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逆襲の飯山あかり(3)百田尚樹とマキャベリ「君主論」の共通点

過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目となる。
         リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッガー(元ドイツ大統領)


前回は、シリーズ第2回目の記事にして
いきなり話が脱線してしまった・・・。

私の筆が遅いことも原因の一つであるが
日々、状況が目まぐるしく展開していく中で
今後もこの様な状況が起こるかもしれない。

そのような時は、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう
細心の注意を払いつつ、これからも
途中でどんどん余談を挟んで行きたい!!(開き直り)

いやはや・・・兎にも角にも
見事に話の腰が折れてしまい
誠に申し訳ない。;。;

前回は大筋から離れ、余談となってしまったので
ここでもう一度、全体の構成を確認させて頂こうと思う。

この「逆襲の飯山あかり」シリーズは
原則として、次の4つの視点から
是々非々の姿勢で検証を重ねて行く構成となっている。

①日本保守党の評価すべき点 (←今、ここの途中)
②日本保守党の問題点 (すんごいボリューム感)
③飯山あかりの合理的な主張 (↑②と表裏一体)
④飯山あかりの主張の問題点 (ほんの少しだけ)


要するに、保守党に対しても、飯山さんに対しても
それぞれの良い面悪い面の両面を
できる限り「公平な視点で検証しよう」という趣旨である。

①日本保守党の評価すべき点」の最終回となる今日は
マキャベリの「君主論」という古典をテーマとし
その教訓に学びながら
百田尚樹氏が君主(党首)として相応しい存在かどうか
その点を考えていきたい。

■外交官「マキャベリ」の政治哲学


時は16世紀初頭
イタリア半島は群雄割拠の時代に有り
絶対的リーダーが不在であったフィレンツェ
時代の大波に揺れ動いていた。

そのような動乱の只中にあって
フィレンツェで外交官を任されていたニッコロ・マキャベリ
自らの外交経験を基に、君主になるための実践と思想をまとめ
当時の最高指揮官に一冊の書を送る。

それが「君主論」であった。

執筆されてから500年以上
「君主論」は時代を超えて
世界中の様々な指導者に読み継がれ
今日では「近代政治学の祖」とも言われている。

「君主論」の内容は大きく分けて、次の4つ。

  1. 国の分類とその征服、維持の手段

  2. 攻撃と防衛に関する軍事的側面

  3. 君主の資質

  4. 君主を待ち受ける運命論

この中でも今日は、主に「君主の資質」に関して考え
百田尚樹氏が君主(政党の党首)として
相応しいかどうかを検証していきたい。


■ 君主たるもの「歴史を学ぶべし」


「君主は歴史書に親しみ
読書を通して英傑のしとげた行いを
考察することが肝心である」

マキャベリ「君主論」第14章より


ニッコロ・マキャベリ

マキャベリは言っている。
「君主となるものは、歴史から学ぶことが大切である」と。

なぜなら、歴史は必ず繰り返すからだ。
・・・いや、正確に言えば、「繰り返す」のではない。

歴史は「韻を踏む」のだ。

歴史は繰り返さないが、韻を踏む。
         マーク・トウェイン

特に、この歴史問題というのは
日本において、非常に重要な問題でもあり
すでに、外交カードにまで利用されてしまっている・・・。


■□■ 天皇陛下を政治利用した中国


「1989年6月4日」

この日に起こった事を
我々は決して忘れてはならない。

しかし逆に、中国共産党はこの日に起きた事を
人々の記憶から消し去ろうと躍起になっている・・・。

自由と権利を守ろうとする人たちにとって
その記憶は守り続けられなければならないが
自由と権利を人民から奪い
「自らの権益」だけを守ろうとする共産党幹部にとっては
ただ、目障りな歴史の1ページに過ぎなかった。

1989年6月4日、北京の「とある広場」で
大挙した若者たちの訴える「自由」
共産党による軍事力を用いた「抑圧」が激しく衝突する。
それが・・・

あの、「天安門事件」だった。



あの日、天安門広場で何が起こったのか・・・。


そこでどれだけの血が流れ
どれだけの命が奪われたのか・・・
それを正確に知る者はいない。

中国共産党による公式発表によれば
民間人と軍、警察の全てを合わせて
319人が死亡」としている一方で
英国の公文書によると
「最低に見積もっても一般市民の死者は
10000人以上が中国軍により殺害された」
と報告されている・・・。

