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第15話「拳銃とトランペット」【後半部】 「マカロニはいい奴だよ。俺は信頼してる」 「ギルは俺と同類なんだ。誰も仲間がいなくってよ。やり切れないほど淋しいんだ」

1.「命の尊さをストレートに訴求した作品」

戦争嫌い、戦場で人を殺したくないが、
生きるために人を殺さざるを得なかった犯人。
生きる事の意味をマカロニが問いかける。
50年後の、かの国"R"の兵士達に問いかける。

戦争をやって何が残ると言うのだ?
ギルの叫びでもありはしないか?
今まで築き上げてきたモノを失うだけでないか!

2.「過去を捨てた男の情念と時に怒り」

黒人トランペッターが捨てた過去。
過去の青春偶像を取り戻してほしいマカロニ。

3.「当時の社会問題、社会世情を取り上げた作品」

昼の街と夜の街。昼と夜で変わる社会偶像。
マカロニと仲間たちが見た、その中で生きる事の
虚像と虚栄心。それが70年代の青春偶像か?


1972.10.27放送
脚本:小川英,中野顕彰
(旧名中野顕彰の初脚本)
現在は中野圭一郎(なかのけいいちろう)

監督:金谷稔


■ストーリーダイジェスト

現代平成から令和では、
表現できない映像、地上波では放送できない
文言、看板、宣伝、世情風俗がこの回には
一杯出てきます。
また1ドル360円→300円に
変わった50年前の時代。
そういう台詞あり。


井上堯之バンド♫「サスペンスM1」


例の情報屋中川は、街で飲み屋の帰り道、
ギルが拳銃を構えるのを目撃した。

第15話 ギル

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しかし、
殺されると思ったが、
「HELP」と何度も懇願したら銃を降ろして
何もせずに立ち去った。

中川はやはり、ボスに話しておこうと
街の公衆赤電話に向かう。

✅二番目の公衆電話の下に設置された
 回転宣伝ボックスの広告!
 「oh!モウレツ」小川ローザ

小川ローザ3

 ※サザンの「ホテルパシフィック」では
 ありません。サザンが「oh!モウレツ」の
 小川ローザを真似ているのです。

小川ローザ2

小川ローザ2 2

昭和44年 1969年 丸善ガソリン
猛烈 100ダッシュ CM 小川ローザ

2000年夏発売「HOTEL PACIFIC」で登場する
小川ローザ風・モーレツダンサーズの完全再現 ダンス振付け

現在の小川ローザ

小川ローザ70歳1


✅さらに、出逢い系の走りか、
「出逢い伝言ダイヤル」の広告が、
 公衆電話に張られていたり、
 ゴリの覆面車に張られている。
 細かい描写を映す、金谷稔監督。

太陽!は金曜夜8時の放送時間だけに、
セックスを連想させる画像、写真等はタブー
だが、金谷稔監督は今回はこれを敢えて
犯している。色々なチャレンジをする監督だ。


中川のとっつあん。の台詞↓

「もしもし。ああ、ヘソ曲がり署?」
「いや七曲署?藤堂さんは?」

「俺、な、ハジキを持っている○○を見たんだ」
多々良純の ↑この○○の台詞が、一瞬飛んでいるのに
 お気付きでしょうか、皆さん。
 これも放送禁止用語なんでしょう?
◆どんな台詞だったのだろうか?

✅七曲署とは、7人のヘソ曲がりがいる警察だ、
 という事を中川は知っている。

 即ちシンコ含む7人が
 ヘソ曲がりである事をボスかゴリが
 以前に話していたのだろう。
※勿論、制作側のジョークであるが。

藤堂は中川に会おうと席を立つが、
マカロニ席でふと立ち止まる。

「マカロニ、、か?」

山村を無線で呼び出す。
「じゃあ、私が会って来ますか?」

「いや、こいつはマカロニにやらせる」
「中川のとっつあんとマカロニは似合いとは
 思わんか」と山村に。


マカロニは、あのサチオが屯している
ジャズバーに居た。そしてそこにギルが来店。


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淳はギルに握手しようとしたが、
日本人嫌いのギルに断られた。

