C難度】

こちらは③後方抱え込み2回宙返りを、体をまっすぐ伸ばした伸身姿勢で実施する技。伸身姿勢だと難度が上がってC難度が得られます。
画像の実施は体がまっすぐを通り越して反っている局面が見える素晴らしい実施です。


⑤後方抱え込み2回宙返り1回ひねり(月面宙返り)【C難度】

③後方抱え込み2回宙返り1回ひねりを加えた技。
こちらは足が上を向いた瞬間に手を放し、1回目の宙返りの後半部分でひねりをかけて、2回目の宙返りの前半でもう半分ひねり、2回目の宙返りの後半で着地の準備をしているという美しいさばきですね。


⑥後方抱え込み2回宙返り1回半ひねり【D難度】

今度は③後方抱え込み2回宙返り1回半ひねりを加えた技。
画像の実施では2回目の宙返りで一気に1回半ひねっている。
⑤後方抱え込み2回宙返り1回ひねりから半分ひねりを加えるだけでC難度がD難度になるという事で、着地は難しいながら使い手は少なくない。


⑦後方伸身2回宙返り1回ひねり【D難度】

⑤月面宙返り伸身姿勢で行う技。
つり輪の強いスペシャリストの間で良く使われる終末技です。
画像の実施は1回目の宙返りで半ひねり、2回目の宙返りで半ひねりをするハーフインハーフアウトと呼ばれるさばき。


⑧後方抱え込み2回宙返り2回ひねり(新月面宙返り)【E難度】

③後方抱え込み2回宙返り2回ひねりを加えた技。
オールラウンダーからスペシャリストにまで広く使われている終末技です。
滞空時間が短いゆえに2回もひねるのは難しいのですが、画像の内村さんのさばきは、脚割れもなく着地の準備局面が見えていて理想的な実施と言えます。


⑨後方伸身2回宙返り2回ひねり【F難度】

⑧新月面宙返り伸身姿勢で行う技。
滞空時間が短く、ひねりをかけにくい伸身姿勢で2回もひねるこの技は、
⑧新月面に比べて難度設定では1段階の格上げですが、実際の難しさははるかに上回っていると思います。


⑩後方抱え込み3回宙返り【G難度】

抱え込み姿勢で3回宙返りをする技。つり輪では唯一G難度が取れる技です。縦回転が得意な選手にとってはひねらずにG難度が取れるという事でおいしい技と言えます。
ただ、力技を散々やった最後にやると考えると脳みそがぶっ飛びそうです。


⑪後方屈身3回宙返り〔ウィッテンバーグ〕【H難度】
こちらは屈身姿勢での3回宙返り。つり輪では唯一にして最高のH難度が取れる技です。
この技が実施されたのは、歴史上で画像の一度だけ。アメリカのドネル・ウィッテンバーグが発表しました。


▼前方系の終末技

つり輪の前方系の技は後方系に比べてバリエーションが少なく、現代では使われることは少ないです。


⑫前方伸身宙返り1回ひねり【B難度】

前方に伸身宙返りをしながら1回ひねりを加える技。
ジュニアの選手によく使われる技ですが、B難度とあって旨みはありません。


⑬前方伸身宙返り1回半ひねり【C難度】

同じく前方に伸身宙返りをしながら1回半ひねる技。
⑫前方伸身宙返り1回ひねりよりも半分だけひねることでC難度に格上げになり、着地も狙いやすい。つり輪で点が取りにくいジュニア選手にとってはおいしい技です。


⑭前方抱え込み2回宙返り【C難度】

抱え込み姿勢で前方に2回宙返りをする技。
回転をかけるのも難しく、着地も難しい。③後方抱え込み2回宙返りはB難度でしたが、前方ではC難度になります。


⑮前方抱え込み2回宙返り半ひねり【C難度】

前項の⑭前方抱え込み2回宙返りに半ひねりを加えた技。ひねることによる難度の格上げはありませんが、着地が取りやすくなります。


⑯前方屈身2回宙返り【D難度】

今度は屈身姿勢で前方に2回宙返りをする技。後方の2回宙返りでは、屈身姿勢にしても難度は上がりませんが、前方の場合は屈身姿勢にすると難度が上がります。
着地は難しいですが、ひねりを加えずにD難度が取れることで使い手は多いです。
ただ、発展技に乏しいのが欠点。


⑰前方屈身2回宙返り半ひねり〔バラバノフ〕【D難度】

抱え込みと同じく、屈身姿勢での前方2回宙返りに半ひねりを加えても、難度の格上げはありません。しかし、ひねらない⑯前方屈身2回宙返りよりも着地の取りやすさは格別です。


つり輪の勝敗を決める重要な要素が終末技です。
技選び、実施、着地。つり輪でEスコアが取れる選手はこの鍛錬も怠りません。


画像出典
https://www.youtube.com/watch?v=iIcomwP3CZo


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