デバイス無線化計画② リモコン電源スイッチ
はじめに
Isolation Sphereは、完全球体のディスプレイを目指したプロジェクトです。その特殊な形状ゆえに、通常のデバイスとは異なる設計上の課題に直面しています。今回は、その課題の一つである「電源管理」について、リモコン電源スイッチを用いた解決策をご紹介します。
ワイヤレス化する機能は次の3つ
ワイヤレス給電
リモコン電源スイッチ
PS4コントローラー
今回は2のIsolation Sphereのリモコン電源機能についてメモします.
機能構成
リモコン電源ボタンをAliexpressから購入しました.
なかなかよくできていて,設定を変えるとmomentary/alternateのモードを切り替えます.
momentary:押している間だけONになり,離すとOFF
alternate:一度押すとON(離してもONのまま),もう一度押すとOFF
どちらでも好きな方を使えます.
出力電圧も入力端子にいれた電圧を使うので,5Vでも12Vでも使えるようです.これを使って外部から物理的に電源供給をスイッチイングします.
(というか,この製品を見つけたのでリモコンスイッチ実装しようと思い立ったのでした)
電源回路
電源回路①:TPS63020
以前から愛用しているLiPoに特化したTexas InstrumentsのDCDCです.TPS63000より電流の容量が大きいので,たくさんのLEDを点灯させるには向いているのでは,と思い採用.
https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12085
このICにはENピン(図中緑の線)をVINと同じ電圧にするとenable,GNDにするとDisableになるピンがあり,このピンを使ってDCDCの出力電圧のON/OFFを決定します.
そこでリモコン端子にTPS63020のVINであるLiPoの出力を供給してリモコンを機能(alternaleモード)させると,スイッチON時にはリモコンからENにLiPo電圧(3.7V)が供給されてTPS63020がEnableになり,LiPoから5V電源が供給されるようになります.
逆にリモコンをOFFにするとリモコンからの出力がGND(EN=GND)になるので5V供給が止まり,マイコンがOFFになります.
DCDCの出力からストップするので,待機時の電力消費が少なくなることを期待しています.
電源回路②:HX-2S-01
LiPoを2直列に接続(3.7+3.7=7.4V)する回路を作っています.
https://twitter.com/Yakatano/status/1814671258358800662
HX-2S-01
このようなICを見つけて,2SのLiPoの充放電をコントロールします.これをリモコンでON/OFFできるようにしてみます.
HX-2S-01にはTPS63020のようなENピンがないため,独自にスイッチ機構を作らないといけません.そこでTPS22918というPMIC(Power Management IC)を使ってDCDCに電源供給を制御することにします.
長押しによる電源オフ機能やリセット機能など,基本的な電源管理のできるICだと思い採用.この回路内を直接電源電流が流れることにも対応できるICだと思っています.
リモコンをmomentaryモードにして使用します.
リモコンボタンを押すとリセット信号として受け取られ,LiPoの供給を一度リセットします.長押しすると電源オフの信号がTPS22918に送られて電源供給をカットします.
これでリモコンで電源ON/OFFできるというわけ.
LiPoの出力をOFFにするので,電源OFF時にDCDCに流れないため休眠時の漏れを少なくする構成になることを期待してます
訂正
もともと,TPS63020での使用を前提にTPS22819を選定し,その後HX-2S-01(入力7.4V)に拡張したため入力電圧が最大5Vで選定してしまっていたものをそのまま間違えて使用してしまいました.
そのため,仕様を見直してTPS22810(最大18V)に変更しています.
よくよく調べると,ロードスイッチ部分は長押しなどに対応しているわけではないことも確認しています.
これはchatGPTに選定を協力してもらっていた時にSTM6601やLTC2953も候補として挙げられており,その際に混同したものと思われます.
まとめ
Isolation Sphereは,球体の外側は全てLEDとなっているため電源ボタンや給電のための電源コネクタを取り付けることができません.
そのため,今回は電源ボタンをリモコン化しました.これによって電源のON/OFFが球体を開けることなくコントロールできるようになります.