そこに山村がボスの意向を伝えにやってきた。
「マカロニ、ボスのご指名だ。」

淳はまた中川の偽情報ではないかと言って
信用しなかったが、山村は
「二度、偽情報を売る情報屋はいない」と
「俺は、今度のは本ネタだと思う、
 まあしっかりやれ」と。


✅このシーンは、ボン田口良、登場一年後
 山村が師匠となって、情報屋の付き合い方、
 山さんが見せる情報屋のあしらい方を通じて
 本ネタか否かを身体で体得していく話、
 ボンが右往左往し、翻弄される
 第212話「情報」あのシーンを思い出す。

212 情報屋たち

 この話から情報屋有田が準レギュラー化する。

ボンと有田

マカロニは中川が酒を飲んでいる一杯飲み屋に
来た。カウンターで、「ボスはどうした?」
中川に
そのうち「偽情報ばかり流すと信用が無くなる」と警告した。
「ボスにしか情報を渡すつもりはない」と
結局マカロニには話さなかった。

マカロニとっつあん

「ボスに電話する事だ!」
淳は藤堂に電話したが、

「馬鹿野郎!とっつぁんの口が割れるまでは
 電話をかけてくるな」と鬼の藤堂。

シンコはマカロニを心配したが、藤堂は

「うちの署ではな、誰でも
 あのとっつあんの世話になっている。
 あの中川の口が割れるようにならなければ、
 一人前の刑事になれない」と。

「だからマカロニ君を、、」と
ボスの真意が理解出来たシンコであった。

中川はマカロニから、
必死に情報の提供を頼み込まれたが、
また中川には、
「ひとにものを頼む時は礼儀を弁えろ」と
諭され、途端に淳は塩らしくなった。

中川は、
「自分とボスの10年前の初めての出会い」
を語った。
ボスと一緒になって寝転がって
空の星を数えていたことを。

シンコが来た

店にシンコも駆けつけ、
ボスから預かった1000円を渡した。
中川は「流石はボスだ」と
その金で更に注文を追加。

しかしマカロニはその1000円を奪う。

中川は宗吉の親父とも
刑事時代から世話になっており、
シンコのおむつ替えも手伝っていたという。

「シンコちゃん、あんた高校何年?」
「嫌だあ、おじさん何言ってんのよ」

※当時関根恵子は、18歳、19歳くらい。
 中川の台詞を打ち消そうとする関根の本当の歳
 が映像で暴露されたこと。
※ひょっとしてアドリブか?
 シンコの恥ずかしさが見てとれる。

ここで初めてのコマーシャル。


ギルは暴力団構成員の西田に
「大麻を6時に晴海で売る」という電話をかけた。
石塚は西田を尾行した。

井上堯之バンド♫「過去の事件簿」

西田はサウナで戸川組の組長(向井淳一郎)に
大麻の売買のことを話したが、
石塚もサウナで二人と同室。

ごり

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またまた、ゴリの上半身ヌード。これで32歳の男石塚。


店を出たマカロニとシンコは
中川を介抱している最中、ギルと遭遇した。

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中川が吃驚して、動きが止まる。

今ではないトルコ風呂の看板が並ぶ夜の街で、
ギルは「hello」淳も「hello」
互いの挨拶だけして去っていった。

ギルを知っているにも関わらず、
「まさか、あの黒人!?」とマカロニ
中川は知らないと誤魔化した。

一係では、

鑑識の報告により、ギルが発砲した銃弾が
コレだ。藤堂の説明で、米軍が使用している
「S&W ボディーガード モデル49」
の弾と断定された、と言う。

これは、基地からの盗難か、脱走兵によるものと
ボスの読み。

ゴリは戸川と西田が会ったことを連絡し、
「例の黒人から連絡が入った様です」
上半身ヌードのゴリが、ボスに連絡。
野崎も合流することになった。

ゴリヌード2

さらに場面が変わり、
現在では風営法の規制があるので、
こんな店はアングラ営業しか出来ないかも
しれないがこれは「お触りBAR」である。
はっきり言って。

おさわりBAR7

※昭和62年位だろうか、大阪市内でも
 こんな店に行ったことある筆者。

おさわりBAR5

中川はその「お触りBAR」で
女と酒を飲んでいた。
同行のマカロニは業を煮やし、
「この酒代は全てボスのツケに回す」と
聞いて胸ぐらを掴もうとするマカロニ。
もう中川に協力を頼まないと断言した。


