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2025年東京大学英語の総評
🌟全体概観
120分という限られた試験時間の中で、読解総合・英作文・リスニングなど、英語のあらゆる技能を満遍なく試される構成になっていました。配点は120点で、大問数は5題。形式自体に大きな変化はなく、ここ数年の傾向と大きく違わない印象です。
ただし、分量(昨年比で減少)とされている一方で、実際には「読解箇所の語数が多め」だったり、「要約や記述、さらに英作文をしっかり書かないといけない」など、時間配分の難しさは相変わらずです。最終的には迅速な読み取りと的確なアウトプットが求められる試験でした。
全体的な難易度は「昨年並」で、東大英語らしい、「日本語要約」「和文英訳」「自由英作文」「長文読解」「リスニング」など多角的に英語力を試す問題が目白押し。細かい語法知識や文法力、リスニングの聞き取り能力まで問われるため、バランス良く学習してきた受験生が有利になる構成です。
📝時間の使い方のコツ
⏰要約や英作文、和訳などはどうしても時間がかかりがち。あらかじめ自分なりに解答プランを用意しておいて、適宜仕上げることが大切です。
⏰リスニングを含め、問題全体に素早く目を通して分量を把握し、どこにどれだけ時間を割くかを試験前からシミュレーションしておきましょう。
⏰限られた時間内にどれだけ精度を落とさず作業できるかがポイントです。見直しの時間を確保できるようペース配分を工夫するのも大事ですね。
🌟大問ごとの分析
◆大問I (A)「大意要約」 難易度:標準
テーマ:死の定義が曖昧化してきた背景
字数指定:70~80字程度
要約問題としては例年と同じスタイルで、「与えられた英文を読み、そのポイントを日本語でコンパクトにまとめる」形式でした。本文は約320wordsほどで、そこまで読みにくい部分はありません。ただし、「死の定義」が揺らぎつつある理由や、どのような変化が見られるのかなど、いくつかの論点が含まれているため、必要な要素をきちんと拾い上げて、指定字数内に収めるのが最大のポイントになります。
🔑ポイント1:序論・本論・結論を素早く把握
要約では、筆者の主張や理由の流れを的確に追うことが大切です。どこを削るか、逆にどこを残すかのメリハリが重要。🔑ポイント2:文字数制限との戦い
70~80字というのは意外と短く、余計な言葉を入れるとすぐにオーバーしてしまうので、冗長な表現は避けましょう。
◆大問I (B)「客観・記述 文枠挿入」 難易度:標準
テーマ:人間同士の言語の特性
本文は約800語程度、選択肢は約100語で、さらに不要選択肢が1つある形式です。「speech」や「言語学」に関する話題で、紛らわしい表現がところどころに見られました。
🔑ポイント1:不要選択肢を見極める
本文の流れに合うものを丁寧に比較するのが効果的。合いそうに見えて微妙にズレている選択肢が混ざっていることがあります。🔑ポイント2:前後のつながりを意識
挿入すべき文が前後の文脈と論理的にかみ合うか、指示語や接続語の流れが正しいかをチェックすると精度が上がります。
◆大問II (A)「自由英作文」 難易度:標準
テーマ:「意見を言わないということは同意していることを意味するのか?」
字数:60~80語
昨年は少し違う方式の自由英作文も出題されましたが、今年は「1つの主張に対して、自分の考えを述べる」オーソドックスなスタイル。身近なトピックながら、単純に賛成or反対を述べるだけでなく、「意見を言わないこと」と「相手の主張に同意すること」の関係性をどう整理するかが問われました。
🔑ポイント1:序論・理由付け・結論の型を意識
英作文で書きやすい流れは、(1)結論→(2)理由→(3)具体例や補足→(4)まとめ。60~80語なら、理由を2つほど挙げるとちょうどよい分量になります。🔑ポイント2:自然な英語表現を練習
日常会話では「No comment」や「I have no opinion」など言い方はいろいろ。例を出しながら書くと説得力が増します。
◆大問II (B)「和文英訳」 難易度:やや難
内容:権力の作用や、「支払いに何十年かかっても」といった表現を英訳する
一見、直訳できそうに思えても、実際に自然な英語にするためには工夫が必要でした。特に、どの部分を主語にするか、どう目的語を置くかなど、細かい言語構造の違いが難所。
