太陽にほえろ!隠れた名作編★追悼特別◎奈良岡朋子01。第192話「2・8・5・6・3」前半
太陽にほえろ!第192話「2.8.5.6.3」
第一ステージ が(前半)
最初のコマーシャルまで。
1976.3.19放送
それは昭和51年です。半年後に
テキサスは仁王立ちの殉職をします。
その殉職編は番組始まって以来の
最高視聴率 42.5%(外資系ニールセン調査)でした。
第216話「テキサスは死なず!」42.5%※
第217話「スコッチ刑事登場!」41.5%
第218話「殿下とスコッチ」40.5%
上記のように、3週連続の40%超えの視聴率を
達成した太陽!でした。
※三上順は死んでも、テキサスは俺たちの心の中では
死なない。心の中でいつまでも生きている。の意味。
テキサスの後任スコッチ滝隆一。
当時24歳の沖雅也の人気に支えられた。
当時の宮内淳は26歳。
テキサス勝野洋は一つ上の27歳。
スコッチよりも、二人とも歳下の設定だった。実は歳上だが。
脚本 中村勝行、小川 英
監督 児玉 進
CAST
矢島明子:木村理恵
滝田美也子:奈良岡朋子
滝田甲造:北原義郎
飯田治:信実恭介(後の信実一徳)
故買屋:松本敏男
大杉徹:戸塚孝
酒井賢太郎:小坂生男
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港近く?の資材置き場。
「遅くなってすまん」
「金は?」
「約束通りの5000万だ。」
滝田甲造(北原義郎)は故買屋(松本敏男)と
この場所で宝石の取引。
故買屋は黒アタッシュケースを開いて
中の札束を見せた。
滝田もアタッシュケースを渡す。
「全部鑑定書付の宝石だ。
世間相場じゃ、1億円を下らんよ。」
滝田はそのまま背を向け、
報酬の5000万円を入手したまま
去ろうとする。
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「待て!念の為だ。」と
故買屋はそのアタッシェケースを開けた。
しかし、中身は小石であった。
「騙したーなっ!」
滝田と故買屋は格闘になり、
故買屋を側の角材で五回滅多打ちにして
車で逃走。
滝田が使用した逃走用の車は、
昭和45年型のホンダ1300クーペ7(セブン)
◆興味がある方は覗いてみて下さい。
1970年02月09日ニュースリリース
HONDA 1300クーペのご案内
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※このクルマの逸話
今は懐かしき空冷エンジンです。
※本田宗一郎さんが、最後まで拘った空冷です。
その代表車両。クーペ7と共に、
ホンダ1300クーペ9(ナイン)も有りました。
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この空冷エンジンの開発継続に難を示した
若い技術者たちが提案した水冷エンジン。
「社長(宗一郎さん)が続けようとする空冷エンジンは
最早、時代の長物だ!時代錯誤だ!」
「これからは水冷エンジンだー」とした
若い後輩技術者の追上げで、これからは
「若い者の時代だ!」と
「老齢は消え去るのみ」と言い残して、
宗一郎は突然に会社を去ってしまった。
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「段々と若い技術者が沢山育っている、、、」
その創業者社長を追上げした 技術者の代表だったのは、
「久米是志」氏だ。後年社長になる。
三代目社長(1983~1990年)
久米 是志(くめ ただし)既に故人です。
2022.9.11にお亡くなりに。
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ホンダ歴代社長
親父(宗一郎さん)と喧嘩し、久米さんは
一週間会社に出社しなかったと言う。
「あの頑固親父!もうどうにでもなれ!
この馬鹿野郎おやじ!
