2024年10月制限【御巫】考察まとめ
10月末のYACSと11月頭のYCSJ当選を契機に2024年10月制限から半年ぶりくらいに【御巫】に復帰、というよりも遊戯王自体に復帰しました。
相変わらずデッキの選択肢は無いに等しいので、ようやく炎属性プッシュの環境が落ち着き苦手寄りだった対面がそれなりに減ったこともあり、再び【御巫】を握ることにしました。
これまでの競技シーンでも【神碑】が増えたり【天盃龍】が増えたりと、ことあるごとに“理論的には”【御巫】で戦えると考えているわけですが、今回も同じく【ライゼオル】などのギミックによる有利対面が多いなら“理論的には”やれる環境だろうという考えのもと構築を進めていきます。
なお【御巫】についての基本的な解説などは過去記事に載せているので、未見の方はそちらも合わせてご覧いただければと思います。
理論の部分
【ライゼオル】が装備付き《フゥリ》の布陣を超えることが困難であることがまず絶対的優位点です。
先攻で盤面を広げられなくても《フゥリ》+「御巫」罠だけでそれなりに耐えます。
後攻の場合も《フゥリ》に対する召喚無効がなければ【ライゼオル】が魔法の発動無効を持たないので以降の「御巫」装備魔法の発動に対して【ライゼオル】は何もできません。
また《水舞踏》が《バグースカ》に対する解答として綺麗に使えるのも優位点のひとつです。
※12月追記
TERMINAL WORLD2の新規追加によりシェアを伸ばしてきた【ジェムナイト】に対しても有利で、メインギミックではこちらの基本盤面を突破できず《アクセスコード・トーカー》くらいしか解決札がないので妨害の当て方が明確です。
これらのことを意識した上で採用カードを選択していきます。
今期の重要な採用カード
《珠の御巫フゥリ》
今期の最重要ポジション。条件下で「御巫」カード全てに対象耐性を付与して【ライゼオル】などを詰ませます。
最低限の盤面形成や後攻での捲りを考えると、今まで以上に通常召喚権を《フゥリ》に使うことになるので、組み合わせ初動ではあるものの素引きしたいカード筆頭です。このことから今期は3枚フル投入が安定だと考えられます。
《フゥリ》を3枚フルにしたことで通常召喚権を使う初動の《宣告者の神巫》や《アショカ・ピラー》などの採用は仮に入れるにしても枚数を落とすことになりそうです。
とは言えそれぞれの役割は次に挙げる「ドラグマ」ギミックとも微妙に異なるので、プランに合わせた採用は検討しても良いでしょう。
《天底の使徒》&《教導の大神衹官》
【ライゼオル】対面では盤面に置かれる《ライゼオル・クロス》が《オオヒメ》の効果を阻害するため一番厄介なので、その前に《クロス》を《旧神ヌトス》で手軽に踏めるこのセットはほぼ必須です。
《クロス》さえどうにかなればあとは手札の《オオヒメ》で装備付き《フゥリ》成立までのパーツを揃えて盤面を作るだけです。
ただし強い面だけでなくあらゆる妨害を受けてしまう弱い面もある(特に《ドロール&ロックバード》は激重)ので、とりあえず引けていればなんとかなるカードではないということは意識すべきです。
調整ポイント~YACS(10月末)の場合~
この時期は【ライゼオル】が特に多く、次いで【M∀LICE】や【メメント】、【アザミナ】系あたりが上位でそれらを仮想敵としました。
調整ポイントとしては有利対面の【ライゼオル】にメイン戦での勝率を落とさないこと、【M∀LICE】へのピンポイントメタを強めにすることを意識しました。
1.通常召喚権初動
基本的には《フゥリ》に通常召喚権を割くわけですが、この通常召喚権で相手の手札誘発などの妨害をチェックできるならそれに越したことはありません。
通常召喚権による初動の考察はこちらから↓
《天底の使徒》+《教導の大神衹官》のパッケージを採用する場合、《大神衹官》の素引きも考慮するなら、通常召喚権から《転生炎獣アルミラージ》→《セキュア・ガードナー》の繋ぎで《大神衹官》を場に出力するシチュエーションもそれなりにあり、その過程で相手の手札誘発をチェックできると《大神衹官》の効果を通しやすくなるので、思っている以上に通常召喚権は大事です。
《フゥリ》を通常召喚するだけでも、その後の装備魔法発動時点で対象耐性が付くことから、罠サーチを嫌うならここで無効系誘発撃つしかなくチェックができるため案外悪くはありません。
《フゥリ》に通常召喚権を割く場合は必ず2枚初動になるため、初期手札5枚のうち残り3枚で貫通または妨害を目指す必要があります。
