リアルxWeb3について考える:Celo x 地元珈琲店|スターバックス x NFT
Celoのコンセプトについて書いた前回の記事で次のリサーチの方向性考え中としていましたが、結局全方位で進んでいます(笑)その中で一つ、ReFiやCeloに絡むコーヒーの事例があったので、それを紹介して色々と考察してみようと思います。
具体的には、二つの記事からの考察です。スタバx NFTの記事と、Celo x地元の珈琲店の記事。順番に書いていきます。
スタバx NFT
スタバxNFT関連の記事はいくつか出ていますが、9月12日発表の内容自体は、Coindeskの記事などをご参照ください。Polygonを採用して、新しいポイントプログラム的になる、というものですね。
ここでは、少し著者の考察が入っている記事を紹介します。
記事で気になったポイント。そもそもスタバの顧客体験の提供について;
確かに思い返すと、スタバは、家ともオフィスとも違う、もう一つのThird placeになっているな、と思う。T-SITEでは読書もするし、仕事もするけど家でもオフィスでもない独特の環境。
WiFiの導入や、モバイルオーダー&ペイの導入も、当時はスタバが先進的だったとのこと。確かに、そう言われてみると、顧客体験的にはすごくよかった。今では普通になっているけど、これは便利。そういう便利な顧客体験を提供する文化が、スタバにはあるのかもしれない。
この二つのポイントから、Web3を導入して新たな顧客体験を生み出すというコンセプトには、少し期待をしてしまいたくなります。私の考察としては;
NFTエアドロされても、ホワイトリストからの転売しても、かなりコモディティ的なので、儲けはほとんど出ないと思われる。
ということは、投機層があまり来ない。投機層もこの時ばかりは一般人の顔になって、普通にスタバのコーヒーが好きとか、スタバの空間で仕事したりチャットしたりするのが好きでホワイトリストに登録してるのでは、と想像される。
Web3がマスアダプションに近づくんじゃないかというのを、少し感じている。NFT、Crypto、Web3みたいな単語は表に出さないようにケアしているのも良い。
一方で、ここからは敢えて若干批判的な"Hot takes"を書きます。
NFTを使う意味はあるのだろうか
スタバの従来のポイントで、スタバがやりたい事は十分達成できるはず。
Polygon使って一応Distributedにはなるけど、分散化は達成されずスタバという従来の中央集権的なのが生き続ける。(でもスタバって中央集権なんだっけ??GAFAとかSalesforceとかそういうのとはちょっと訳が違う気が・・・)
Web3の技術が黒子に徹するのは良いことなのか
それって果たして"Web3が"マスに刺さってると言えるのだろうか?
NFTとかCryptoはただの裏の技術になってしまって、Web3 techだからこそできる事というのが見えにくくなるし、逆にWeb3(Blockchain)の欠点が前面にじわっと出てきたりしないだろうか。(例:改ざん不可=書き換え不可=凡ミスできない)
所謂Web2.5みたいな領域では、目的/ゴールに合わせてWeb3の良いところ取りをするのが基本だとは思うが、簡単そうに見えて実はWeb2.5ってValue propositionの作り込みが難しいんじゃないかと思ったり。
Chain選定
Chain選定は、電力消費量等の理由でPolygonということだが、これは敢えて言うなら残念。
NFTホルダーが購入できる限定グッズの販売収益の一部は、スタバ従業員や顧客が選んだプログラムに寄付される、と。
寄付・・・という単語から思ったのは、Celoでいいんじゃないだろうか。というかCeloがマッチしているんじゃないだろうか。ReFiやCeloのコンセプトに合致する事が大いに実現できそうです。
Celoから思考が発展して、次に、San Franciscoの地元の珈琲店でCeloを採用して、NFT導入実証をしたという記事を紹介します。
Celo x 地元珈琲店
スタバxNFTですと少し大掛かりですが、これはもっとシンプルでSmall scaleな実証を実際にやってみたという例です。スタバでも、このシンプルな実証による、想像通りの結果&今後の展望などから、熟考に値する事が多いと思っています。スタバx NFTにもフィードバックできる要素があるはずですし、コーヒー店全般的に考察を活用できそうです。
では、早速記事を要約します。
実証の仮説
店が少額のRewardをNFTとして顧客に配布すると、その分顧客が定着&来訪頻度が上がりそう。
店側の視点では、少額のRewardによる損失<顧客の消費増による利益が成り立つのでは。
(物凄くシンプルな仮説ですね)
実証の方法
NFTを受け取った顧客は、実証期間中の10日間は、$4.5相当のコーヒーと交換できる。(無料でコーヒーを一杯飲める)
20人に声を掛けてNFTを配布。(←分からなかった所:Walletは皆持っていたのだろうか?Wallet導入のサポートをしたりした?)