もう知るかいっ!」
これは、NHKプロジェクトXでも取り上げ放送された。
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この「親父」とは宗一郎さんの渾名。
実際の父ではない。
技術者として全員が彼を敬った言葉だ。
しかし久米は、
「時代に即さない商品は お客様は喜ばない」
との信念を貫いた。
創業者社長本田宗一郎を 引退に追い込んだ
伝説の三代目社長です。久米さんは。
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七曲署一係の体育会系ゴリ みたいな人だったから
筆者も好きでした。
顔も久米さんは本当にゴリラそっくり。
上記の ホンダ歴代社長のリンクを開いて
ご確認ください。どちら様も。
※だが七曲署一係のゴリは、ゴリ押しのゴリで、
由来は魚のゴリです。ゴリラではありません。
既に蘊蓄話で「マカロニ刑事登場!」
第二ステージで写真付きで説明済みです。
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ストーリーに戻ります↓↓
現場に居合わせた走行中のトラック運転手が
車のナンバープレートを目撃していた。
尚も1300クーペ7の左側後部を当てて
凹ませてそのまま逃走した。
ナンバーは「練馬56 せ79-50」
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事件は七曲署捜査一係に即座に通報される。
「は、ふん、了解」
「殺しだ!」
「行ってきます!」とゴリ。
「あっ。長さん、現場付近で不審なクルマを
見たものがいるんだが、ナンバーはこれだ。
ボンと一緒に所有者洗ってくれ!」
滝田はクーペ7で自宅の団地に戻ったが、
団地には野崎とボンが
既に待ち構えていたのだ。
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この車は昭和45年型とした、その意味合い。
放送日は1976.3月だから昭和51年。
つまり、新車だったとしたら6年間
ずっーと同じ車を使っている事になる。
これが、このあとの妻を演じた奈良岡朋子さんの
台詞で出てくる「豊かではない生活」を続けている夫婦。
その豊かでない生活を彷彿させたことの
視聴者に事前に用意した「前振り」が1300クーペ7 なのだ。
◆またこのあとのボスの一言。
「真面目な係長が何故?
こんな犯罪を、、」との疑問の解は
事件捜査の経緯で、徐々に解明に導かれる。
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「滝田さんですね。
ご同行願いますか?」と長。
井上堯之バンド♫
「アクションのテーマ」
滝田は団地の屋上に向かって逃走したが、
ボンと野崎は 階段を追いかけて、追う。
鈍臭いボンは階段を踏み外し転ける。
「大丈夫か、ボン」
しかし、ボンは滝田を抑えて逮捕。
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一係に戻り、ボス席では
山村、殿下、ゴリ、テキサスが居る。
「殺されたのは、潜りの貴金属ブローカー。
つまり故買屋です。」と山村。
「背後関係は?」と鬼
「組織の人間じゃありませんね。
全くの一匹狼です。」と山村
殿下、そっちは?
「ええ、滝田は小さな貴金属輸入商社の
販売係長で、勤務ぶりは真面目一方だった
ようです。」
「うーむ。そんな真面目な奴が何故だ?」
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野崎が部屋に、
タバコを咥え入ってくる。
ボンも一緒に調べ室から。
「どうだった?」
「ええー。完全黙秘ですわー」と野崎
「うんとも寸とも言やしません」とボン
「これが、滝田の所持品です。」
既に、現場で押収した石ころを詰めた
アタッシュケースがボス席に置かれてある。
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「問題は奴がブローカーから巻き上げた金
の行方だ。」と
クーペ7のキーを取り上げ見る鬼。
「滝田のクルマからは発見されませんでした。」
続けて、滝田の手帳を捲り、
「目撃されたのを知って、
咄嗟に何処かに隠したのかも知れん。」
「この数字は?」
「ああー。それも聞いて見たんですが、
兎に角一言も、口を聞かんのですから。」
そこには、
「2.8.5.6.3」という謎の数字の走り書きが。
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翌日の朝。
テキサスが歩いて出署。
そこにボスが 公用覆面車クラウンで出署。
この時の覆面車クラウンは、
マカロニ、ジーパン時代使用の
4世代目クジラからバトンタッチした、
5世代目のクラウン。車両型式が
E-MS80-HE型スーパーサルーン2000cc。
昨年2022年にトヨタから発表されたクラウンは第16世代目
に当たる。兎に角バカデカ過ぎるクラウンだ。
狭い京都市内では如何かと思うが。
「おはようっーすぅ。」とテキサスが上司に。
「おはよう!」と鬼。
ここまで、次回予告開始から6分01秒。
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「昨日の数字なんですが、
メモ用紙の一番最後に書いてありますし、
例の金の隠し場所だと思うんですが。」
◆その通りや!テキやん。
駐車場で、玄関前にて。
「あのおー」と呼びかける女。
それが、滝田美也子(奈良岡朋子)であった。
「何でしょう?」と鬼
「わたくし、此方に留置されております、
滝田の妻でございます。」
「捜査一係長の藤堂です。」
「あのお、
主人に会わせて頂けませんでしょうか?」
「生憎ですが、今取調べ中なんで、
面会は出来ません。」
「主人は何をしたんでしょうか?」
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◆場面は変わり、近くの喫茶店?か。
またはホテルのBARラウンジなのか?