《フゥリ》との併せ持ちで初動になるパターンとしては《水舞踏》、《迷わし鳥》、《火叢舞》の計3種の「御巫」装備魔法で、それらをサーチする《オオヒメ》を追加でカウントするならさらにパターンが増えます。ただし、そもそも《オオヒメ》自体が実質的な1枚初動であることを考えると、この場合は《フゥリ》が盤面に《オオヒメ》を維持するためだけのパーツでしかなくこちらは必須条件ではありません。
とすれば《フゥリ》の素引き自体は妨害数を直接増やしているわけではないので、相手からの手札誘発の受け方が変わるだけです。
通常召喚権の時点から誘発をチェックするのは大前提として、そこから貫通する受けの違いを検討します。
《フゥリ》の場合
もらう誘発は《ヴェーラー》or《泡影》、《うらら》の3種類。
無効系を貫通できるパターンは《アルミラージ》で一旦盤面から離して蘇生させるのが基本で《火叢舞》か《迷わし鳥》の組み合わせで可能です。
一応《水舞踏》でも《ハレ》リクルートから《火叢舞》をサーチして《フゥリ》を再度手札から出すことで達成できますが、《G》がやや重く、ついでに《幽鬼うさぎ》ももらうのであまりおすすめできない動きです。
《神巫》or《アショカ》の場合
もらう誘発は《フゥリ》のときと同じ3種に加えて《水舞踏》で《フゥリ》を出すパターンが多いので《幽鬼うさぎ》ももらいやすく、基本的には誘発の受けの部分では《フゥリ》よりも弱いという認識です。
《神巫》の場合は《オオヒメ》に到達できた際に必要な「御巫」カードを集めることで組み合わせでの貫通自体は狙いやすく、《アショカ》の場合はそもそもが1枚初動であることから他の二つよりも1枚分多く手数ないしは誘発などの妨害を持てることが大きく、すでにパーツがある場合には《誘い輪舞》や《指輪》などの妨害を持ってくることができるので、攻めることを考えると《フゥリ》にできない仕事があり優秀です。
《神巫》が良いのか《アショカ》が良いのかはプラン次第で、《オオヒメ》=全「御巫」カードになることから安定択は《神巫》で、「御巫」装備魔法以外の装備魔法(《脆刃の剣》や《強奪》など)を採用する場合は《アショカ》を検討するという具合です。
今回は《脆刃の剣》や《強奪》を採用しなかったことで《アショカ》は一旦なしにして、《神巫》を少し足して《オオヒメ》を増やすかどうかを検討することにしました。
2.《オオヒメ》に触るカードの枚数
各種カードとの併せ持ちの中で、あらゆる「御巫」カードになれることからも、【御巫】に於いて《オオヒメ》を手札に抱えておくことが一番対応力が高いということは自明の理です。
そこで《天底の使徒》+《教導の大神衹官》や《宣告者の神巫》など、サブギミックに《オオヒメ》に触る札を選択しておくと、よりゲームの再現性を高めてくれます。
サブギミックは《オオヒメ》になれますが、《オオヒメ》は《オオヒメ》でしかないので、サブギミックを《オオヒメ》へのアクセスとしてだけのものにしてしまうと手札で被ってしまった際に手数が少なくなってしまいます。
かと言って被りを嫌って《オオヒメ》本体以外の部分(特に《儀式の準備》)を削っても良いのかは要検討です。
《儀式の準備》はそのまま《オオヒメ》の枚数に換算しても良いですが、サブギミックに関しては超えるべき妨害が《儀式の準備》に比べて多く手放しに《オオヒメ》枚数に換算するのは危険です。
《神巫》であれば《エフェクト・ヴェーラー》や《無限泡影》などの無効系と《灰流うらら》とを、「ドラグマ」ギミックであればそれらに加えて《屋敷わらし》と《霊王の波動》まで食らいます(ついでに《増殖するG》も)。
パワーこそ高いですがそれ相応の弱点もあることは常に意識すべきです。
《天底の使徒》は通せば簡単にアドバンテージを稼げてしまうため、相手視点ではここに《灰流うらら》を撃ちたくなります。
その点で《オオヒメ》や《水舞踏》前の《灰流うらら》チェッカーとしては非常に優秀であるため基本的にはそうした運用で考えておき、他のカードで《オオヒメ》に触れていないときの保険にもなるという認識のほうがプレイが安定します。
ということで「ドラグマ」ギミックの有無は被りを嫌ったが故の《儀式の準備》の枚数を減らせる要因にはならないと考えられるため、《儀式の準備》は純構築と同じく3枚からがスタートラインです。
《儀式の準備》を減らせる要因があるとすれば、初動確保のための《神巫》の採用がそれです。
「ドラグマ」ギミックよりはやや誘発の受けが軽いものの、概ね同じような誘発を食らうわけですから、誘発枚数を考慮した実戦的な数値で見れば《神巫》と「ドラグマ」ギミックを2枚引いていて初めて《オオヒメ》になれる程度に考えても良いでしょう。