当時の読売新聞では「3千人が死亡」と報じており
中国当局による「319人」という数字は
何かを隠蔽しようとしている様にしか思えない・・・。

自由主義を掲げる西側諸国は
中国の暴挙を決して許さなかった。

中国に対して、即座に譴責あるいは抗議を発表し
G7による対中首脳会議の停止
武器輸出の禁止
世界銀行による中国への融資の停止
そのような、厳しい制裁包囲網を敷いた。

しかし、国際社会において孤立を深めていく中で
中国もただ、手をこまねいている訳にもいかない。
国家主席であった江沢民
制裁包囲網を解くため、遂に一つの打開策を見つけ出す。

それが・・・

「天皇陛下のご訪中」であった。


このような失態は断じてあってはならない事だが・・・
あろうことか、天皇陛下のご存在が
中国に都合よく政治利用されてしまったのだ・・・。

当時、是が非でも天皇陛下のご訪中を実現したかった江沢民は
水面下で日本側と交渉を重ねていたのだが
そこで辣腕を振るったのが
中国側の外交官、銭其琛せんきしんその男である。

銭其琛

彼は後に、回顧録『外交十記』の中で
この「天皇訪中」について、臆面もなくこの様に述べている。

西側の対中制裁を打破する上で積極的な役割を発揮し
その意義は両国関係の範囲を超えたものだった

銭其琛 「外交十記」

彼の言葉の通り、「天皇陛下ご訪中」の知らせは
西側諸国で国際ニュースとして駆け巡り
対中制裁網は、なし崩し的に解かれていってしまった・・・。

さらに、銭其琛は抜け抜けと
「西側陣営の包囲網の中で、最も結束が弱かったのが日本だ」
とも語っているのだ・・・。

その言葉の裏側で、日本を侮蔑し、嘲笑するかのような
彼の「高笑い」が聞こえてきそうである・・・。

そしてこれは、櫻井よしこさんのお話で伺った事であるが
得意満面の銭其琛は、後継の外交官を育成する際に
日本と折衝する際のテクニックとして
この様に指導しているらしい。

日本人に対しては、「歴史カード」を使え!


政治の世界に限らず、人心を掌握して人を操るにも
様々な手練手管がある。
最も多く使われる手段は賄賂、金銭だろう。
そして、美人局、ハニートラップ・・・

しかし、銭其琛は日本人に対して
お金やハニートラップよりも
「歴史カード」が最も有効であると断じている。

彼の言う「歴史カード」の本質とは
「日本人の贖罪意識」以外の何ものでもない。

つまり・・・
「日本人は先の大戦において
国際社会に大きな迷惑をかけ
とりわけ、中国には多大な被害をもたらした」

中国側は、そのような被害者として立場を針小棒大に強調し
日本人の「贖罪意識」をくすぐることによって
日本人を意のままに操ろうとしているのだ・・・。

「南京大虐殺は確かにあったのだ」
何の信憑性もない「30万人の死者」という
全く馬鹿げた数字をでっち上げて強弁している事も
首相の靖国参拝にあれだけイチャモンをつけてくる事も
源流を辿れば、すべて「そこ」に行き着く。

そして、さらにその根本にある
日本人に植え付けられた贖罪意識の原因こそが
GHQが日本占領下に行った
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」であろう。


■□■ 日本よ、歴史力を磨け!

アメリカに都合よく利用され
中国に利用され
ロシアに利用され
北朝鮮に利用され・・・
日本はいつまで、他国に都合よく利用され続けるのかと
ただただ、呆れ果てる以外にないのだが・・・
それもこれも、日本人がその歴史を
きちんと総括できていない事が原因ではないだろうか・・・。

そして、その日本人の「弱点」を
最大限に利用しているのが中国だ。

我々の隣に中国が存在しているという事実そのものが
日本が抱える最大の宿痾しゅくあである事は間違いない・・・。

しかし、誰にもそれを変える事が不可能である以上
まず第一に、日本人が歴史を深く学び
中国と向き合う方策を考えなければならない・・・。

中国がこれまで一貫して
日本に対して主張している事は
つまり・・・こういうことだ。

日本人は中国人に酷い事をしたんだ!

日本人は加害者で、中国人は被害者だ!

謝罪しろ!

慰謝料を払え!

言うことを聞け!