「ご主人には、大金を強奪した容疑も掛かってる。」
「そんな?信じられませんわ?」
「その金の行方はまだ解りません。
ご主人の手帳に数字の走り書きが
あったんですが、何か心当たりは
ありませんか?」
「へぇーっ?」と美也子。
「でも主人は何故?
何故、そんな恐ろしい事を、、」
「いや、、奥さん。」
美也子には、何も分からない。
しかし、そんなふりをしていた、、か?
「御免なさい、ちょっと失礼します、、」
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鬼は美也子がトイレに行ったと思い、
女性だから、かなりの緊張から用足し、
だと思っていた?
◆かなり時間が経過。
空の灰皿に
二本の燃え滓マッチ棒の残骸。
二本のタバコの吸い殻。
その二本目を鬼が吸い、消したところ。
※これをライターを用いると
視聴者に経過したその時間が伝わらない。
だからボスや山村、はいつもマッチで
タバコに火を点ける。
一本吸うのに通常3-4分掛かるから、
ここでは、7-8分は経過したことを
映像では示している。
太陽!マカロニ時代 第48話と同様の
撮影手法を取る東宝の撮影スタッフ。
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なかなか、美也子が席に戻ってこないことから、
美也子のマフラーを手にとり、
女性トイレを確認したが、
美也子の姿は見つからない。
女子トイレを少し覗く鬼。
鬼は2階喫茶店から階段を急いで降りる。
1階フロアで、美也子のハンドバッグを拾う。
※どうもやはりホテルのロビーのようだ。
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そこで見た光景は、
2人の男に拉致されかかる美也子だった。
どうも、美也子は、うまく歩けないようだ。
足を引き摺っている。
そして、自分も。
鬼も、別の男に背後から拳銃を突きつけられた。
「振り向くな!」
ここまで、8分22秒経過。
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場面は一係室。
「ボス、遅いなー」とテキサス。
時間は午前10時6分を示す。
「ちょっと見て来たらどうだ?」と山村。
「ボン?!」と、良に一緒に来い!と
二人は部屋を出て行く。
井上堯之バンド♫
「ボンのテーマII ギター&ハモンドオルガンV」
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◆この時テキサスが着ている
茶色のジャケットに、皆さんご注目を。
テキサス殉死後に、ボンも着用します。
その後年、ドックやラガーも着用していきます。
東宝衣装部は同じ衣装を
何年も長持ちさせてます。
これは太陽!ファン豆知識です。
この時の撮影と同じ時期の
太陽にほえろオリジナルサウンドトラックの
LPレコードのレーベル撮影に用いたphotoが↓
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場面は、新築マンションに入る
日産プレジデント。
「ホテルライクマンション
キャッスル新宿」近日分譲開始とある。
鬼と美弥子はアイマスクを付けられたまま、
歩かされる。流石に警察官だけに、
手で壁を触りながら、犯人の手掛かりを
掴もうとする鬼係長。
俺たちは何処に連れてこられたのか?