🔑ポイント1:文構造を整理してから訳す
「誰が何をするのか」が明確になるよう、主語と動詞をしっかり意識しましょう。日本語では曖昧に書ける部分でも、英語でははっきり書く必要があります。🔑ポイント2:時間表現に注意
「何十年かかっても支払う」という表現をどう英文化するかは、時制や語順の選択がポイント。
◆大問III (A)「オオカバマダラ(蝶)の長距離移動」 難易度:やや難
英文長さは約530語。北米の蝶がどのように渡りをするかなど、やや専門的な話題をモノローグ形式で聞き取る問題でした。設問は5問ほどで、内容一致や講義の要旨に関する問題が含まれています。
🎧聞き取りのコツ1:キーワードを聞き逃さない
渡りの時期やルートに関する情報など、数字や固有名詞は特に注意。メモを取りながら聴くことで、選択肢を消去法で絞り込めます。🎧聞き取りのコツ2:専門用語にビビらない
「Monarch butterfly(オオカバマダラ)」といった単語が聞き取れなくても、文脈で補う練習を日頃から積んでおくと安心です。
◆大問III (B)「嵐のコレクターへのインタビュー」または「蝶の世界トーク」等の対話形式
難易度:標準(約520語)
架空のラジオ番組的な形式で、専門家へのインタビューやゲストトークという流れ。対話形式はモノローグと違い、話者が入れ替わるタイミングで情報が飛び交います。
🎧聞き取りのコツ1:話者ごとに要点を整理
Aさんが何を主張しているか、Bさんがそれにどう答えているか。雑談が長いときは大事な内容だけをピックアップしましょう。🎧聞き取りのコツ2:接続語や相槌にも注目
「Actually,」「Well,」「Exactly!」など、対話特有の補足や同意表現が次の内容を暗示することも多いです。
◆大問III (C)「都市の枯生について」 難易度:標準(約520語)
モノローグ形式の講義スタイルで、こちらも5問前後が出題。都市における植生や環境に関する専門的な話が展開されるため、細部まで聞き取らないと誤答しやすい問題でした。
🎧聞き取りのコツ1:正誤問題の選択肢を先に確認
大まかな流れやキーワードを抑えておけば、テクニカルな語句が出ても対応しやすいです。🎧聞き取りのコツ2:対比構造に注意
「昔はこうだったが、今はこうだ」といった対比構造が出たら、問題で問われる可能性が高いので要チェックです。
◆大問IV (A)「正誤判定(文法・語法中心)」 難易度:標準
テーマ:ゲームにおけるルールや社会との関わり(約460語)
長めの英文のなかに文法や語法の誤りを指摘する設問が入り、正誤を判定するタイプ。抽象度はやや高めですが、問題そのものは文法知識で対応できる要素が大きかった印象です。
🔑ポイント1:接続詞・時制・前置詞を中心に
こうした正誤判定問題では、典型的な文法ミス(主語と動詞の一致、比較構文のミスなど)をまず疑いましょう。🔑ポイント2:文脈も軽視しない
ゲームの「ルール」や「結果」などがどう論じられているか把握しておくと、文意に合わない語句を見破りやすいです。
◆大問IV (B)「英文和訳:検閲の起源」 難易度:標準
分量:約270語
下線部訳が3つ出題されており、指示語や省略されている主語・目的語を適切に補いながら訳す力が試されます。難解な単語は少ないものの、英文の含意や流れを丁寧に追わないときれいに訳しきれない箇所がありました。
🔑ポイント1:指示語の内容をしっかりと補う
“this”や“it”が具体的に何を指しているのかを文脈から取り出し、日本語できちんと明示しましょう。🔑ポイント2:日本語として通じる自然な表現を心がける
あまりに直訳にこだわると不自然な文章になり、採点上の評価も下がりがちです。文脈に合った意訳を適度に織り交ぜるのがコツ。
◆大問V「長文総合:アレルギーの形態変化」 難易度:標準
大問Vは約890語の長文。ここ数年東大の最終大問で定番となっている「エッセイ+筆者の体験談」が題材になっており、読みやすさは比較的保たれています。しかし、設問形式としては読解設問3問、語句説明1問、簡易要約1問と多様。自分の言葉でまとめる問題もあるので、あらかじめ段落ごとに情報整理をしながら読む姿勢が必要です。
🔑ポイント1:段落ごとの主張を整理する
エッセイ形式は、筆者の主張→具体例→まとめ、という流れが多いため、どの段落が何を説明しているかをざっくりつかむのが読解の近道。🔑ポイント2:下線語句の意味問題は前後の文脈で判断
