マカロニ時代★★★優秀作005 【名作 中間部】 🟠第49話「そのとき時計は止まった」 山村精一 名推理シリーズ第一回め。 コマーシャル後↓ ここから中間部。
「ええっ!あの娘、
お蕎麦屋もクビになったんちゃったんですか?」とゴリ。
「事件の事がバレてな。蕎麦屋の親父が
人殺しに関わり合いの女は置いとけないと、
怒鳴ったそうだ。」
「俺、可哀想になってきたな、あの子が」と
マカロニ。
井上堯之バンド♫
「幸福のテーマ72、トライアングルバージョン」
奏でられるのはこの話で、これが三回目。
「太陽にほえろ!」オリジナル・サウンドトラック~ベストの
上から11曲目が、幸福のテーマ72です。
◆曲テーマとは逆のシーン。
幸せを掴みたいのに、幸せが段々と遠のく状況、にも。
孤独な友子の寂しく窶れた心を奏でる、このテーマ。
山村は、覆面車から車を降りて友子を歩いて尾行。
彼女の落ち着き先をしっかりこの目で
確かめるまで。
この子は、どうするんだろうか?このあと。
山の手線 小さな陸橋の上。車も走行出来ない。
目黒区の何処の場所かは不明。
山村は
友子がこの橋の上で佇んでいたため、
電車に「飛び込み自殺するのではないか」と
心配でならない。
電車が近付き、電車方向に目が向く友子。
その友子を見遣る山村。「ひょっとして?」
友子の視界に
山村が入ったのだろう、山村の存在に
友子は気付く。
無事に、陸橋の下を山の手線。
緑色の電車は通過して、過ぎる。
山村は、友子に接近しだす。
「まさか、飛び込もうと
思ったんじゃないだろうな?」
「あたし、自殺なんかしません」とキッパリ。
◆やはり芯はしっかりしているんだ!
「そうだろうな」と
山村も同じ気持ちだった。
「しかし、人間、魔が差すと
いう事があるからね」
「大丈夫です。
あっちこっちクビになって腹が立つんですけど。
仕方ないって諦めてるんです」
友子の心音を醸し出す、その思いを奏でる。
井上堯之バンド♫
「追跡のテーマ、スローバージョン」
別名、追跡のテーマIIとも。
◆これは、通常ならば、
たった独りのシンコを励まし、次の行動への勇気に誘(いざな)い
シンコを慰めるテーマ風に
いつもなら、奏でられる。
友子は山村に、
「あたし、諦めることには慣れているんです。
人形を買ってもらうのを諦め、
修学旅行を諦め、
高校進学さえも諦め、、、。」と友子。
「だがな、あの男さえ、
アンタに近付かなかったら、、、」と山村
数秒経って、
この数日、自分を見続けてきた山村に
恐らく、この山村という刑事なら解ってくれるだろう、
その思いを解いた。
「刑事さん。
男の人から手紙を貰った女の
気持ちが分かりますか?」
「別に何とも思って無かった人からでも、
嬉しいもんなんです。
馬鹿ですねぇ。
あんな手紙取ってなかったら、
奥様に見つかる事も無かったのに。
あの手紙一本で、私は人殺しの恋人。」
「人殺しの女」と友子。
「これからどうするんだ?」
「あたし、何とかする事にも慣れてるんです。」
◆友子がこれまでの不運な境遇を掻い潜って
それでも諦めずに前を向き、
強く生きようとしている事は、
今迄の山村自身の不幸な人生経験と
重なっている事を感じていたのだろう。
口では「諦める事に慣れている」と言って
いながら、実は逆だ!
◆さらに山村は、昔自分が気になっている、
ひょっとして自分が好きだった女性と、
この友子が、似ているなと、
思い出したのかも知れない。
↑ボスにも吐露している、このエピソードに似ている回は、
ジーパン時代の中盤、
当蘊蓄話でいずれレビューする予定です。
それは皆様が、あまり知られていない回。
または、知っていて、見た事があるだろう回。
だが記憶にない回。序盤の恐ろしいシーンを二度と見たくないから、か? 皆んな目を伏せてしまうだろう、あのシーン。
最近太陽にほえろ!を初めて見た若い方には
全く知られていない回、ではないか?(筆者)
◆視聴者は、マカロニやジーパンたちの
新人刑事たちにばかり目に行き、とらわれ
その活躍シーンばかりを追いかけていくと、
他の登場人物の、視聴者に情感を訴える、
またそれを物語る回が、
薄くなり埋もれてしまう。
全く目が行かないのでは、おまへんか?
これが、人気番組の泣き何処なのです。
若い人は 例えば、長さん主演作は見向きもしないのです。
良い作品がかなり多いのに。
若い人への生きるメッセージが多い。
故下川辰平さんは天国で嘆いてますよ。
このnote太陽!蘊蓄話で、これから全部網羅しますから。
ゆっくりお休みください。ね、長さん。
下川さん。演技の中のあなたの台詞、あなたの生き様。石原裕次郎が自分よりも年上のキャスティングをしてほしいと岡田プロデューサーに願って実現した俳優下川辰平氏の、若い人には演技出来ない長さんの台詞を、2022年以降の若い人たちの人生の指針になれる様に、生きる希望になれるように、当太陽!蘊蓄話では残していきたいと思っています。山さんの台詞と共に残しておきたいのです。(筆者)
そのジーパン時代のある回で語られる山さんの話の
前振りでも、この話は、あるのではないか?