ここで登場する犯人の顔。
飯田治(信実恭介)と
部下の大杉徹(戸塚孝)と
酒井賢太郎(小坂生男)によって、
上記のモデルルーム公開中の
702号室に監禁されてしまったのだ。
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「外しても大丈夫ですよ」
「何処なんでしょう?」
とアイマスクを取った美也子も
部屋の外から下界を見る。
その時、足を引き摺った美也子に
「どうしました?足」と鬼。
「車に押し込められたとき、ちょっと、、」
「痛みますか?」
「それより、何故こんな所に
閉じ込めたんでしょう?
何故係長さんと私を、、」
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702号室の
テラスに通じる扉は施錠されて
窓も開かない。鬼は、ここは、
完全なシャットアウトだと認識する。
「電話は切られているし、
外部との連絡は完全に遮断されてますね。」
「下には、人もクルマもいるのに。」と美也子。
鬼は浴室を確認する。
「出来上がったばかりのマンション
のようですね。目的が何であるにせよ、
ここが無人である時間は
あまり長くない筈です。」
「それにしても、何が目的で、、、」
「心当たりは何かありませんか?」
「いいえ。まるで、!」と頭(かぶり)を振る。
「とすると、、、
今度の事件に関わりがある
のかも知れないな。」
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そこに突然電話のベルが。
不通になっていた筈の電話が
突然に鳴り出した。
「電話は切られている筈なのに。」
電話で、若い男の声が通る。
「そろそろ本題に入りましょうか。
滝田が手帳に書き残したメモ。
我々はその内容を知りたいんだ!
奥さんを人質に七曲署を脅す腹だったが、
係長のあんたまで一緒だとは、
こんなに美味い話はない、
さあ、生きて其処を出たかったら
教えて下さい。
知らないとは言わせませんよ。」
「生憎だが、忘れたね。」
「良いですか?其処が完全に無人なのは、
今日の夕方までです。
ギリギリのタイムリミットを
午後四時としましょう。
それまでメモの内容を思い出して
貰えなかったら、お二人とも
其処で死ぬことになります。」
そして、勝手に切れた。
「受信専用の電話です。」
「今の電話、さっきの人たちの?、、」
「奴らの目的は、ご主人が隠した金だ。
その隠し場所を聞き出す為に
我々をここに監禁したんです。」
「そんなお金なんて、私は欲しくないのに、、」
※これは、本音ではない・・・・
「奴等は午後四時がタイムリミットだと
言ってます。兎に角、奥さん。
ここを脱出することを考えましょう。」
______________________
鬼は部屋中を探し回り、やっと見つけた
ブレーカーの電源を入れた。
冷蔵庫に電気が来て繋がったこと
を確認した鬼、藤堂。
さらに美也子に、
「奥さん、大きい声が出せますか?」
「えっ?」
「このガラスを割ったら、
大声で叫んで下さい。
女の声なら聞こえる筈だ。いいですねー!」
左腕を「く」の字にして、
割ろうとする。その時。
突然、向かいビルからライフルで
窓に向けて発砲してきた。
「伏せてっ!」
井上堯之バンド♫
「サスペンス2#2」
「あたしたち、監視されているんでしょうか?」
「恐らくスコープ付きのライフルでしょう。
ここからでは、相手が何処にいるのか?
判らない。」
美也子は、愕然となり啜り泣く。
______________________
場面は変わり
七曲署取調室
滝田は山村から
美也子に、何かあったことを聞かされた。
「何ですって?女房が?」
「確証はない。」
「しかし、何かあった事は確かなんだ!
