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マカロニ時代★★★優秀作005 【名作 前半部】 🟠第49話「そのとき時計は止まった」 「マカロニ、お前さん、 何となくムシが好かない相手に 出逢ったこと、ないかい?」 「そういう相手っていうのはな、 どっか自分にソックリな奴なんだ。 大抵の場合はな?」と山村


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元女優の川田美雪が、自宅室内の置時計で
撲殺される事件が発生。

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既にマカロニは初動捜査で直行し、
鑑識とともに現場を確認している。

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そこに、ゴリ、殿下、鬼と山村が来た。

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お祓い箱されたフィアット1800Bに代わり、
覆面車クラウンMS60系を運転しているのは、
殿下か山村だろう。絵にはないが。


現場検証で、久しぶりに鬼が登場。

珍しい柄のネクタイをしている鬼。

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「頭部を強打されていますね。多分
 それが致命傷でしょう。」と鑑識。

鑑識は、北川陽一郎ではない。
(田中力)である。

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山村はこの部屋で、凶器であろう置時計を拾いあげる。
「こいつが、凶器ですな?」
鑑識は、そうです。と

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鬼が、死亡時刻を尋ねると、
「そうですなあ、仏の状態から見て
 死後一時間。」

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鑑識課員(田中力)によると、
死亡時刻は死後約1時間と断言した。

「そうなると、午後4時前後ですか?」と

しかし、置時計の時刻は午後3時を指していた。


「多少のズレはありますが、
 4時前後の線は動かないと思いますが。」

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「先生を疑っている訳ではありません。
 殴られて一時間後に死んだのかも知れません。
 ああゴリさん、殿下。」

右手を使い、左方向に指示をする鬼。

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「聞き込みですね」と二人。

※この頃には石塚を「ゴリさん」と呼ぶ鬼。
※ジーパン中期から「ゴリ」と親愛を込めて
どの回もそう呼ぶ。


◆当蘊蓄話も、番組継続出演を渋った石原に
熱い血潮をぶち撒けて「これからはテレビの時代だ!」
「テレビを馬鹿にするな!」
「映画は最早斜陽である」と。
この日活しか知らなかった裕次郎を、
その気にさせた、テレビ界に向けさせた竜雷太は
筆者も好きだから
ゴリさんではなく、ゴリと呼ばせて貰う。

「指紋が取れそうです」とチンピラ淳。

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「ところで、発見者誰だ?」と鬼。

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「あっ、あの娘です。」
食卓のテーブル椅子に座っている少女がいた。

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「ここのお手伝いだ、っそーす」
※はっきり発音しなさい、マカロニ先生。

◆これも、かつて「ハレンチ学園」で宍戸錠が
マカロニウエスタン風の衣装で、

ハレンチ学園
ハレンチ学園2
マカロニ先生2-2

演じたマカロニ先生に準え、こう呼ばせて
もらう。太陽!「奪われたマイホーム」でも
山村が、初めてマカロニを詰ってこう言った。
「この事件は簡単に片付きますねー」と淳。
巻き舌で、「軽く仰いますねー、マカロニ先生」と。

◆人生の裏街道を歩いてきた山村ならでは。
要するに、上部だけでモノを見る早見淳マカロニは、
人生勉強がかなり足らないという意味です。
若いだけでは物足りない、という事。


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「山さん」と鬼。
あの娘から、事情を聞いてくれ。と言う
ジェスチャーだけで、台詞無しの、
「つー」と言えば「かー」の藤堂と山村。
このボスへの返事なしで、即、
次の演技に移る山村精一。

✅やはり、マカロニ時代の特徴がある。
台詞無しの演技。これが難なくできる露口茂。

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「少し聞きたい事があるんだがね?」
「大丈夫かな?」と言って
捜査用の手袋を外した山村。

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「吃驚したろう。ところで」、、、

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「知っている事はお巡りさんにお話しました。」
「そいつをもう一度聞かしてほしいんだがね。」

「何度か繰り返して話すうちに
 忘れていた事を思い出すもんだよ」

いやに、つっけんどん(突っ慳貪)な話し方で
山村に冷たい態度を取る。10代後半の娘が
タバコ臭い中年男に向かって、
普通の初対面では、誰でもペラペラ喋らないものだが。


