ナイトフライト/著 伊波真人
短歌をよく知らなかった自分のような人にもその面白さが伝わる本。「短歌」というと、俳句と同等に敷居が高いようなイメージだったんですけど、感情と風景を重ねたり、韻を踏んだり、1文字空けたり、あえて五七五七七の"リズム"をくずしていたり(音楽的にいうとポリリズムな感じ)、表現のテクニックは色々あるようだけど、基本的には自由に書いていいというところにとても魅力を感じました。俳句と違って「季語」を入れないといけないという制約もありませんし。素人ながらちょっと趣味程度にかじってみたいとすら思いました。(私、作詞家志望なのですが。)シンプルに分かりやすく読み手に答えを掲示するような短歌もあれば、1度読んだだけでは答えが分からない短歌もあったりして、作詞と共通するところもあるなと思いました。行間づくりが秀逸すぎて。たった三十一文字とは思えないくらい、読み手側としては自由に色々と想像をめぐらせられるのがスゴい。何より日常の何てことのない景色や出来事を切り取って詠むというところに最大の魅力があるのではないでしょうか。