マカロニ時代★★★優秀作005 【名作 後半部】🟠第49話「そのとき、時計は止まった」　「いまこの人を助けられるのは、私しかいない。小さい頃から邪魔者扱いにされてきた自分が何かしてあげられる初めての人だったんです」

２回目コマーシャル開け。

山村は留置所内の橋爪に、
再度殺害状況を聞きたいと。

「あの時の状況をもう一度話してくれ！」

橋爪が殺害をしたあとの回想

「女を置時計で殴り付けた。
　それからどうした？」

殴り付け、時計を握っていた自分。

怖くなって、時計を捨てて逃げようとした。
玄関に向いて部屋から出ようとした。

しかし、

「待て！何故引き返した？」と山村

※引き返した、という橋爪。

※ここは、先程のゴリの調書には無かった。
焦ってゴリが聞き漏らしたか？

※橋爪の心理状態の奥底を
引き出す余裕がゴリに無かったか？
早く事件を終わらせたい気持ちが先走ったか？

「待て！何故引き返した？」

「指紋に気付いたからか？」と山村

「ええ。、、、

　　(この時数秒間の間が空く)

　でも、あの時カネが鳴らなかったら？」

「カネ！？」

ギョッとする山村。

これ迄に、誰も供述していなかった現場状況。
当日に現場にいた者でしか、判らない状況を
山村の前で、話し始めた。

「ええ。カネが鳴ったんです」

そぼそぼと話し始めた橋爪。

後ろで、鬼が立ち、山村の尋問を
逐一、確認していた。

「それじゃあ、時計は動いていたんだな！」

「えーえっ！動いていたんだなっ！」

橋爪の両肩を掴んで、
もう一度確かめる。

「ええ」と力無く。橋爪は答える。

午後三時には時計が確かに動いていたという
証言を得た。

当事者の証言に最早 嘘はない。

◆山村の真実を追い続ける真偽観察眼が、
その真実のほうから、山村に近づいて
真実は此れですと、ノックをした、
その瞬間だった。

マカロニには出来ない芸当。

やはり、もう一人事件の影に、見え隠れしている者がいる。あの娘か？　あの娘の証言だけが、まだあの娘友子の真意が聞き出せてない。もしくは、米田が、心の中の本音を、まだ仕舞い込んでいるのか？　それは？　友子が、やはり頑なに閉ざしているもの？　と言ったたら、米田の行動、証言を遮っているのか？　米田の為か？　それは？

山村の勘は、名警部補の直感は、友子を、山村に嘘を付いてまで、米田に自供させた、しかし他にも証言させない事、それが友子から言われ止めてあるのか？　友子自身の愛するものへの情感が、其れは愛するもの(米田)を守りたい一心だったか？

この時の、山村精一(露口茂)の顔。台詞なしの、演技だけで脚本を忠実に絵にした時の、この顔。山さんでないと無理。

放送時間は、残りあと八分。

これから、ラストシーンの一つ前。

友子に聞くよりも、米田自身の口に問いただすのが、隠れた真相に接近出来る。それが確信だ。友子ももう遮ることは出来ない。

山村はラーメン屋に転職していた米田を
訪ずれた。ゴリと殿下も付けて。

「今日は何ですか？」

「話なら、出前から戻ったときに
　してもらえませんか？」

　　(ラーメンが伸びるから、、)