しかし山村は、他の娘さんとは違う
この娘に、
一風変わったものを感じ取っていたのだ。

「知っている事は皆んな話しました」
「だからもう一度教えて欲しいんだよ」

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彼女は、中島友子(川口晶)。
彼女川口晶は、もう一度テキサス時代に
ゲスト出演している。


変わって
場面は、殿下の聞き込み。
しかし、中で電話が鳴り、奥さんはドアを閉める。

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今度はゴリが「すみません?お留守ですか?」
マンション住人はやはり冷たく遇らう。

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ゴリも中に居るのに、
「例によって非協力だよ」とゴリ。
そして殿下に向かい体育会系は、
「自分が襲われたら大騒ぎする癖に、な!」

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また、マンションの部屋。

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また、食卓の山村と少女。

「んー。すると今日は休みで、午前中は
 外出していた、か?
 デパートでも行ったんだな?」

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「そう。」
「それから、どうした?」
「どうしたって?」
「例えば彼氏とデートとか?」

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「そんな人いません!」と。

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井上堯之バンド♫
「幸福のテーマ72、トライアングルバージョン」

◆80年代になって、新たに作曲された、
井上堯之バンド「幸福のテーマ79」が
再度作曲されリリースされますので
それと区別する為。
実は79年グァムで「幸福のテーマ79」は
井上堯之バンドが作曲演奏しました。

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この時から、太陽BGMがかなり変わります。

この時の楽曲。さらに79年の
スニーカー刑事登場!から
太陽!オープニング曲が変更になります。
82年カナダロケ(ロッキー殉死と野崎退職)
まで使われます。
ロッキー後任、次のボギー刑事登場!から
オープニング曲は戻りますが、
一部編曲されている事が、
皆様お判りになられますか?
一部ドラム部分追加とそのすぐ後にパーカッションが
追加された曲になっています。

実はテキサス時代「鹿児島ロケ」物語内で、使われた曲を
ボギー編以降のオープニングに編成し使ったもの、です。
なるほど、重厚感がない79オープニング曲は、
視聴者からも元に戻してほしい要望に応えたものでしょう。

しかし、オープニング72とオープニング82では、
ちょっと違います。
同じような曲調に聞こえますが、違います。


♫これを耳で聞いて解る人は、
相当な「太陽にほえろ!通」と申せましょう。
若しくは絶対音感の持ち主でしょう。
ちょっと聴いただけでは判りません。
流石は井上堯之バンド。

ショーケンが昔の仲間大野克夫、井上堯之を
岡田プロデューサーに紹介し、
この名曲が産まれたのです。

筆者は幸福のテーマ72トライアングルバージョンが好きです。


物語に戻ります。

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「ーうんーん。
 あんたみたいに可愛い娘さんがねえ」


「刑事さん。そんな事、奥様が亡くなった事と
 どんな関係があるんですか?」

「帰って来た時間は?」

「何度も言いました。5時ちょっと前です。」

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「シツコイんだよなー、山さんは」と淳。
後ろで、耳を側立てるチンピラマカロニ。

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「あの娘なんですけどね、妙に山さんに
 突っかかってんですよねー」と鬼に。

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「置時計なんだがね、死体の側に
 転がっていたろう、この家の時計だね?
 今まで正確に動いていたかね?」
「つまり時々止まったり狂ったりする事は?」

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「有りません!いつも正確に動いていました」


マスコミが押しかけ、
ゴリと殿下は、追っ払うのにてんやわんや。

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「まだ現場検証も終わってないのに」

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「無理もないさ。川田美雪といえば
 ちょっとした有名人だからな。」

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その日の夕刊?、いや3時は過ぎてるから
締め切りには間に合わない。
翌日の朝刊か?

