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2025年京都大学英語の総評


🎉全体概観

今年の京都大学英語は、大問数が昨年の3題から4題に戻ったことで「いつもの京大スタイル」に近い構成に見えました。長文読解の合計語数は昨年よりやや増えたものの、空所補充問題がなく、すべて記述形式の出題に統一されているため、じっくり読解力と記述力を問う内容になっています。

制限時間は120分で、大問I・IIが読解、IIIが和文英訳、IVが自由英作文という構成。それぞれ設問がいくつか設定されていて、下線部和訳や内容説明問題、条件英作文といったオーソドックスな「京大らしさ」が詰まっています。難易度としては、昨年より「やや易化」したとの声が多く、時間配分も工夫すれば取り組みやすい印象です。ただし、下線部和訳の数が多く(I~III合計で8箇所)バランスよく解くには読解力と記述力を効率的に発揮する必要があります。

では、それぞれの大問ごとにもう少し細かく見ていきましょう!


🎯大問ごとの分析

◆大問I「言語の多様性の危機」〈やや易〉

📝出題形式と難度

  • 読解問題(約550語)

  • 下線部和訳が中心

  • 語彙レベル:標準~やや難

  • 全体難度:やや易

今年の大問Iでは「消滅の危機にさらされている言語」というテーマが取り上げられました。少数話者しかいない言語が世界には数多く存在し、それらが存続の危機に立たされていることを語る文章です。下線部を自然な日本語に訳す問題がメインで、文構造の把握と正確な語義の理解がポイントになりました。

📝特徴と攻略ポイント

  • 🤔 複雑な修飾の見極め
    英文中には“however unconsciously”など、副詞句がどこにかかっているかを見誤りやすい表現が含まれました。前後の文脈をしっかり追い、どの語を修飾しているのかを丁寧に確認しましょう。

  • 🤔 語彙レベルは標準的だが、見慣れない単語にも留意
    “vulnerable”や“comprised”など、大学受験レベルでは比較的標準的な単語もあれば、“rugged”のように普段あまり出会わない単語も登場しました。文脈や派生形に注目して意味を推測する訓練が大切です。

  • 🤔 下線部和訳の「前後の文脈把握」
    下線部自体の構造がそれほど難しくなくても、その前後にある具体例や言及される概念を踏まえないと、意味が通りにくい日本語になりがちです。「small language communities」「hunter-gatherer groups」など、例示されている部分もしっかり読んでおきましょう。

📝得点アップのコツ

  • 👀 主語・動詞・修飾語を拾うトレーニング
    京大の和訳問題は、1文がやや長く複雑になりやすいです。構文を「SVOC」「修飾部」とブロックに分解して和訳する練習を日頃からしておくと、本番で正確な訳出ができます。

  • 👀 例示に注意を払う
    「○○の一例として~」という流れで書かれることが多いので、そこを意識することで文脈をつかみやすくなります。


◆大問II「ビッグバン理論」〈標準〉

📝出題形式と難度

  • 読解問題(約589語)

  • 下線部和訳+内容説明問題あり

  • 語彙レベル:標準

  • 全体難度:標準

大問IIでは「ビッグバン理論」に関する文章が登場しました。筆者がビッグバンという名称に抱く違和感や宇宙誕生のシナリオについて説明している内容で、やや論理的な内容解釈が必要となる一方、専門知識は不要で読みやすい構成になっています。

📝特徴と攻略ポイント

  • 🤔 下線部内容説明問題の復活
    2025年度は、久しぶりに「下線部を制限字数内で説明しなさい」という形式の問題が登場しました。設問(1)のように「直前の文脈を要約する」パターンでは、必要十分な情報だけをまとめる能力が試されます。抜き書きではなく自分の言葉で短くまとめる力がポイントです。

  • 🤔 長い関係詞節や連鎖する節の把握
    “which explains … and which will tell us …”のように、二つ以上の関係節が連続している文が見られました。節の境目やそれぞれの先行詞を正確に認識することが求められます。

  • 🤔 熟語表現の注意
    “go some way to …”は「いくらか(何らかの)役割を果たす」のような意味で、単語単体だけでなく熟語として把握しないと誤訳しがち。“not so much A as B”「AというよりむしろB」という構文も定番のひとつです。