「マカロニだか、スパゲッティだか、
 俺ももう協力はしない」と中川も。

怒った中川は藤堂に電話したが、
藤堂は
「マカロニはいい奴だよ。俺は信頼してる」

とっつあんとボス

「そんなあいつを、とっつぁんは信じられない
 って言うんだな。残念だが、あんたとの
 付き合いもこれまでだな。達者でな」
とうとう、
付き合いを辞めるとボスに宣言されてしまった。

✅ボスが、初期の三人の新人刑事を
 「あいつはいい奴だ、俺は信頼している」と
 言ったのは、筆者の記憶では、
 マカロニだけ。
 ジーパンもテキサスにも、そんな事は
 言っていない。

 あっ、ボスとの10年来の付き合いの設定の男。
 元新人の男石塚ゴリにも言った。
 第42話「知らない街で…」で、
 「いい部下を持って俺は幸せだ」と。
 だから新人の教育係を任せているのだ。

 あっ、そうそう殉職前のボンにも、
 第363話「13日金曜日 ボン最期の日」でも
 序盤に「いい部下を持って俺は幸せだ」と。


↓ストーリー

店を出ると、やはりマカロニが
中川を待っていてくれた。

おさわりBAR1

希望のテーマ(M20)

公園の噴水で、マカロニが、
「なるほど、星って綺麗なもんだなあ」
「空の星なんてすっかり忘れてたよ」


空を

「全く似てやがらあ」と
中川はボスに
似ているといいたかったのだ。

空を見るマカロニ

「そいつ。空の星より事件のホシだ。」

「そいつは、獣なんじゃなかった。
 人間の血が通ってた」

「俺はそいつのハジキを見ちゃったのに、
 助けてくれ、撃たなかった」

「奴は俺と同類なんだ。
 誰も仲間がいなくってよ。

 やり切れないほど淋しいんだ。
 だからボスにしか言いたくなかったんだ」

「あいつ、ハローをヘローなんて
 気取った言い方をしやがって。」

ついに中川から
「ギルがこの街にいる」と聞き出した。

さっき、シンコと一緒に目の前で直面した
あの男。あれが、追ってる犯人だよ!淳。
と、言いたくなるよ視聴者は。

あれが!ギルが!ギルが殺人犯人!
マカロニは、闇夜に向かって走り出す。

「おーい、待てよ!
 何から何まで、ボスそっくりだ、
 あのスパゲッティ野郎!」と中川。


✅淳の渾名はマカロニウエスタンから。
 マカロニウエスタンの事を、欧米では
 スパゲッティウエスタンと呼ぶ事を
 皆様はご存知だろうか?
 岡田プロデューサーは西部劇の大ファン。

岡田晋吉


 ここから、マカロニ、ジーパン、テキサスが
 閃いたと言う。

当蘊蓄話
家族の絆を問い掛ける第5話「48時間の青春」でも
関連情報をピックアップしてますから、
こちらも覗いてみて下さい。

山村と殿下が一係室に戻り、
藤堂に黒人の脱走兵のリストを見せた。

脱走兵の5人のうち、
すでに2人は日本から脱走しておるらしいが
残りの3名のうち、
拳銃を持って脱走していたのは
サム・ジョーンズだけであった。

「ほう?ジョーンズは入隊前に
 トランペット吹きか?」

淳はサチオから情報を聞き出し、
ギルの自宅に向かった。
「3丁目の花園ビルの屋上だ!」

※花園町は七曲管内。花園神社で後年、
 ボギー刑事は刺殺された。
 これもマカロニの刺殺のオマージュである。


「ジュン!」
「俺はデカだ!君を逮捕しに来た」

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マカロニはギルに、
「麻薬取締法違反、公務執行妨害、殺人容疑」で
逮捕すると。
「ギル、ジャズを知らないって言うのは
 やっぱり嘘だったんだな」
乱闘時に、
サムジョーンズのレコードとトランペットが
落ちた。「ギル、お前っ!」

マカロニに反撃しつづけた。

山村と殿下は、ひと足遅く
あのジャズBARにいるサチオに会う。

ギルがベトナムに行ったことを話したが、
山村からはギルが1年前(1971年頃)、
横須賀基地から脱走して
凶悪な殺人鬼に変わっていたことを告げられた。

ルミは「ギルとジョーンズが同一人物であることに
気付いたが、「そんな事嘘だ!」
サチオは認めなかった。


I'm Gill, not Sam Jones.