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新聞記事!「川田美雪さん、殺害さる?」

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「被害者は元女優。当局、怨恨説重視」


場面は変わり、捜査一係。
翌日の捜査会議、というより
ミーティング。

ゴリの状況報告。通常は巡査部長の長さんが演ずる
ところだが、下川辰平氏が欠場なため、
次期巡査部長候補のゴリが状況説明をする。
しかしこの後、ゴリは昇任試験に3回も滑る。

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↓はゴリの台詞から
6月5日に銀座ホワイトにて日明商事社長と会食。
6月9日に丸並興業グループ重役会メンバーと箱根でゴルフ。
殺される前日15日に代議士先生と新橋でご会合。

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ボスは「パトロンは?」
山村は「それが決まった男はいないようでして」

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殿下は「変だなあ?」
ゴリは「何が?」

「女優を辞めてブラブラしている女が、
 職業にも就かず、パトロンなしで
 あんな豪勢な生活が出来る訳がない。」

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マカロニは
「どっかから金が出てるんじゃないですか?」

鬼は「その辺に問題がありそうだな?」
「こう頻繁にお偉方と付き合っている裏には
 何があるかっていうことだ。」

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「ああいう連中には、
 政財界の内幕に詳しい奴がいるもんだ。」

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◆41話「ある日、女が燃えた」の
山村を苦しめた河村真紀のように。
鬼はついこの間の事件が頭に浮かぶ。

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ゴリ「ボス、害者はお偉方の弱みを握って、
揺すっていたか?」

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ボス「いやー、決めつけるにはまだ早い」
「だがな、死んでホッとしている奴が
 いるかもしれんぞ」

山村「兎に角一人ずつ、当たってみましょう」

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鬼は、
「置時計の指紋には前科が無かった。
 だから分かってるだろうが、
 その一人一人から、
 指紋を取ってくるのも狙いの一つだ!」と。


井上堯之バンド♫
「マカロニ刑事のテーマ、
 アコースティックギターバージョン」が
間奏される中、
皆の指紋採取活動と
当日のアリバイ確認が始まった。

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ゴリと殿下は貰った名刺を指紋を付けないよう
丁寧にハンカチに包むが、やはり二人は
場数を踏んでいる淳の先輩だけのことはある。

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マカロニは
初代七曲署長だった男にニヤけて、、、

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準レギュラー(野口元夫)と談笑し、

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男はコップの水を飲んだが、
そのコップには、はっきりと汚れた右手四本の
白い指紋が付いている。

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しかし、ボーイが そのコップをさっさと持ち去る。

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なのに男はマカロニと 意味ない握手をしている。

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マカロニは指紋が取れない?

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追いかけていき、コップを回収出来たのか?

また鬼からどやされるぞ。

◆初代七曲署長だった(野口元夫)の
三回目の回が、この回である。

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二回目の登場は、七曲署署長として、
第4話「プールサイドに黒いバラ」に。
準レギュラー浜美枝の初登場の回でもある。


初登場は第2話「時限爆弾街に消える」で。


物語に戻ります。

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聞き込み予定リストと刑事たちの
捜査活動を電話で受け、
リストから赤線で消していく鬼藤堂。

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◆インターネットやパソコン、
携帯電話やスマホが全く無かった時代。
1973年のこの49話。
人と人との情報伝達が固定電話しかなかった、
音声のみのアナログな時代の象徴。
一係の電話も
(現在のテレビ朝日)特捜最前線の前作品、
NET「特別機動捜査隊」の捜査室と
同じような電話機。筆者もよく見てました中学時代。

特別機動捜査隊1

◆実は、この特別機動捜査隊にも、
41話の「牧紀子」が出演しています。

特別機動捜査隊2

◆反面、個人の人間的で情感的な触れ合いが
どうしても必要だった時代の物語である。

現代、平成や令和で薄れて来ているもの。
そのアンチテーゼかも知れない。


その藤堂の前の電話が鳴る。
「あー、もしもし第一係」と鬼

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「丸並興業グループの橋爪功一を調べろ」と
いう密告電話が入る。名前も告げずに切れた。
男の声だった。

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場面は、その電話を受けて
即座に山村の捜査活動。

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「お待たせしました。
 私、社長秘書の橋爪(宇南山宏)です。」

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「早速ですがね、6月16日の午後、
 貴方は何処にいらっしゃいましたか?」

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手帳をみた橋爪は、休暇をとって
その日は、伊豆にドライブに行った、と。

一係では、

「丁度3時頃に、あまみ山の展望台で
 馴染みのバーの女と会っていた。これは
 バーの女の証言とも一致しますし。」

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◆あまみ山の展望台、、そんな場所ないけども。
◆皆様、特に伊豆方面にお住まいの方で
お分かりの方、いらっしゃいますか?