「時計は動いていたか？」

「川田美雪の部屋に入った時、
　あの置時計は動いていたか？」

「動いていた筈だ、そうだろう？」

「確かに、橋爪功一は川田美雪を殴り殺した。
　だが、女は死ななかった。」

「何ですって！？」と米田

「女は気を失っていただけだ。そして
  時計も止まらなかった。」

「何の話ですか？」と米田が。

「時計が止まったのは、
　その後で入ってきた誰かが、

　もう一度
　女を殴り付け、本当に息の根を止めた時だ。」

「橋爪が逃げたあと、
　死体が発見されるまで、
　あの部屋に入ったのは、お前しか居ない。

　他の者だったら、
　直ぐに警察を呼んだろうからな。」

　「どうだ？」

  「殺したのは、米田。

　お前だ！」

「違う、俺じゃないよ」
　
「確かに、お前の自供の半分は本当だろう。

  お前は四時にマンションに行き、
  不用意に置時計に触れ、
  血まみれの女を発見し、驚いた。」

「しかし、そのあとで
　意識を回復した被害者を殴り付け、殺した。

  時計が止まったのは、その時だ！」

「それまで、時計は動いていたんだ！」
「時計を三時に戻したのは、お前か？」

「それとも、、」

「わたしです」後ろから女の声。

そこに、友子が置時計を直したと。

ラーメン屋に二人して、
勤めるようになった
友子が山村の背後にいた。

「橋爪が三時に来る事をも、
  知っていたんだな。」と山村

「正男さんに密告の電話をするように
  言ったのもわたしです。」

それを聞いて、山村の前で、膝を折って
泣きじゃくる米田。二人だけの秘密を彼女自身が解いた。

「あの女が、
　　人殺しっ！って叫んで、
　　　だから。」

「何にも判んなかったんだー」

井上堯之バンド♫
「プルージーンの子守唄」
◆久しぶりのこのBGM。
マカロニ時代の名曲。

初演奏は、マカロニ刑事登場！で
ボスに怒られた時に
「やはり刑事は不向き。
　刑事は辞めたい」と
一人思う下宿の自部屋で。

♪萩原健一が歌う「プルージーンの子守唄」

作詞阿久悠　作曲加藤和彦　編曲瀬尾一三

◆ストーリーでは、上記歌は流れません。井上堯之バンドのサントラのみです。これが友子の台詞に被ります。そして山村の涙を誘います。現場を後にし、去っていくところまで。

友子を向いて、山村は

「何故だ？」

「やっぱり惚れていたのか？」

「買い物の帰りに、正男さんから話を
　聞いたとき、あたし思ったんです。」

「いまこの人を助けられるのは、
  あたししかいない。

「小さい頃から邪魔者扱いにされてきた自分が、何かしてあげられる初めての人だったんです」

◆少女が、女性として
自分に想いを寄せてきた男性に
これからも生きる温かみを感じ、
本当にこの人となら、一緒に生きられると
思ったその瞬間だったのだろう。

これで、この人と一緒になら
どんな事でも超えられる、と
思ったに違いない。

泣き出す友子。

◆友子の辛かったこれまでの不運な人生を
自分の事のように、もう一度回想できた山村。

◆しかし、米田も友子も逮捕しなければならない現実。

その友子の涙を見て、
もらい泣きの山村。

込み上げる震えと涙は、もう抑えきれず。

あとの処置は殿下に託し、
その場から、自分の涙を見せたくないと
走り去る山村。友子には手錠をどうしても打てない山村。

◆この事は、山村少年が、
昔、気になっていた少女に、初めて？恋をした少女に
何もしてあげられなかった過去を、
また思い出させる。
この理由は、
ジーパン時代のある回で、山村自身の口から
ボスの前で、吐露します。

🟠まだこの時は
脚本化されていなかったであろう、
ジーパン時代のこの話の前に
山村の少年期の淡い恋の想い出を、
上手く連想？させている露口茂の名演技。

将来撮影される話が、三ヶ月前の話として
山村の人生の中で出会った女性の
前振りのストーリー？と筆者は捉えます。

もしくは、この回の友子と山村。

この出逢いが、
三ヶ月半後ジーパン時代のその回第69話に
リンクさせている制作側だったかもしれないが。

そう思うのは、筆者だけか？

調べは後輩達に任せて、
今回の事件を、ひとりしんみりと振り返る。

山村は、屋台おでん屋でコップ酒を飲んでいた。
そこに、ゴリ、殿下、マカロニが
現れた。

「調べ、終わりました。」とマカロニ。

「あの娘、害者が死んだと知った時、
　これで自分の人生が変わるかも知れないと
　思ったそうです。

　よっぽど
　虐められていたんでしょうね？」と殿下。

「ーん？それにしても、
　時計の件といい、密告の件といい、
　そー、というか、その、。」
とゴリが漏らす。

「強か(したたか)だ、と言いたいんだろう」と
山村。

「まあね、あんなに大人しい顔して
　あんな芝居を打つんですからねー」
とゴリは返す。

「芝居じゃないよ」
しんみりと山村はゴリに。

「はあ？」と体育会系。

コップ酒を置いて、ゴリを見る山村。

「殺す気で殴ったのは、橋爪功一だ。

  犯人は一人居ればいい。
  そうは言っていなかったか？」

殿下とゴリは互いの顔を見て、
「えーえ。そっくり同じことを」とゴリ。

井上堯之バンド♫「愛のテーマ1B」

「死んだ者より、生きている人間が大事だ。
  そうは言っていなかったか？」

また、ポケットからタバコを取り出して
口に咥える。

「山さん？」と
何故、それがわかるんですか？
という顔と口調で、
若いだけで、一係の中では人の繋がりの経験が頼りない、
即ち人生勉強が甘く、かなり不足のマカロニ先生。