📝得点アップのコツ

  • 🚀 要約力の強化
    京大の内容説明問題は、例年「核心をシンプルにとらえて説明する力」を重視してきました。キーワードを見極めて、不要な枝葉を落としながら「最小限の日本語でまとめる」練習を普段から心がけてみてください。

  • 🚀 関係詞や分詞構文の処理
    英文を読む際、まずは「先行詞+関係詞」をペアで見つける癖をつけると良いです。長文を読んでいるときも、構造分析は面倒がらずに確実にやりましょう。


◆大問III「和文英訳:心と表情の関係」〈標準〉

📝出題形式と難度

  • 和文英訳

  • 全体難度:標準

大問IIIは「人間の心と顔の表情の関係」をテーマにした和文英訳でした。たとえば「微笑むことで気分が上向く」ような内容を英語でどう表現するか、といった実践的な英作文力が試される問題です。

📝特徴と攻略ポイント

  • 🤔 日本語特有の表現を英語に置き換える
    「口角を少し上げる」は英語で“lift the corners of one’s mouth a little”とするのも一案ですが、「微笑を浮かべる」と意訳して“put on a slight smile”などと書くこともでき、どちらも自然な表現になります。どのように英文に落とし込むか柔軟に考える力が大切です。

  • 🤔 比較表現や抽象的な言い回し
    「一般的なイメージ以上に」といった比較表現をうまく英語に置き換えるときは、比較級(“more than we commonly think” など)や副詞句(“more significantly than expected” など)を上手に使うと表現力が上がります。

  • 🤔 自分で文章を再構成する力
    和文英訳では、書いてある日本語をただ直訳するだけでなく、英文として読みやすい流れに組み替える必要があります。主語や動詞の位置、代名詞の使い方など、細かい点にこだわりましょう。

📝得点アップのコツ

  • 💡 日本語を英語に変える「語順感覚」を養う
    英語と日本語では文の組み立てが大きく異なります。和文英訳の場合はとくに語順変換の練習が重要。「主語は何か?」「動詞はどれか?」を一つひとつ意識しましょう。

  • 💡 使い慣れた表現をストックする
    「気持ちを前向きにする」「イメージ以上に」など、日本語によくあるフレーズを英語にするときの定番表現は自分の中にいくつかストックしておくと便利です。


◆大問IV「条件英作文:人工知能は人間の想像力を豊かにするか」〈標準〉

📝出題形式と難度

  • 自由英作文(条件英作文)

  • 全体難度:標準

大問IVは「人工知能(AI)の普及によって、人間の想像力は豊かになるか、乏しくなるか」という賛否を選び、論証する英作文でした。おおむね80~100語ほどのパラグラフ構成が求められ、まず自分の立場を明確にしたうえで、理由や具体例、結論を順序立てて書く必要があります。

📝特徴と攻略ポイント

  • 🤔 段落構成の指示に従う
    「主張 → 説明 → 結論」という流れは自由英作文の典型的なスタイル。あらかじめ使える表現を決めておくと、試験本番で迷う時間を減らせます。

  • 🤔 具体例を盛り込むと説得力アップ
    賛成なら「AIを使えば膨大なデータを瞬時に分析でき、人間には思いつかない新しいアイデアを発見できる」、反対なら「AIに頼りすぎると人間の思考力が退化し想像力を失うかもしれない」など、具体的な例を一つ入れるだけで説得力が大きく変わります。

  • 🤔 字数制限を意識し、無駄なフレーズを削る
    指定された語数を超えないように、まずは短めに書いて、余ったら少し肉付けするのがコツです。いきなり長文を書き始めると、後で削るのが面倒になり、構成が崩れる可能性があります。

📝得点アップのコツ

  • 🚀 型を覚える
    自由英作文は「序論 → 本論 → 結論」という三部構成が鉄板です。さらに、意見を述べる定型表現(I strongly believe that … / There is no doubt that … / On the other hand, … など)をいくつか覚えておくとスムーズです。

  • 🚀 英単語・構文の豊富さより「筋が通った内容」
    難しい単語を無理に使おうとして文全体がおかしくなるより、シンプルでも明解な論理でまとめたほうが高評価を得やすいです。


🌟今年のポイント

さて、ここからは2025年の京都大学英語に共通するポイントや、学習のコツをお話しします!