ボスは、「シロか?」

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マカロニは、
「チキショウ。このクソ忙しい時に
 ガセネタを掴ませやがって!」と舌打ちする。

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「タレコミなんて、っんなもんだよ」
とゴリ。
「十に一つ、本ネタがあれば儲けもんだよ」

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◆これは、第15話「拳銃とトランペット」で
ボスを慕う情報屋の中川老人(演 多々良純)から
のガセネタを喰い、新人の頃には皆、
騙されて右往左往した経験を
殿下やゴリも(新人の頃に)また味わっていて、

第15話「拳銃とトランペット」4

マカロニもまた入署早々に、
ボスが中川にマカロニを今度来た
うちの新人だと紹介して、
上記15話で、ガセネタを経験したはずだが、
さらに同様のガセネタだと、
思ってしまっているところにこの台詞。

それでも中川をボスが信用する理由は、
「十に一つ、本ネタがあるから」であった。
この中川のとっつあん、から
ゴリや殿下もそう教えられて来ている。

※当蘊蓄話でも、取り上げています。

淳の教育係 体育会系ゴリもまた分かって、
この話でも
カッカしやすいマカロニを嗜めている。

◆太陽!では、このように
以前の過去のストーリーで
言った登場人物の台詞が、
数ヶ月後の台詞に甦ることが少なくない。


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「それにしても、腹立つな!」とゴリ。
「容疑者は全てシロ。折角検出した指紋の
 該当者なしか!」と殿下。

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「山さん、何処行くんですか?」と淳。

「最初からやり直すのさ」

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「また、例のマンションの娘ですか?」

「いかんか?」

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「いけないことは無いんすけど、
 俺も行きます。」とチンピラ淳。

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若い娘なら、自分が適任だと、勝手に行動するマカロニ。

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「俺一人で良い。」

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「だってあの娘、山さんに
   打ち解けないじゃ無いですか?、
   俺も行きますよ」

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山村は、もう一度マカロニを止める。

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「マカロニ、お前さん、
  何となくムシが好かない相手に
  出逢ったこと、ないかい?」

「そりゃーありますよ。訳もなく
 ぶん殴ってやりたい奴が。」

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「そういう相手っていうのは、な」


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「どっか自分にソックリな奴なんだ。
  大抵の場合はな?
  あの娘が俺に反発するのは、
  きっとそれだ。
  だから俺は確信してるんだよ。

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もしも、あの娘が隠し事をしているとすれば、
そいつを打ち明ける相手は、
俺しか居ないって、な。」

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そう言い残し、ニッコリ笑い、
ボスと皆を見て、
無言で部屋を出て行く山村であった。

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ボスも、もう一度聞き込みのやり直しだ!

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井上堯之バンド♫「希望のテーマ」

◆いつもなら山村高子のテーマ風のこの曲。
山村高子が夫精一を想う。
山村精一が妻高子を想う。

この夫婦の間で中々伝わらない、
揺れながらもすれ違い続ける、
心の映像描写に被されるが、この回は
山村が
少女の"心音を揺るがそう"というシーンに。

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山村は友子マンションに行くが、
やはり友子は
「もう何も話すことはない」と拒絶。

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一階の管理人と話す山村を見た少女は、
やはり山村を避けて、
別口から買い物へと出掛ける。

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そのあとに、雨になりそうな、
燻んだ太陽が映像に映る。
ほんの一瞬だけ。
その時の太陽がこれ↓

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もうじき夕方。を演出するこの画像に、
心が晴れてこない色褪せた、大きな太陽。
即ち雲が掛かる山村の心のカーテンを、
この太陽画像に代行させている?、、か。

※しかし、丸いライトに
靄をかけて撮影しているとも取れる。
自然界の太陽に、擬似的な演出をしたとも。

山村は何とかして、淋しきこの少女の心に
踏み込む為の、そのキッカケを捜す。

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階下で上を見遣る山村。見られた彼女は
カーテンを閉める。

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とうとう、部屋に入る事を許可した友子は、
また食卓でタバコを吸う。しかし茶を出さない友子。

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しかし、何も聞き出せず、煙草だけを燻らせる。
何も喋らない友子は、山村のタバコの煙に包まれるシーン。

また日が変わったのか、翌日か?

