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【舞台芸術のツボ】「泣ける」大道芸?!はせがわ天晴さんのパフォーマンスを味わおう
5歳のときから舞台芸術をこよなく愛する19歳、なかおたいようです。舞台芸術にはまるきっかけとなった出来事や、楽しむツボをお伝えしていきます。
長年通いつづけることで見えてきた「舞台芸術のツボ」
おはようございます。たいようです(@butaigeijyutu)。ぼくは、5歳のときからずっと大道芸や落語などの舞台芸術が大好き。忘れられない思い出を通して、舞台芸術を楽しむ「ツボ」を少しずつみなさんにお伝えできればと思います!
今回のお話は、九州のベテランパフォーマー、はせがわ天晴(はせがわ・あっぱれ)さんのマイム作品について語ります。
白黒ボーダーシャツがトレードマークのはせがわ天晴さん。
パントマイム歴は、なんと・・・35年!
人生の深みを感じさせる作品が特長です。
「パントマイム」というと、コミカルで楽しい作品を思い浮かべませんか?でも、ベテラン・はせがわ天晴さんの演目の中には、しみじみ泣けるものもあるんです。
2014年に観て虜になり、今も味わい深さを増している作品『父』を紹介します!
映画を観終わったかのような余韻がおしよせる
はせがわ天晴さんのマイム作品の1つ、「父」。
3分くらいの小作品のなかで、典型的な日本のお父さんの30歳から90歳までの60年間を、子どもの成長をからめながら演じている。
せりふではなく動きと表情だけで、可愛がっていた子どもの成長、その喜びや切なさを伝える。
これは赤ん坊をあやしているシーン。表情から愛おしさが溢れ出している。音楽もあいまって、感動が押し寄せる。
このあとの、子どもを肩車するシーンでは、ぼくが幼い頃、父の肩車から見えた景色と重ってじんわり。
親の60年間を描いた作品。「今、うちの両親は人生のこの時期にいるんだな」作品を観ながら、自分の両親の「60年」に思いを馳せてみる。 両親と過ごせる時間の大切さを感じる作品だ。
「父」を初めて観た小6の時、天晴さんワールドに魅せられ、 映画を一本観終わったような余韻にどっぷりと浸り、現実の世界に戻れずにいた。
「すごくいい作品があるんだ」と学校の友達や先生、そして家族に伝えたい!その一心で、「風笛(※作品中に使われている曲)」をかけながら「父」を練習したものだった。
パントマイム作品に込められた想いを知る
その後も大道芸祭やオンラインなど色々な場所で幾度となく「父」を観る度に嬉しさがこみ上げていた。天晴さんが大道芸祭に出るのを知るたびに、 「今日は『父』を演じますか?」と天晴さんご本人によく伺っていた。たぶん最年少の『父』ファンだっただろう。
『父』は、マイムをはじめて7年目の初自主公演で、仲間7人と演じた20分の『おやじ』がもとになっている。2008年に、天晴さんのお父様が亡くなられた時に『おやじ』をアレンジした作品。天晴さんにとっても、思入れのある作品なのだろう。
「父」だけではなくほかの作品も、パントマイムの真髄が伝わるこだわりの作品ばかり。
2020年に「マイム⭐︎シアター」劇場で観た、スポットライトの中の「りんご」が印象的だった。サン・サーンス「白鳥」のゆったりとした音楽が流れる中、上手にりんごの皮をむいていくパントマイムにうっとり。
天晴さんがりんごを口いっぱいに頬張り、美味しそうに食べているパフォーマンスは甘い香りまで感じた。「りんご」ははせがわさんがマイムをはじめて2年目に作った作品だそう。人それぞれの価値観が見られる作品だなと思った。
また、作品『蝶』は「パントマイムの神様」「沈黙の詩人」と呼ばれたパントマイムの第一人者であるマルセル・マルソーの『蝶々とり』をリメイクした作品。
天晴さんのアレンジが加えられ、生命の大切さを伝えているように感じた。天晴さんバージョンの「蝶」は石川セリさんの『小さな空』という曲が使われ、とてもスローテンポで和む。
作品の歴史や思い入れを知ると、またぐっと楽しみが深くなるのでおすすめだ。
追記:人柄もすてきな、はせがわ天晴さん
博多リバレインホールで行われた「つながり寄席」を観に行った時のこと。
最後に写真撮影をしようと、はせがわ天晴さんが伊藤夢葉さんを呼んできてくれた。公演後の慌ただしい中、伊藤さんは「写真撮影ならばジャケットを着ないと」と再び裏へ行き、若草色のジャケットを羽織り、赤いハンカチーフを胸に入れ、「お待たせしました!」と登場。
天晴さん、伊藤さんと3ショットが撮れた。
その細やかな心使いがとてもうれしかったことを、今でも覚えている。
天晴さん、伊藤さん、ぼく。
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#舞台芸術のツボ #大道芸 #フェスティバル