そこに《オオヒメ》本体と《儀式の準備》が入ってくるとすると、全てがフル投入されている場合《オオヒメ》になるカードが過剰になるという懸念点が生まれるわけですが、それを解消する方法が2つあります。
1つは枚数を削ることです。
わかりやすく《神巫》の枚数を削ればダブつきが解消されます。
召喚権を「御巫」ネームに割いたほうが誘発受けを考慮した際の盤面形成のハードルが低いことが多いためその点でもまずここの枚数を調整したいところです。
もう1つはサブギミックに別の役割を持たせることです。
過去の環境においては墓地への干渉が強力だったので《剣神官ムドラ》を《神巫》とともに採用し、《オオヒメ》に触れている場合に通常召喚権で誘発をチェックしつつ、暇があれば妨害を作れるようにしていました。
そこまで意識せずとも「ドラグマ」ギミックを同時に採用している場合は《旧神ヌトス》で盤面を触る役割を《神巫》がすでに持てているので、《剣神官ムドラ》までの採用が必要というわけではありませんが、【M∀LICE】対面では墓地干渉が後攻からでも間に合うパターンがあるため一考の余地があります。
今回は1つ目の方法を取り、《フゥリ》を多めに採用してそこに通常召喚権を割くことをベースにプランを立てたので、必然的に通常召喚権を使うサブギミックの枚数が減っていきました。
3.装備魔法
確定枚数は《水舞踏》3枚、《迷わし鳥》1枚、《火叢舞》1枚、《誘い輪舞》1枚。
火叢舞の枚数を増やすと《フゥリ》盤面置きの補助がしやすかったり、リソースゲームになった場合のキルパターンに組み込みやすい利点があります。
「御巫」装備魔法以外で検討できるのが、
・《天子の指輪》
・《愚鈍の斧》(《嘆きの石版》でも可)
・《脆刃の剣》
あたりです。
《指輪》や《斧》はすでに素引きや《伝承の大御巫》などから《誘い輪舞》に触れている場合にも《かみくらべ》による妨害を増やせるので、2枚の内少なくともいずれかは入れておきたいカードです。
《指輪》であれば手札誘発が持つことができない魔法無効という唯一性によって先攻時の妨害の択を増やすことができ、《斧》であれば後攻時も《無限泡影》のようにモンスターによる妨害を1つ踏む手段になったりとそれぞれにメリットがあります。
逆にこれらを入れない場合は《誘い輪舞》がデッキにないと《かみくらべ》を妨害として使えないため《フゥリ》からのサーチを《かみかくし》にして妨害を構えることになるわけですが、発動後に残せるリソース面では《かみかくし》よりも《かみくらべ》のほうに軍配が上がるので、個人的にはやはり《かみくらべ》の優先度を上げるべきだと考えています。
ただしこの優先度の具合は同時に採用する手札誘発の種類にもよっても変化していくところなので、それも合わせて検討します。
《原始生命態ニビル》を採用する場合
発動するシチュエーションとしては装備付き《フゥリ》を突破するために無理矢理手数を出してくる場合がほとんどです。(《アクセスコード・トーカー》や《ジーランティス》他)
そうした場合一旦《かみくらべ》から妨害を撃ち、その後の発動となるので、《ニビル》によるリリースに装備付き《フゥリ》が巻き込まれ《かみくらべ》の②効果の回収タイミングが訪れます。
《ニビル》を用いたターンスキップは発動後の自身のリソースも考えないといけないので、闇雲に使うと《オオヒメ》ごと巻き込んだり悲惨なことになりかねません。
すでに《ニビル》を抱えている場合、ときには《水舞踏》で予め《オオヒメ》を盤面から外しておき、返しの動きを確保することも考えられます。
話がやや逸れましたが、《かみくらべ》はこうしたシチュエーション以外でも盤面を崩された場合の建て直しとして一番素直な手段であるので、ターンを凌ぎ次の動きに繋げていくというプランを持つためにはほぼ必須です。
《ドロール&ロックバード》を採用する場合
こちらは【ライゼオル】などに対して一発で動きを止めることができ、返しのターンで《かみくらべ》から《脆刃の剣》を装備してワンキルを狙うこともできます。
《ニビル》と違って早い段階で動きを阻害するので、「御巫」罠による妨害を必要としない場合もあり、その際は《かみくらべ》を攻めに使えるようになるのが利点になります。
そのため《ドロール》を採用する場合は《指輪》や《斧》などの妨害札を切って構築することもできるようになるというのが理論になります。
ただしターンスキップできる点は魅力的ですが、デメリットもこのデッキにおいてはやや目立ちます。