何度も、何回も訪れているのが、判るのは、
彼女の着ている、服が全て違うこと。

◆この間数分間。
たまに撮影ミスがあるけれど、
こういうところは、流石な太陽!の
演出スタッフ陣。


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ある日、雨に濡れた山村は、
また彼女の部屋のブザーを鳴らして
部屋を訪れる。髪も背広も濡れている。

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何回も来る山村だが、雨に濡れた山村を見て
とうとう、もう一度部屋に通した友子。

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小さいフェイスタオルを借りて、
頭と背広を拭く。

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「どうぞ」とお茶を淹れてくれた。

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「いやーすまんなあ。まさか
 急に降り出すとは思わなかったもんで。」
「上着を脱いで下さい。」

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「いや、良いんだよ」

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「脱いで下さい。」


自分の娘のように、
言うことを素直に聞く山村。

ベランダから外が仰げる奥の椅子に腰掛ける。

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◆今度は、出してくれたお牡蠣または
ピーナッツ?を口に入れて頬張る山さん。
山さんの歯で噛み砕く音が拾えます。

◆僅か数分で、人の心が打ち解けたシーンの演出である。
ここまでくるのに、実際には数日が経っていると
視聴者が察するシーンである。

しかし、山村と娘の間には未だに暖簾が下がっている。

◆撮影上設定したこの暖簾の意味が、
皆様分かりますか?

やはり二人の心の曇りは
晴れていない、その演出です。
この心の曇りを、
二人の心に宿す蟠(わだかま)りを
この暖簾に代行させている。

今度は、しかし友子は山村の背広に
アイロンを掛けて、少し笑う。

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やっと心が和んだか?
いや素直な心を少しだけ垣間見せたのだ。
お牡蠣の海苔が口元についているのを指摘する友子。

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「刑事さんって
 毎日こんな事してるんですか?
 だってー、毎日毎日判子で付いたように、、」

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「これも仕事のうちさ。
 そういうアンタだって
 毎日毎日判子で付いた生活の繰り返し
 じゃなかったのかねぇ」

やっと笑った友子に近づく山村。
左腕を壁につく。
脇が空くという事は、俺は、君には、
何も心理的な圧迫は持ち合わせいない、と。

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「死んだ奥さん、どんな人だった?」
「いい人でした」

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「そうかな?」

やはり、このオッサンは刑事である。
殺人事件が起きた家庭に
ずかずかと侵入してきた邪魔な中年刑事
という鬱陶しさは変わらない。
※これが、山村に対する友子の感想か?

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「そうです!孤児(みなしご)で
 親戚の厄介者であった私を
 引き取ってくれたんですもの。
 いい人に決まってます!」と怒る友子。


山村はその返事を、見つめていた。
やはり、この子はまだ、
自分を厚い殻で固く守ろうとしている。


◆ひょっとしたら、この子は、
自分と同じ境遇を体験してきた子かも
しれない、と。瞬時に察知する山村。

数秒後、またアイロンを掛け始める友子。

◆山村と友子の間にぶら下がる暖簾。
やはり山村と友子の間には、まだしっくりとした
信頼感は見えない。

◆もう一度確認しておこう。

それを、友子の信頼感の無さの表現を代行しているのが、
この暖簾だ。さっきの霞んだ太陽の如く。

このシーン。暖簾を手で退けたら、あの子に近づく。
しかしそうはさせない友子。
この映像描写、演出は
マカロニ時代のベストに近い。

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「しかしアンタもいい度胸だね。
 人殺しのあった部屋で若い娘が、
 よく独りで。怖くないかね?」

「仕方が無いんです。
 奥様の親戚の人に処分が決まるまで
 居てくれって言われていますから。」

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「親戚?」

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「奥様、誰も親戚なんて居ないって
 言っていたのに、死んでしまったら
 従兄弟だの、はとこだの。
 一杯出てきて、中々処分が決まらないんです」

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「そういうもんさ。人が死んでも、
  まともに悲しむ人間なんて
  碌に居やしない」

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「しかし処分が決まったあと、君はどうする
 つもりなんだ?」

「なんとかします」

その時、玄関のブザーが。

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川田宅に殿下が。
「ああ山さん、目撃者がいました」

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山村は、
「何ぃー?」

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殿下
「近所の奥さんが、事件当日夕方この部屋から
 若い男が出て行くのを見ているんです」

