TRPG制作日記(505) 劇場型の特殊ルール
現代稲生物怪録TRPGは洋館からの脱出を目指す対話型ゲームです。プレイヤーは洋館から脱出するために、妖怪が盗んだ銀の鍵を探します。
ゲームで遊ぶプレイヤーは二つのルールを意識しながら遊びます。一般ルールと特殊ルールです。
一般ルールというのは、ゲームとは関係なく日本社会で生きていくために必要なルールの総体です。殺人はいけない、盗みはいけない、他人を道具のように利用することは好ましくないなど、また他者の意見を尊重しなくては成らないなどの常識が一般ルールとなります。
病院を例にすると、医者と看護師がいる、病人がいる、騒いではいけないは一般ルールです。
しかし、ゲームならば、ここで「この病院には幽霊が出る」などのそのゲームにしかない設定、ルールが設定されます。
これが特殊ルールです。
特殊ルールにはキャラクターに与えられるものと、環境にあたえられるものがあります。
たとえば、「彼は幽霊を払える」はキャラクターに与えられる人物型の特殊ルールで、この病院には「幽霊がいる」は環境に与えられる環境型の特殊ルールです。
そして、環境型の特殊ルールは目的、対立、葛藤、決断を要求することによりゲームにドラマを与えます。
特殊ルールには、人物型と環境型という二つの軸にたいして、また別の日常型と劇場型の二つの軸があります。
日常型というのは、個人の思い込みや社会常識など、破ることにより賞罰の存在しないルールです。
たとえば、ある高校生が三十分前に必ず登校するという特殊ルールを決めていたとしても、それを破ることで罰則はありません。
しかし、「その病院で幽霊に見つかったら殺されるので幽霊に見つかっては成らない」、という特殊ルールは、幽霊に見つかることにより殺されるという罰を受けます。
また、現代稲生物怪録TRPGでは、銀の鍵を発見すると、日常に戻れるという報酬が与えられます。
このように、特殊ルールを与えることにより、目的、対立、葛藤、決断のドラマを生み出すことができて、また特殊ルールに賞罰を組み込むことによりドラマに強度を与えることができます。
もっとも、ドラマを劇場化することはプレイヤーの真剣度を上げてゲームをぎすぎすしたものにします。
そのため、強度の調節は重要です。
今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。