この辺で何もかも喋ったらどうだ。」
この時、テキサス時代から
取調べ室にまたマジックミラーが
備えられている。
マカロニ時代の調べ室には、
マジックミラーがあったり無かったり。
「吐くんだ!」
「金の隠し場所は何処だ!」
「手帳にメモしてあったあの数字は
何の事だ!」
これでも、滝田はそれでも黙秘を通していた。
______________________
またマンションでの藤堂の場面。
扉をピッキングで開錠しようとしていた。
「磁気を利用した鍵です。
どんな名人でも、これ(ヘアピン)じゃあ
開きませんよ。
時間はまだ充分ある。
奥さん。ここを動かないで下さい。」と鬼
美也子は、唾をごくりと飲む。
◆上手い演技をする奈良岡朋子さんだな。
とても若い女優では無理だな?
人生経験を重ねていないと。
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その時、美也子から離れようとする
鬼と美也子の間の空間に
またライフルの弾がガラスを破り、
飛び込んできた。
「キャあー!はあーーっ」と
美也子の悲鳴。
この狙撃で、電灯が破壊され、
美也子は激しく動揺していた。
井上堯之バンド♫
「恐怖の現場★」および
「サスペンス2#1」
「奥さん、しゃがんで!」
「しゃがんで!」
「今度はあのビルかー?」
そこに、犯人たちから二回目の電話。
「もう一時間経ちました。
そろそろ思い出した方がいいと
思うんですが、、」
鬼は、天井を見上げて、
何か此方の行動を探っているモノが
あるか否かを確認する目線を遣る。
「リミットが来れば、予告通り
我々は貴方がたを殺す。
貴方がたは時限爆弾を
抱えているんですよ。」
やはり、天井からぶら下がる電灯の上に
盗聴器が仕掛けられていたことに
電話中に気づいたのだ。
電話が勝手に切れ、鬼は
飛び上がり、天井近い所に設置されてあった、
盗聴器をもぎ取り、手で折り破壊した。
「何ですか?」
「盗聴器です。
これで全部聴かれていたんですよ。」
「それに奴等は時限爆弾と云った」
「えっー!」と美也子
「どっかにまだ、必ず何かが
仕掛けてある。
奥さん、もう一度戸棚を探して下さい。」
「私は他を探します」と鬼。
「はい」と美也子。
______________________
そこに3度目の電話がかかった。
ホワイトベージュの受話器を
取り上げる鬼。
「今度は何の用だ!」
「えっ?
あんた誰だよーっ?
俺ん家に何しに来たんだよ?
うーん?
ハツエを呼んでくれ、ハツエを?
俺の女房のハツエぇーだよぉ。
うえぇーっ!」
「もしもし。私は警察のもんだ!
七曲署の藤堂と云うもんです。」
ここで電話は切れた。
「もしもし!」と鬼が二回呼びかけるも
折角訪れた、外部への連絡のチャンスは
失われた。
昼間から酒で酔い潰れている
酔っ払いであった。
______________________
「酔っ払いの間違い電話ですよー」
「はあー!?」と
ため息の美也子。
場面は一係。
お茶汲みアッコが一人で部屋にいる光景。
時間は昼前の11時35分を
壁時計は指している。
アッコも、居なくなったボスが心配で、
電話待ちの様子だ。
「ボス、どこ行っちゃったのかしら?」
と独りごつ。
ここまで18分53秒。
七曲署職員が出署する時間は
朝の8時半が通常。
だから実は、ボスの姿が消えて3時間30分が
経過しているのだ。
______________________
浴室の天井を開けて捜す鬼。
「そっちはどうですか?」と
冷蔵庫を詳細に探している美也子に問う。
「何も有りませんわ?やっぱり。」
「あらっ?」
変な黒っぽい瓶を見つけた美也子。
「何ですか?」
瓶にはラベルが。
nitroglycerinと言う貼り紙。
「ちょっと見せてください。」
「何です?」と鬼。
「ニトロです」
「ニトロって、あの?」
「ニトログリセリンです。
僅かな衝撃、摩擦で爆発する。
この瓶一本で、この部屋の二つや三つは、
吹き飛ばしてしまいますよ。
美也子は、その鬼の解説で
後退りしていく。
「最後には、戸棚の中のコイツを狙撃する。
それが時限爆弾の意味だったんですよ。」
「どうしてそんな事まで、、」
______________________
場面は一係。
今度は、無線機の右側に立っている山村。
外を見て、恐らく、どうやってボスの所在地を
確認していけるかを思案中なのだろう。
そこにアッコがお茶を出してくる。
「山さん、、」と渡す。
しかし山村は無言で受け取り、その茶を啜る。
電話が鳴る。
静かな部屋に鳴り響く。
「はいぃぃーー。一係。
おおう、どうだー?」と山村
良からだった。
「駄目なんです!