$4.5相当の無料コーヒー以外に買いたいものがある人は、FIATで支払い。
結果
カフェの売上は増加。
口コミで、初めの数日内に7人が追加で実証に参加。
合計27人の内、4人はウガンダから参加。つまり、このウガンダの4人は実際にコーヒー無料券の引き換えはできなかったものの、Celo&このコーヒー店のコミュニティに参加したくて参加した。グローバルリーチができた!(まぁ確かに、、、嘘は言っていない笑)
10日間の試験期間中にSan Franciscoにいなかった参加者(ウガンダからの参加者除く)は、NFTをマーケットプレイス(OpenSea)に出品し、$7の利益を得た。
今後の展望
店側の視点で最低限の利益は確保できたが、もっと本格的に事業展開するなら、やはり機能性"Utility"が必要。具体的には以下。
新しいドリンクの導入について、NFT保有者のみが投票できる権利を有する。これは、カフェ側にとっても有用な消費者データの入手に繋がる。
NFT保有者のみを対象としたネットワーキングやその他のイベントを開催。
想像通りの結果に、想像通りの今後の展望。ですが、やってみた事に意味があると思います。
今後の展望を踏まえつつ、はじめのスタバxNFTの考察も意識しながら、思いついた事を書き殴ります。
グローバルリーチ / NFT保有者限定イベント
この二つのポイントについて、考察してみたいと思います。
NFT保有者のイベントをきっかけに、地元内でリアルに繋がる事ができる(地元珈琲店に来る人は大体近くに住んでいる)、というのはあるかもしれません。
San Franciscoから見て外部(市外・州外・国外)からのインバウンドの旅行者・出張者のリピーター層の獲得は面白いかも。そういう層は常に売上をもたらしてはくれないけど、NFTのようなオンラインの仕掛けがあれば、何か買ってくれるものがあったりしないだろうか。
ただ、例えばウガンダの場合、San Franciscoに定期的に来るような距離ではない・・・。そもそも地元珈琲店にグローバルってキーワードは必要なのだろうか。リアルに地元珈琲店のお店に来ない人がNFTを買ってくれると、確かに地元珈琲店にとっては外貨を稼げる手段にはなるが、投機的だったりしないだろうか、というのは気になるポイント。
Celo / ReFi方面の考察
個人的な最大の興味の所だったのですが、二つ目の記事で、Chain選定をCeloにした意義が、なんと記事に書かれていません。ただ、容易に想像はできますので、ここで私なりの考察を書きたいと思います。
コーヒーの木がCO2吸収している事が、Celo's stablecoin backed by natural-capital assets(Celoのステーブルコインは自然資本に裏付けられている)の概念とマッチする。ReFiのコミュニティには、森林や農地のCO2吸収を可視化する&検証機関とも連携するDAppsもあるので、大いに活用できます。
コーヒー農園の児童労働問題は有名ですが、それを解決する為、Celoの金融包摂のコンセプト、即ち、携帯電話ベースの決済&Stablecoinの仕組みが貢献できる余地がある。
やはり、Celoとコーヒーは複数の軸で親和性があると思うので、ぜひPolygonにとどまらず、Celoにも展開してもらったら良いと思う。
まとめ
上のスタバx NFTの記事も踏まえての話ですが、環境とか人権とか、コーヒーに共通するものとして、スタバでも地元珈琲店でも、共通の課題はあると思います。ReFiの仕組みの中心的存在であるCeloや、Celo上のDApps/DAOがその課題を解決できるとすれば、それは素晴らしい事です。
別の観点で、リアルxWeb3の事例からのマスアダプションの流れについては、こういう誰もが知ってるconsumerブランドのNFTプロジェクトは、ウォッチしておきたい。
(おわり)