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TRPG制作日記(507) 舞台に由来する目的
現在、洋館からの脱出を目指す対話型ゲーム、現代稲生物怪録TRPGを開発しています。
ある朝、四人の高校生が目を覚ますと洋館の正面広間にいた。広間にはスリコギ手と名乗る着物姿の娘がいて、明日の二十四時までに銀の鍵を手に入れることができなかった場合は全員を妖怪館に永遠に閉じ込められると伝えた。銀の鍵は洋館にいる妖怪が盗んだ可能性が高いようだ。また、銀の鍵を手に入れるために、補佐として妖怪が封じられたカードをそれぞれの高校生に渡していると教えてくれた。確認すると、確かに六枚ずつカードが配られている。さあ、高校生達は無事に銀の鍵を手に入れて妖怪たちの暮らす洋館から脱出することができるのだろうか?
今日は、舞台に由来する目的について考えて行きます。
ゲームとはルールの集まりであり、ルールはプレイヤーがゲームの外側から持ち込むことができるそのゲーム特有のルールというよりは、先入観や常識などの一般ルールと、これから遊ぶゲーム特有の特殊ルールの二つにより構成されています。
一般ルール 日常生活で必要とされてきた常識や習慣
特殊ルール これからプレイするゲーム特有のルール
また、ゲームは世界、舞台、人物、物語により構成されています。
ここで、見た者を殺す幽霊が出る病院など、舞台に与えられた特殊ルールは環境型特殊ルールと呼びましょう(幽霊を見ると死ぬとルールが、日常で経験する常識や習慣ではないため特殊ルールに該当します)。
多くの場合に、環境型特殊ルールは目的を生み出します。
現代稲生物怪録TRPGでは、主人公達は洋館に閉じ込められて外に出ることができません。
そのため、外に出るために、主人公達はスリコギ手という妖怪の要求をのまなくてはなりません。
これは現実世界においても言えることです。世界は人間のために創造されたのではなくて、ただ存在しています。
そのため、人間は世界を生存可能な状況にするために労働をする必要があります。それをしなかった集団は消滅したので、現在、労働を目的としていない集団と私達は会うことはありません。
ここで、世界の存在様式、舞台の状況から労働という目的が生まれます。
このように、舞台に特有のルールは、その舞台に存在している人物に対して目的を要求します。
舞台設定が人物の目的となり、人物は自分達の個性を活用しながら部隊が要求する目的を達成します。これがシナリオ攻略となります。
現代稲生物怪録TRPGにおいては、妖怪が存在しているために、隠れた裏の目的が発生しているでしょう。
実際、洋館に閉じ込められた、脱出に銀の鍵が必要だ、銀の鍵を盗んだ妖怪を見つけなくてはならない、という目的が存在していることは、同時に銀の鍵を盗んだ妖怪がなぜ銀の鍵を盗んだのかを要求するからです。
古典、稲生物怪録では、妖怪が現れる屋敷が登場しますが、なぜ平太郎の屋敷に妖怪が現れるのかは最終章で明らかになります。
ルールには目的と理由が生まれます。
今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。