記憶に新しい所では、2021年に
中国ではこんな馬鹿げたことが起こっている。

ソニーの中国法人が「7月7日」
新商品を発売すると発表したところ
その日がちょうど、日中戦争の発端となった
盧溝橋事件から84年に当たる日
であったことから
「中国国家の尊厳を損なった」として
なんとなんと・・・北京市朝陽区の市場監督管理局が
ソニーの中国法人に100万元(約1770万円)の
罰金を科したのだ・・・。


もはや、開いた口が塞がらない・・・。


政治に無関心であったり、興味の薄い方々
特に、若い方々にとっては
この事が、とても不思議に思われるかもしれない。

「なぜ21世紀の令和の時代に
大昔の昭和にあった戦争の話を持ち出すのか?」

その理由は、日本にあるのではなく
むしろ、歴史を歪曲し、問題化することによって
日本を都合よく利用しようとする他国の存在に起因している。

正に中国のような
歴史を「外交カード」として利用する国があるからこそ
我々は、きちんと歴史を学ばなければならない・・・。

櫻井よしこ氏が、「日本人は歴史力を磨け」
というのも、全く理に適ったことだ。

そして、この「歴史」というテーマについて言えば
百田氏は、日本の通史である「日本国紀」を書いたその人であり
もちろん、彼は歴史について非常に造形が深い。

そして、これは重要な事であるが
歴史を知る上において
ただ、日本の歴史だけを知っていても
あまり役に立たない・・・。

日本の歴史を知り、世界の歴史も知った上で
日本と世界を比較して考えることができなければ
全体の歴史を俯瞰して考える事ができないのだ。

その点について言えば、私自身も恥ずかしながら
歴史については不勉強な部分がたくさんあり
今後も、百田氏の知識に学ばなければならない所が
多くあるだろうと思っている。

しかも百田氏は、日本の歴史のみならず
問題となる、中国の歴史についても
非常に豊富な知識を持っておられる。

そういった歴史に関する知識の深さこそが
日本保守党の、もう一つの評価すべき点ではないかと
私はそう考えている。

そして、とりも直さず
それは、マキャベリが「君主論」の中で語っている言葉・・・

「君主は歴史書に親しみ
読書を通して英傑のしとげた行いを
考察することが肝心である」

その意味する所と、全く同じなのだ。

■□■ 有本香氏の評価すべき点

そして今日は
日本保守党の評価すべき点についての最後の記事となるので
有本香氏の評価すべき点についても述べておきたい。

私は、有本氏の活動の中で最も評価すべき点は
やはり、彼女が長年尽力してきた
ウイグル問題だと思う。

2022年9月29日
中国でジェノサイド被害に遭っている
ウイグル人の証言集会が開催された。

有本氏はそこに登壇する予定だったのだが
その朝、虎ノ門ニュース出演後に
不運にも交通事故に遭ってしまい
右足に怪我を負って、救急搬送されてしまったのだ・・・。

しかし彼女は
右足4本が骨折したままの状態であるにも関わらず
車椅子でこの集会に駆けつけ
見事にスピーチをやり仰せたのである。

私はそのスピーチを動画で聞いて
有本さんは命懸けでこの活動をされているのだと
素直にそう感じ、深く心を打たれた・・・。

「虎ノ門ニュースのメンバーの中で
唯一、『真の男』と言えるのは
有本さんしかいない!!」と
有本氏は正に
「虎ノ門のマーガレット・サッチャー」
ではないかと
私は、それほどまでに感じていた。

この時の交通事故にしても「不慮の事故」なのかどうか
実際に分からないし、確かめようもない・・・。

そして、ウイグル人を手助けする活動をしている以上
中国当局から目をつけられていることも間違いない。

そんな中で、決してお金にもならないばかりか
命の危険まである活動を長年に渡って続け
しかも、突然の事故に遭い、足の骨を折りながら
有本氏はウイグル人の集会に参加したのだ・・・。

ウイグル集会への登壇に際して
有本氏は病床からこの様なメッセージを送った。

「今夜のウイグル証言集会は、行きます。
簡単にはくたばりません」

この日の有本香氏のスピーチは
正に、魂からの叫び声を聞いた思いだった・・・。

もしもお時間のある方は
是非、この動画をご覧頂きたい。


それでは、この辺りで
これまでの内容をまとめたいと思う。

私の思う、「日本保守党の評価すべき点」は以下の3点である。

①命を賭して日本を守った英霊に
恩返しがしたいという、百田さんの思い。

②歴史に関する非常に豊富な知識。

③有本氏のウイグル人ジェノサイドに関する
命懸けの活動。

(※政策に関しての評価は自明である為、割愛させて頂く)


今回の記事で、①日本保守党の評価すべき点は完結し
次回からは②日本保守党の問題点について述べさせて頂く。


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