🎈ポイント1:読解は「構造分析+要約」が命

  • 😃 空所補充なし、すべて記述形式
    今年は空所補充問題がなくなり、すべて自分の言葉で書く形式になりました。これは、単に文法知識を試すだけではなく「いかに英文を正確に読み、表現できるか」をより重視していることを意味します。

  • 😃 和訳と内容説明問題が中心
    下線部和訳や内容説明は、文脈や文構造を把握していないと解けません。特に内容説明問題では「指定字数内に必要十分な要素を含める」要約力が求められます。

🎈ポイント2:英作文は「型+柔軟な表現力」

  • 😃 和文英訳と自由英作文が両方出題
    京大の定番である和文英訳は、文構造の緻密な再現が必要。一方、自由英作文では「主張・理由・結論」の流れを明確に示す論理力が問われます。両方をバランスよく対策しましょう。

  • 😃 条件英作文は段落構成が決め手
    指示された構成に合わずに書いてしまうと、大幅な減点につながる恐れがあります。さらに、AIなど時事的な話題の場合、自分の意見をしっかり固めておくと当日困りにくいです。

🎈ポイント3:時間配分と集中力

  • 😃 120分で4題を解くペース配分
    大問I・IIの読解はそれぞれ500~600語ほど。内容説明や和訳箇所も多いので、各大問にどれくらい時間を割くかを練習段階でシミュレーションしておきましょう。

  • 😃 後半の英作文に時間を残す
    英作文は“書けば書くほどいい”というより、質が大切です。構成を練ったり、推敲したりするには一定の時間が必要なので、読解問題であまり粘りすぎないことも大事です。


✨まとめ

今回の京都大学英語は、昨年と比べるとやや易化しましたが、相変わらず「精読力」と「記述力」が重要な試験でした。合格のために必要な正答率は、大問I~IIの読解で6~7割ほど、IIIの和文英訳とIVの自由英作文では大きな失点を避けて6割程度以上をキープしたいところです。全体として、バランスよく得点して合計点を底上げすることが合格ライン到達のカギになるでしょう。

🏆合格に向けた学習アドバイス

  • 📌 単語力・熟語力は常にアップデート
    京大レベルでは、一見簡単そうな文中にもしれっと難単語が登場しがちです。日々の暗記をおろそかにせず、地道に語彙を増やしましょう。

  • 📌 精読+要約力のトレーニング
    京大英語の読解は、高度な文法知識と日本語での表現力が同時に要求されます。日頃から「英語を正確に読む → 主な内容を手短にまとめる」練習をセットで行うと効果的です。

  • 📌 英作文は「正確さ・伝わりやすさ」を重視
    派手な表現を追い求めるより、自分が使い慣れた語句や構文で、論理的に誤解なく伝えることを目指しましょう。自由英作文でも、内容と構成に一貫性があれば十分高得点が期待できます。

  • 📌 時間配分のシミュレーション
    過去問を解くときは、実際にストップウォッチを使い、120分という時間の中でどの程度各大問にかかるかを把握することが大事です。どこで時間を短縮できるかを自分なりに分析しておくと、本番でのペース管理がうまくなります。

  • 📌 継続的な学習こそ最大の武器
    京大受験は短期的な詰め込みだけではカバーしきれない「本質的な読解力」を見ます。毎日の学習の中で、長文をじっくり読む時間・表現力を磨く英作文の演習を続けましょう。「量より質」の考え方をベースにしながら、最終的には解くスピードと量も確保できるように鍛えていけば合格に近づきます。


読み書き両面の実力が試される京大英語ですが、しっかり対策すれば得点を積み上げるチャンスが多い試験でもあります。みなさんの今後の勉強の参考になれば幸いです。焦らずコツコツ取り組んで、ぜひ本番で実力を発揮してくださいね!応援しています。頑張りましょう!

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