◆しゃーないな？
まだマカロニは当時24歳だから。

◆ジーパン時代でも、半年後の柴田純は、ボスに「若いだけが取り柄じゃない。長さんに就いてもっと人生勉強をしろ」と諭される回があります。

山村は
タバコの煙を
燻(くゆ)らせながら、静かに、

「強(したた)かなんじゃない。

  あの子は
  あの子なりに必死だったんだ。」

「自分を頼った男を扶ける為に。
  生きる為にな。俺には解る。」

「俺も随分長い間、人に邪魔にされながら
  生きて来たんでな。」

◆邪魔にされ続けながら
生きてきた、これまでの自分の人生経験を
太陽にほえろ！のこの第49話で、
山村は若手仲間、後輩達に、初めて吐露する。

そこに鬼が。
「おい、俺も入れてくれ。」

山村の横、マカロニの隣に着座する。

◆ここで、事件の最終決着への希望を
鬼が話す。

「殺しの原因になった、例の汚職のネタな、
　あれ、地検の特捜部がえらい喜んでた。
　近い内に、摘発が始まるぞー」

「ほーー」とゴリ。殿下もニッコリ。

「そーすか。
  そいつは、良かった」と山村

◆友子も、罪は罪として、清算し
前向きに生きていって貰いたいものですね。

◆ストーリー総括
上記おでん屋屋台のラストシーンが、
また、山村の言葉が、というより友子の言葉が、
この49話をマカロニ時代最後の優秀作に
選定した所以です。

🔴殺意がなかったものの、
結果的に殴り殺してしまった米田。
彼も別に真犯人がいると思い、逃げ回る。

🟠殺意を持って部屋に入ったが、
致命傷を負わせるだけ。死んだと思ったが、
息を戻したことに気付かない橋爪。
そして彼も逃げ回る。

◆この二人は、
どの様な裁判結果となるだろうか。

ゴリの「巡査部長昇任試験問題」の
筆記試験(論文)に、
出てきそうな事件ですね。

「二人はどんな罪に問われるか？
　簡単に述べよ」とね

🟢また友子は犯人隠匿罪。これは確か。
また偽証罪に問われる筈ですよね。
これは山さんでも見逃さない。
証拠を擬装し、捜査を混乱させたのだから。

可哀想だが。
これが日本国の法律だから致し方ない。
何しろ日本は法治国家ですから。

🟣また橋爪も、社長秘書でありながら、
会社のシザーズギアとして、すり減っていく。

自分の会社の為にという強い思いの橋爪。
会社をゆすっていた強欲の元女優。
この女の為に人生を棒に振ってしまった。

そして米田にも同じ事が言える。
この恋した少女の為に。
この女の強欲が友子をさらに不幸にさせた
その思いを払拭したかったのだろう。

二人とも、人生の歯車と歯車を動かす為の
小さなシザーズギアだからこそ
直ぐ、疲弊したらすり減ってしまう。

橋爪は、この強欲の女との出逢いが、
人生を生きる為の歯車が狂い出す。

平成、令和でもある「組織のためだけ」に
生きようとする生き様が、
正しい人生の方向を見失なわせる。
家族もいただろうに。それは描かない。

◆「シザーズギア」とは、
ギアとギアに挟まれた
小さなカムシャフトギアの事を言います。
これは車用語です。

しかし、大きな歯車と歯車を動かす為の
小さな歯車も、シザーズギアです。

私達の組織内での
ご自分の位置、立ち位置も
シザーズギアになっていませんか？皆さん。
無理に動かすと、傷んでいきますよね。
この話はその警告をしていると思います。