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友子は背を向け、
既にこれを知っているかのように聞いている。
山村が返答したときに、
背後の自分の行動を察知されるのを恐れてか
また山村の背広にアイロンを掛け始める。

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「何だと?
 何故今迄黙っていたんだ?」

「関わり合いになるのを、極端に
 恐れているんですねぇ。でもやっと
 口説き落として」

「流石だな?」と少し微笑む。

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※女性への聞き込みは、殿下の専売特許。
ゴリやマカロニでは、
相手を怒らせてしまうからだ。

◆過去にも、「真夜中の刑事たち」で
犯人検挙に繋がった殿下の成功事例がある。
目撃者女性のプライバシーにやんわりと
踏み込んで容疑者を確定出来たことがあった。

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「その若い男とは?」

「近くのクリーニング屋の店員です」

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その時、後ろで聞いていた友子の動きを
右後方で察知する。

「何か?」

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いや、と山村。
急に行動をかえ、炊事場で
洗い物に向かう友子。

それを不審顔で、山村の視線先が
気になる殿下。

この演技も、マカロニ時代特有の
台詞無しの山村の視線の演技。
何かを感じた筈の山村を、静かに見る殿下。


◆後日、三上順、テキサス役の勝野洋は、
この露口茂の視線で訴える台詞なしの演技を、
俳優を続いていく上で大変勉強になったと、
方々で答えている。


「それで、、、」

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次の台詞はなく、
この後にクリーニング屋に赴く山村。

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店長は「若い男というと正男しかいないんだけど。

あいつなら三日前から出てきませんよ。」

「休暇ですか?」

「無断欠勤ですよ。困ってるんですよ、
実は。正男が何か?」

◆クリーニング屋の店長(里木佐甫良)について。

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※ (里木佐甫良)は(さとき さぶろう)と読む。
芸名を数回変える。彼は東北出身。その訛りが、
毎回いい演技に繋がっている。

彼も太陽!準レギュラーゲスト。
以下の13本に出演。

第2話「時限爆弾 街に消える」
(1972年) - 貸しボート"たまりや"の主人

第49話「そのとき、時計は止まった」←今回
(1973年) - クリーニング屋店主

第165話「回転木馬の女」
(1975年) - 農夫

第223話「あせり」
(1976年) - 富士アパート大家

第256話「ロッキー刑事登場!」
(1977年) - 農夫

第263話「罠」(1977年) - 釣り堀の主人

第351話「密室殺人」
(1979年) - 陶磁器店の元経営者

第434話「ある誘拐」
(1980年) - タバコ屋の店主

第504話「バイオレンス」
(1982年) - 屋台の店主

第562話「ブルース刑事登場!」
(1983年) - 住職

第640話「妻への疑惑」
(1985年) - おでん屋台の店主

第645話「ラガーの華麗なプレー」
(1985年) - 「串元」店主

第667話「デュークという名の刑事」
(1985年) - 三上食堂店主


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「お宅は、あそこのマンションに出入りしてますな?」

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「あそこのマンションは、お得意さんで。」

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「旦那!まさか正男の奴、
 あの人殺しに関係あるんじゃ?」

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「どうしてそう思うんですか?」と山村。

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「正男がそんな事が出来る訳がないですよ。
 ただ、あいつ一度あそこのお手伝いさんに
 付け文しましてね」と主人。

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「付け文?」

「ラブレターですよ。
 あそこのママさんにバレて
 こっ酷くドヤされた事があるんです。」

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「まあ死んだ人の事を悪く言うのも何ですが、
 あの奥さんかなり身勝手な人でしてね。
 前の子が結婚して、
 さっさと辞めちまったんで。
 今度もそーなっちゃかなわないと
 思ったんじゃないですか?」

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「でも旦那。正男に限ってそんな大それた事
 が出来るわけが、、」

その店員の持ち物を、預かった山村。


場面も代わり、
時間も経過した七曲署一係。
マカロニが部屋に飛び込んでくる。

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「ボスーっ!
 米田正男の指紋と例の置時計の指紋と
 ピッタリ一致しました」

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「決まった、な。あの娘と米田の関係は?」

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「手紙を貰っただけで、それだけだと
 言ってます。」とマカロニの背中にいる山村が。

何も言わずに出ていこうとした山村に
ゴリは、「山さん!」

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「張るんだよ、あの娘、を」

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ボスの台詞なしの手は殿下に「山さんに付け!」と
言っている。
ボスは殿下を援護に付けた。
殿下も山村のあとに、付いていく。

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「灯台下暗しですか」とゴリ。
「必死になってお偉方をマークした挙句、
 出入りのクリーニング屋がホシとは、ね」

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「感想は後回しにして、
 マカロニ!指名手配だ」と鬼。

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新聞記事

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元女優殺し。有力な容疑者
米田正男。指名手配さる!

