TRPG制作日記(146) 公開情報と秘匿情報
ボードゲーム型のロールプレイングゲームとして、TRPGとマーダーミステリーは有名ですが、この二つのゲームはキャタクターシートの作りに大きな違いがあります。
TRPGというのは、たとえば異世界の炭鉱のような場所(ダンジョン)でドラゴンを探しに行ったり、あるいは現代が舞台で魔物が支配する建物から脱出するようなゲームです。
多くのTRPGにおいては、キャタクターの設定が書かれたキャタクターシートはすべて公開情報となります。
ゲームによって異なりますが、プレイヤーはキャタクターシートの内容は秘匿する必要はありません。
いっぽう、マーダーミステリーというのは屋敷などで殺人事件が起きて、プレイヤーのなかの一人だけが犯人であり、その犯人を他のプレイヤーが発見するゲームです(犯人役は見つからないように頑張ります)。
犯人はプレイ終了まで自分が犯人であることを知られてはならないので、マーダーミステリーのキャタクターシートの一部は秘匿情報になります。
ただ、TRPGもマーダーミステリーもキャタクターシートを他のプレイヤーに手渡して見せるのではなくて、口頭で、ロールプレイを交えながらキャタクターシートの内容を公開していくのが普通です。
今日は制作中の『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGのキャタクターシートについて考えて行きたいと思います。
公開情報と秘匿情報
『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGには公開情報が書かれたキャタクターシートⅠと、秘匿情報(非公開情報)が書かれたキャタクターシートⅡが存在しています。
キャラクターシートⅠの内容は以下になります。
『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGでは、プレイ前にキャタクター紹介を行いますが、キャタクターシートⅠは、このキャタクター紹介で公開する内容になります。
いっぽう、キャタクターシートⅡの内容は、プレイ前ではなくてプレイ中に公開していく内容になります。
ロールプレイにおいて、キャタクターの個性として重要なのは公開情報と秘匿情報の関係です。
もともと、この二つの情報を別けたのは、キャタクターの本質が葛藤にあると判断しているからです。
公開情報というのは、基本的にはそのキャタクターが周りのキャタクターからどのように思われているのかということです。
いっぽう、秘匿情報というのは、本人と、そしてその人物を取り巻く人たちが知らないそのキャタクターの本当の姿です。
キャタクターシナリオにおいて、二条陽子や伊藤爽平という主なキャタクター達の秘匿情報はシナリオごとに変えていこうと考えています。
秘匿情報は、基本的には【キャタクター背景】にまとめられていて、このキャタクター背景に書かれていたことを尊重しながら、プレイヤーはロールプレイを行います。
このときに、そのキャタクターの重要な秘密ではあるものの、シナリオに直接は関係がない秘密も存在します。
たとえば、キャタクターシナリオ『二条陽子編(1)初心者屋敷』では二条陽子が皇女であることや、彼女が護国主義者という外国勢力から狙われていることはロールプレイにおいて重要ではありません。
むしろ、木星でY・Fという有名なカードプレイヤーだったという情報の方が重要になります。キャタクター背景も、このことを前提に書かれることになります。
秘匿情報において、判断が難しいのはキャタクター目的です。
『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGは、基本的にはキャタクターシートⅠの自己肯定感を、探索と対戦を上手にこなすことにより高めていくことを目的としています。
自己肯定感は最高値が100で、プレイ終了時に達成したキャタクター目的の数値を自己肯定感に足して成績にします。
今更ですが、自己肯定感とキャタクター目的が連動しているのは、少し複雑なシステムです。
自己肯定感だけならとにかく、キャタクター目的が存在していることがロールプレイを難しくします。
なぜなら、プレイヤーは自分が担当するキャタクターの個性とシナリオ目的だけではなくて、自己肯定感とキャタクター目的にも気を配らないとならないからです。
マーダーミステリーにおいては、犯人捜しというシナリオ目的と、たとえば特定のアイテムを手に入れるという個々のキャタクターのキャタクター目的があることはゲームを崩壊させません。
しかし、同時に、多くのマーダーミステリーはゲームが複雑であるためにロールプレイが難しくなっているのも間違いありません。
ロールプレイについて考えること、自分が担当しているキャタクターについて考えることは、キャタクター目的を達成すること、他のプレイヤーと駆け引きすることと両立するのは難しいのです。
ロールプレイに集中していると、キャタクター目的のことについてはすっかりと忘れているものです。
実際には、キャタクター目的とキャタクター背景、そしてシナリオがうまく組み合うことでロールプレイを豊かにできることが可能かもしれないのでテストプレイしだいです。
とはいえ、秘匿情報があること、ゲーム性があることはロールプレイを妨げる可能性が高いことは常に意識する必要がありそうです。
多くのゲームとは異なり、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGの目的はシナリオ攻略ではなくロールプレイを楽しむことにあるということは常に意識しておきたいです。
今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。