◆ちょっと休憩◆

✅車用語基礎知識
1982年登場。 トヨタカムリハイメカツインカム、
シザーズギアで、検索して下さい。

現在では、トヨタ以外でも、
スポーツツインカム以外、
ほとんどの「ツインカムエンジン」では
採用されてます。
トヨタが1982年(昭和57年)に初めて
採用しました。あれからもう40年。
2022年現在では当たり前になってます。
それを何故にトヨタが他のメーカーに先駆けて
開発し、市販車に搭載していったのか？

↓はエンジンの仕組みに興味がある人だけ
見て下さい。非常に分かり易いです。

車キチガイの筆者が見つけた動画↓

1.【実は優秀】ハイメカツインカムを解説【エンジンの仕組み】
しかし女の子には難しいです。25分36秒

https://www.youtube.com/watch?v=GcrUZIJTy1M

2.【Vol.11】当時画期的なTOYOTAハイメカツインカムはなぜ消滅したのか？
他いろいろな質問に回答【GS-RADIO】
VVTが登場するまで一世を風靡した。26分56秒

https://www.youtube.com/watch?v=Q0tZEgl1rgU

2022年の今でも走っている、トヨタコンフォートタクシー。
中期以降のこのトヨタのエンジンには、
殆ど今から30年前に登場した
ハイメカツインカムVVTが搭載されています。

しかし、平均して30万キロ以上は走っているはずです。
下手すると60万キロ位までは走ります。

トヨタが四年前頃から営業したタクシー会社が、
旧タクシー、コンフォートから
なかなかジャパンタクシーに代えて貰えない理由は
ここにあります。コンフォートはいいタクシーだからです。
しかもトヨタが作ったこのジャパンは高すぎる。

ベース車両は二世代目シエンタです。
現行のジャパンタクシーJPN Taxiは
安くて基本グレードで315万円。
高いグレード匠が350万。
儲かっていれば別でしょうが。

◆また、ジャパンタクシーJPN taxiは
一般のお客様でも買えるのですが、
二つだけ。価格以外に、難点があります。
それは、何処でしょうか？
この難点をクリア出来る顧客のみ
購入が可能となります。

◆いずれ山村の少年時代の

恋のせつない想い出話が、

この第49話と関連しているであろう、

また似ている話として、
ジーパン時代
第69話で語られます。

この49話は、友子を仄かに想う米田。

最初は何とも思っていなかったこの米田から、
想いを告げられ、米田の為に偽証してしまう。
また、犯罪アリバイ工作を偽装してしまった友子。
ために犯人隠匿の罪は逃れられない。

かつて仄かに恋をしていた女性を
思い出す山村。
◆ここは、映像にはありません。
しかし、ジーパン時代でやっとわかる。
あとになって。

そんな上記ストーリーがあります。

しかし、この米田に似ていたかつての自分。
山村精一。

そう。
少年時代に、ある娘を

気になっていた山村。

マカロニ時代のこの回が、
半年後のジーパン時代の回とリンクしている？

というよりもジーパン時代のその回が、
マカロニ時代のこの回とリンクしている。
だろう、この49話。
皆様気付かないでしょう？

蘊蓄話で、それはまた。
年季が入った50歳代以降の
太陽にほえろ！ファンならば、
「は、はーん？あの回かな」と連想できるかも？
ほとんどの方が、見過ごしている回です。
ジーパン時代を探して見て下さい。

2022.12月終盤以後、
マカロニ時代を終了し、あくまで予定です。
太陽！蘊蓄話ジーパン時代を始める予定。
「太陽！蘊蓄話50周年プラス1年」として、
続けていきます。
他のしがない仕事をしてますので
少し時間が掛かります。ご容赦下さい。

時間を掛けた分は、他のブログ、ツッタカターより内容を濃くしている筈です。ジーパン時代では19のカテゴライズを設けてストーリーを展開していく予定です。

CAST

中島友子：川口晶
米田正男：剛達人（現：剛たつひと）
橋爪功一：宇南山宏
聞き込み相手の重役：野口元夫
クリーニング屋親父：里木佐甫良
鑑識課員：田中力

最後に、
🟠マカロニ時代★★★優秀作005 の追記。
【番外。49話ストーリー関連 蘊蓄話】を
見て頂ければ光栄に存じます。

姫洲和彰

6300字