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まだ、米田への容疑は確定的でない内に、
写真を公表するか?
あくまでも容疑者である。
人権侵害も甚だしい。
調室で違った供述ならば、どうするつもりか。

また、この写真はいつ撮ったものか?
ドラマですから。
まあしゃーない、と言うことにしときましょう。

※現在では、容疑が確定する迄には
氏名の公表は伏せますが、何ぶん当時は
そういう報道規制は無かった時代。

また未成年であれば尚更です。
しかもドラマですから、こういう描写をしても
撮影部隊やプロデューサーもなんとも
思わなかったのでしょ。

太陽!49話が撮影された三年前の作品。
どちらも岡田プロデューサーの作品。

「飛び出せ!青春」では、(剛達人)は
高校生役だったのですが、既に二十歳を
迎えていたようです。

藤堂は米田(剛達人)
(現在 剛たつひと)を指名手配した。


一係に殿下から電話がかかる。

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川田の親戚とかいう連中が押しかけて
無理矢理友子を追い出した、との連絡。
「人殺しの女は置いとけない」と。
殿下からだった。

井上堯之バンド♫
「幸福のテーマ72トライアングルバージョン」

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友子は、スーツケースを抱えたまま、
とぼとぼ歩く。独りぽっちで。

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連絡を受けた山村も、いつのまにか
友子のあとを尾行する。

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街で見かける「ウェイトレス募集」の張り紙。
それを見ている友子。

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張り紙が貼ってあるガラスに映る
道路の対面に山村の顔。

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また他の店。そばや「砂場」にも
店員募集の張り紙。

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今度は意を決して、店に入る友子。

※蕎麦屋の行燈の側でカメラを固定し
撮影したこのシーン。

一係ボスの机の電話が鳴る。

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右手でタバコ。その右手で
「はい。 ああ山さんか?」

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「蕎麦屋?張り込むのか?」

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「ホシはまだ都内に潜伏していると
 思われますが、切羽詰まれば頼るのは
 あの娘です」

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「しかしホシに、どうやって娘の居所が判る?」

「教えてやるんです」

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「誰が?」
「我々が、です」

「あ、そうか?もう手は打ってあるんだな?」
「そういう事です」
「よーしいいだろう。思うようにやってくれ」
鬼も山村のやる事には
絶対的信頼感がある。

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繁華街を歩く男。米田正男。

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公衆電話ボックスに近寄る。
一番羞の電話に入る。

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川田宅に、電話をかけた。
川田宅に友子は居らずに、
出たのが友子だと思って話す米田。

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「私は、管理人の伊藤ですが、ね。
 友子さんはここを出て、今は目黒の「砂場」
 というお蕎麦屋さんに
 住み込みで働いているんですが、ね。」

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◆ここのシーンも、転出先と職種(住み込み)や
職場環境を教えている管理人。
個人情報ダダ漏れ。平成、令和では考えられない。
仕方ないわな?
警察に協力をさせられているんだから。

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蕎麦屋「砂場」が見下ろせる喫茶店。
山村が二階の窓際の席で待機中。

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♫BGM天地真理「若葉のささやき」インスト。

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そこに、殿下がやってくる。

「掛かったようだな?」と山村。
「しかし注文通り来ますかね?」と島。
「来るさ!」とは山村。

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殿下にも、火を貸してやる山村。
「但し、いつになるか分らんがね」

◆よくタバコを吸う山村。
血圧高くないのか、な? 渡哲也並みの喫煙量。

◆渡哲也は、大都会シリーズ、西部警察シリーズ撮影時代に、
タバコを一日五箱、即ち100本吸っていたらしい。

翌朝。今度は覆面車クラウンMS60系で
張り込む二人。

ここまで前半部。
22分33秒

ここより
本編での初めてのコマーシャル。
次は、中間部へ。

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