「何がShut up(シャラップ)だ!
 あんたサムジョーンズだ!」

ベッドに手錠で括り付けられていた淳は、

井上堯之バンド♫「愛のテーマ1B」


マカロニが説教

「そりゃあんたはギルでいたいだろうが、
 じゃあサムジョーンズはどうなんだ?」
「ベトナムで死んだとでも言うのか?」

「戦争は嫌い?」
「人を殺せない?」とお前は言ったが、
 じゃあお前は横浜で何をやった!?

マカロニは叫ぶ!
「船員ひとり殺したじゃねーか?」

それに、「その状(ざま)は何だ!」

ギルの拳銃


「お前がその手に持っているもんは何だよ!」
「人殺し用のピストルじゃねーか」
「阿保かお前は!」東京出身なのに関西弁。

拳銃を持っている矛盾を指摘されたギルは
人間の心に戻ろうとしている。

ギルとジュン2

ギルは、
「私、ペット吹きたかっただけ。でも」

「それを戦争が奪った?」と淳。

「だから脱走した?」
戦争に行きたくない、
人を殺しに行きたくない、ギルの本音を
マカロニは聞き出した。
「私、トランペット吹きたいだけ!」

しかし現実の事件を注視する。
「そのトランペット忘れて、
 サムジョーンズが麻薬と殺しか?」

ギルはやはり、私ジョーンズと同一人物ではない
と言い放った後、淳を残して部屋を出た。

行くなギル

西田も戸川組の事務所を出発し、
野崎とゴリも戸川を尾行し始める。

山村と殿下がジョーンズの部屋に駆けつけ、
マカロニの監禁を解いた。
藤堂から、ギルと戸川組は恐らく取引だろう。
ゴリを追走してくれ、ギルもきっと来るだろう。

晴海埠頭で麻薬取引をしようとしたが、
一係が包囲。

西田はギルを見捨てて逃走を図るも、
発砲して抵抗を続けたが、弾が無くなり、
藤堂と山村に逮捕。

ギルはコンテナエリアに逃走を図ったが、

希望のテーマ(M20)


マカロニは、
「俺はお前のトランペットが聞きたいんだ」
「サムジョーンズのトランペットを」
「俺が聞きたいのはハジキの音じゃねーんだ」

第15話 ペットをわたす

拳銃を捨ててマカロニの元に伏すギル。
そしてギルに部屋から持ってきた
トランペットを優しく手渡す。

ギルは留置場内で
長くトランペットを演奏していた。
それを聞いている、ゴリ、山村、
そしてボスの顔がラストシーン。

太陽!初演奏の
井上堯之バンド♫「葬送曲(Trumpet Solo #4)」


同じサブタイトル
太陽!104話「葬送曲」に流れたのが、
井上堯之バンド♫「哀愁のトランペット」

104話には第して【ジーパン、シンコ愛その2】が冠される。


✅第15話から、オープニング一部変更。

1.ボスは、14話までのボスの左横の女性から
ひょっとして正面を向いてる顔が
クローズアップされ当人から
クレームが出たか?と気に病む。
(たまたま映ったのではないか?しかし
本人の了解もなく、局はそのまま
1→14話まで放映したのでは?)
よってボスのカットを変更。

2.ゴリは、ざる蕎麦を食らうシーン→
マカロニジムニーを乗り付けカットに変更
※これも全国のうどん屋から抗議がきたのでは
ないだろうか?何故ざる蕎麦なんだ!と。

3.宗吉が消える

4.シンコが14話までは
泣いている男の子をあやすカット→
質問された女の子が指を指すカットに変更。

5.京王プラザホテル前の
ボスの歩きのシーン
ボスのネクタイ紺とゴールド縞から→
エンジ色のネクタイに。またネクタイを
緩ませて歩いているカットに変更。


次回は

72-73マカロニ青春偶像五編(2/5)
第21話バスに乗ってたグーな人
※星由里子が特別出演。

お楽しみに。

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