ボスが居なくなった辺りを
もう一度調べてみたんですが。」
これといって成果に結び付いていない事を
山村に報告したボンだった。
ボンが電話を借りて連絡してきた
派出所の壁時計は
正午を過ぎて、12時17分を指す。
行方不明からもう4時間以上。
「はい、続けます。」
電話を切ったボンに、派出所の中から
怒鳴り声が聞こえてきた。
「なーにぃ?
な、な、ま、が、り、しょ、だあ?」
「何処かで、聞いたぞー?
ななまがりしょ、のとうどう?、って」
交番には居たのは、保護された酔っ払い。
その大声を聞いたボンは、
警官用の当直宿泊部屋を覗く。
その声を発した酔っ払いに、
「藤堂!?
七曲署の藤堂って云う名前を
何処で聞いたんですか!?」
______________________
変わってまた、例のマンションの一室。
鬼は、
ニトログリセリンを染み込ませた布を
ドアノブの鍵穴に通した後、
静かに、そっと、そのニトログリセリンの瓶を
冷蔵庫の製氷機に保管した。
「ニトロは摂氏8度以下になると氷結し、
危険度が薄らぐんです。」
◆かなりの爆薬知識を持つ藤堂俊介。
なのに、警部になれないなんて。
本人は出世主義ではない。また、
上層部、本庁にも頭が斬れるだけに
長い間、睨まれている役柄。
実は、ずーっと警察機構内では
山さんと同じ階級の警部補なんです。
ボスは。
こう云う理由で。
※192話の3年後。1979.10月に
放送開始された西部警察の木暮警視とは違います。
だが視聴者の皆さんは、石原裕次郎が
演じた役だから、全て階級は同じと
思っている方が多いのです。
ちゃい(違い)ますよー。太陽にほえろ!は。
______________________
鬼は、いつも持っているマッチを出して、
ニトロで濡れた布を鍵穴に押し込む。
それを恐る恐る、見守る美也子。
その時、また電話が鳴り出す。
電話の突然のベル音に、
もうビクつくことをしない二人。
「放っときましょう!」と。
※この電話の主は誰が、鳴らしたか。
全く不明。この部分のみ、
番組としては視聴者に説明なし。
布をマッチで燃やし、
とうとう扉を爆破出来た。
鬼と美也子は即座に、
部屋から脱出しようとしたが、
脱出寸前に、美也子が足を痛めて
転倒してしまう。
「奥さん、どうしました?」
「駄目だわ。足が、、(痛んで動けない!)」
「立って!早く!」
脱出まであと僅か1メートル手前なのに。
だが、先程の爆発で
目の前の防火シャッターが自動で
閉まろうとしていた。
鬼は美也子から離れて、
僅かな空間に、美也子が匍匐前進で
来てくれる事を願って。
シャッターの動きを身体で止めようと
身体ごと滑り込むが。
手と腕で閉まろうとするシャッターを
止めようとしたが、
流石のボスのチカラでも、
最新マンション(76年当時)の
コンピュータでコントロールされた
防火装備(機械の力)には勝てず、
とうとう脱出に失敗してしまった。
鬼が折角作ったチャンスは、
活かせなかった。
ここまで、24分51秒。
ここで初めてのコマーシャル。
第一ステージは終わり。
後半部 第二ステージは次回。
9510字
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