長文中のフレーズを言い換える客観問題が出ることが多く、類義表現や文脈上のニュアンスをしっかり読み取る練習が大切です。
🌟今年のポイント
さて、ここまで各大問の特徴を見てきましたが、今年の東大英語で特に注目すべきポイントをまとめると、次のようになります。
🍎1. 要約と英作文のセットで問われる「書く力」
大問I(A)の日本語要約、大問II(A)の自由英作文、さらに大問II(B)や大問IV(B)など和文英訳・下線部訳を含めると、書く問題のボリュームが多いです。どれだけ素早く正確に書けるか、日頃の演習量がものを言うでしょう。
🍎2. リスニングでの細かい情報把握
大問IIIは3つのセクションに分かれた聞き取り問題で、それぞれ約520~530語の内容を処理しつつ5問ずつ程度解答する形式。内容が専門的だったり、数字や固有名詞が出てきたりするので、正確なメモ取りと英文を俯瞰する力が求められます。
🍎3. 時間内に処理しきるための「速読+精読」の切り替え
読解問題の語数自体は増えたという指摘がある一方、試験全体の分量としては「減少」とされている面もあり、そこに惑わされやすいです。結局、要約や英作文にしっかり時間が取られるので、長文パートを素早く読み、必要なところをしっかり精読するテクニックが不可欠になります。
🌟まとめ
🍀難度の総評と合格に必要な正答率
今年の東大英語は、昨年並みの難易度といえます。要約・英作文・リスニング・長文読解など、オールラウンドにまとまっているため、特定の分野だけが極端に難しいというわけではありません。
合格を目指すには、全体でおよそ6~7割以上を安定して取れる実力が必要です。特に要約と英作文で大きく失点すると巻き返しが難しくなるため、ミスのリスクが高い記述問題をどれだけ落ち着いて処理できるかがポイントでしょう。
🍀今後の学習アドバイス
過去問演習で東大特有の「要約」「英作文」に慣れる
🍎過去問は最強の対策教材です。必ず制限時間を守って実践的に解き、要約や作文を添削してもらう習慣をつけましょう。
英作文・要約のテンプレートを自分の中で確立しておく
🍎結論→理由→具体例→まとめ、などの型が身についているかどうかで、限られた時間での完成度が左右されます。
リスニングは専門的なトピックにも慣れる
🍎難解な内容でも、大まかな流れを追いかけ、要点をすくいとる練習を積むこと。英語ニュースやTEDなど、さまざまな音声素材で鍛えておくと安心です。
文法・語法の基礎力は落とさない
🍎大問IV(A)のように、文法ミスを指摘する問題では手堅く点を拾えます。時制・仮定法・前置詞など頻出分野をしっかり固めましょう。
「速読+精読」の二刀流を磨く
🍎英字記事などを使って、まず全体の構成や筆者の主張を素早くつかむ練習と、気になる箇所をじっくり読む「精読」を日常的に行うと、試験本番で役立ちます。
🍀試験当日の取り組み方
最初の5分で設問の配置と分量を把握して、どこに時間を割くかあらかじめ決めましょう。
リスニングのパートでは、選択肢を事前にザッと確認しておき、どんな情報を聞き取る必要があるかを明確にするのがカギ。
記述問題は後回しにしすぎないのもポイントです。読解問題を全部先にやっていたら作文に時間がなくなってしまった…という失敗を避けるため、必要に応じて順番を入れ替えるなど工夫してみてください。
今年の東大英語も、「基礎を重視して英語力を総合的に鍛えよう」というメッセージが強く感じられる内容でした。要約力、和訳力、自由英作文、リスニングまで、どれも手を抜かずに勉強してきた人が高得点を取りやすい設計です。
🚀最後まで諦めない集中力
🚀自分なりのテンプレートと解答手順
🚀丁寧な見直し
これらを徹底することで、十分合格ラインに届くはずです。試験の傾向が大きく変わらない限り、来年以降も同様の対策が有効でしょう。過去問・模試などを活用しながら、ぜひ「時間内にすべてを処理し、記述も抜かりなく書き切る」練習を積んでくださいね。
みなさんが納得のいく形で実力を発揮し、合格を勝ち取れるよう心から応援しています。引き続き、バランスの良い学習を心がけて頑張ってください!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。英語が苦手な人も得意な人も、コツコツと積み重ねていけばしっかり結果は出せます。自分を信じて前進していきましょう。みなさんの健闘を祈っています!