まず1つ目は【御巫】が後攻の場合に《ドロール》でスキップさせたとしてもそもそもギミックから出力できる妨害数が少なく止めたあとも十分な盤面形成ができない点です。その点を補おうとするなら返しのターンで《脆刃の剣》によって速やかにライフを取りたいので通常召喚権を《アショカ》に割くなどの工夫も考えるべきです。
2つ目は《三戦の才》のメイン採用率を考えた場合に早い段階でモンスターの誘発を投げるのが怖く、相手の先攻であればハンデスによってそこまで太くない初動を削られたり、相手の後攻であれば形成した《フゥリ》盤面を簡単に突破されたりする危険性がある点です。ここは流行りのカードによって変化するところなので読みが必要です。
4.手札誘発
《増殖するG》はともかくその他は選択です。
【ライゼオル】と【M∀LICE】と【メメント】に一旦メタを絞り誘発を選択していくことにしました。
どれも《ニビル》をある程度は食らうデッキなのでそれをマストとし、それを通すための無効系誘発を添えていくプランにしました。
《マルチャミー・フワロス》は減ってしまった《G》の3枚目以降という認識で採用しましたが、先攻時に1枚浮くことが妨害総数が多くないこのデッキにおいてはやや重く、この枠を《ニビル》の3枚目や他の誘発、もしくは妨害にすることも検討できそうでした。
5.その他妨害カード
メインギミックと手札誘発以外の妨害として《神の通告》と《サモンリミッター》をメインデッキに採用しました。
元々ギミック外の妨害を手札誘発に任せていましたが、《G》や《ニビル》くらいしかパワーが高い手札誘発がなく、こちらが先攻で盤面を形成したとしても他の誘発では手数で押されて耐えることができない可能性もあるので、後攻をある程度割り切ってパワーの高い罠を採用することを考えました。
昔で言うところの《カイザーコロシアム》や《センサー万別》などを採用した永続型と近いベクトルの考え方です。
また【ライゼオル】に対してギミックで有利とは言うものの、《ヴェルズ・ビュート》や《FA-ホープ・レイ・ランサー》などの有効な手立てもあるため、そうした特定の苦手ポイントに当てられるように《通告》を選びました。
「御巫」罠+無効系の持ち方の場合、「御巫」罠が《かみくらべ》にしろ《かみかくし》にしろ《ビュート》+《デュオドライブ》に対して盤面にいずれかのランク4を残すことになるため、《ホープ・レイ・ランサー》の成立から盤面が吹き飛んでしまいますが、この無効系の部分が《通告》の場合は盤面にランク4を残すことを許しません。
無効系の部分が《デュオドライブ》に当てられる《幽鬼うさぎ》でも同じように見えますが、《ビュート》→《デュオドライブ》の順に出されると対応できないので、やはり《通告》のような召喚無効系に軍配が上がります。
【M∀LICE】や【アザミナ】系統のリンク値を伸ばしてくるデッキに対しても有効な点も評価しています。
6.サイドカード
【M∀LICE】が苦手対面なのでメタをそちらに寄せたサイドにしました。
SUPREME DARKNESS発売日の開催イベントということで《ニャルス》がどれだけ《M∀LICE》に刺さるかを見たいというのもあり、相手ターンだけでなく展開後の返しのターンにも撃てる点を評価して《ロンギヌス》と合わせて4枚に。
《カオスハンター》も同じく《M∀LICE》メタ。
他のカードと違い《墓穴の指名者》をもらわない点で仕事はしやすいですが、《霊王の波動》をもらう弱点もあります。
だだ一応その場合も《ドットスケーパー》を使わせなくしたり《ドロール&ロックバード》や《アポロウーサ》が機能しないことから他の誘発が通りやすくなる副次効果があるので悪くありません。
《ラヴァ・ゴーレム》は【ライゼオル】とその他展開系へのメタとして採用。【M∀LICE】相手にはほぼ効果がないので入れません。
先攻は基本盤面ができれば勝てると考え、一番どうしようもない《レッド・リブート》を許したくない一心で《神の宣告》を先攻用サイドとして採用しました。
7.最終的な構築
と、ここまで語ってきましたが、本番当日チームメイトが遅刻したためYACSには出場できず、このリストはお蔵入りとなるのでした。
みなさんは遅刻をしない信頼できるチームメイトと組みましょう。本当に。
ただしこれ以降の構築基盤にはなったので全くもって無意味な調整ではありませんでした。
調整ポイント~12月現在~
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