それが、この49話のような気がします。(筆者)
場面は、夜の街キャバレー前。
ゴリはキャバレーで働くことになった
友子を張込み中。横に山村もラーメンを、、、
「へえー、女っていうものは、変われば変わる
もんですねぇ。ねえ山さん。あれえ?
山村が隣に居たはずが、もう居ない。
独りでラーメンを啜(すす)る体育会系ゴリ。
ゴリは、いつも腹を空かしている。
山村が、何処か行った?
しかし、また。
ガードレールの羞で、またタバコを一服。
馴れない化粧して、
馴れない客への、
馴れない「感情が伝わらない」お辞儀。
ホステス業なんて初めてなんだろう。友子には。
演じた彼女、川口晶はこの時23歳。
一方で、場面変わって一係に掛かる電話。
「はい、捜査第一係」とマカロニが出た。
「えっ!丸並興業グループの橋爪功一?」
再び橋爪を調べろという密告電話が入った。
「その男なら、もう調べは付きましたけど、
あんた誰?」
しかし無言で切られた。
◆上の↑駐車している車は、日産ブルーバードU。
1800SSS-E。(スリーエス、スーパースポーツセダンの頭文字)
当時は人気が絶大なハードトップ。セダンもあったが、
当時はハードトップは2ドアだけ、
4ドアハードトップは設定が無かった。
トヨタコロナマークIIのコンペティター。
良いクルマだった。この610系ブルーバードU。
Uとは、タクシー仕様には使ってもらいたくない、だから日産がタクシー会社には営業しない、
個人ユーザー(U)の為のブルーバードという意味です。
ブルーバードとは、メーテルリンクが書いた小説「青い鳥」。
友子にも、幸せを運んでくる「青い鳥」が
寄ってくれたら?という制作陣の上手くニクイ演出です。
しかしながら、友子はこの幸せの青い鳥🦅を、
無視してそそくさと帰宅していく。
ボディカラーもメインカラーだけに、
ブルーメタリックという演出。
前期型が↓
後期型が↓
↑下は2000GTが追加されたもの。
場面は戻り、働き始めたキャバレーの勤務帰り。
道に出た友子の前に米田が現れた。
「俺だよ、友ちゃん!」
「駄目よこんなとこ来ちゃ、
あたし警察に見張られてんのよ!」
「その通りだ」と後ろから山村の声。
逃げようとする米田は
張り込んでいた石塚によって逮捕された。
体育会系のイノシシの様に突進力のある走りに
簡単に捕まる。金網フェンスで動きを止められる。
何しろラーメンを食った後だけに、
この突進力は半端じゃない。
昔は「これが青春だ!」ではラガーマン先生
だった竜雷太。役名は大岩雷太先生。
さらに柔道、合気道の猛者である。
「俺じゃねー、俺がやったんじゃねーよ」
ゴリによって逮捕される米田を見ている友子は
髪を短くカットしていた。やはりカツラだった?
それを見ていた現場の友子は、
山村の方を振向き
もう警察への憎しみよりも、
彼を助けてほしい、と
何故か悲しげな顔を見せていた。
友子にとっては、
愛情が芽生えた青年をこの場で
見殺しには出来ないと。
米田は引っ張られ取調室にて、ゴリに取り調べられた。
「証拠は有り余る程揃っている!」
「しかし、殺したのは俺じゃない!」
「俺が行った時には、あの女は
もう死んでいたんだ!」と容疑を否認した。
この時、山村の目と身体が、米田に近づく。
そして、山村はゴリの強烈な尋問を止める。
「どういう事なんだ?話してみろ」
「山さんっ?!」と不服そうなゴリ。
もう一度山村は、
「話してみろ」
米田は
「クリーニング屋を出たのは確かに
午後2時30分頃でした、しかし
マンションに着いたのは午後4時近かった。
旭町4丁目の児童公園のベンチで
奥さんに何と言うか考えていたんです。」
「一時間もか?」と山村。
「俺、奥さんに分かって欲しかったんです。
友ちゃんへの本当の気持ちを。
彼女と真面目に付き合いたいっていう事を。」
米田回想シーン
現場での犯行当日の回想。
井上堯之バンド♫「サスペンス何が起きる」
◆この曲名は筆者が勝手に名付けてます。
※この曲は、2022年末頃に、別アイテムでご紹介します。
部屋で、米田は凶器の置時計を触る。
血が付いた置時計を。
見上げると死体が?
そこで仰天し、時計を放り出し逃げた。
これが、ゴリへの供述。
「おいおい勘弁してくれよ?
そんな出鱈目がここで通用すると
思ってんのか?」
「嘘じゃないよ、本当なんだよ!」と米田。
「だったら直ぐに、どうして届けなかったんだ!」
とゴリの剣幕。
「けど、あんたたちが信じる訳ねーだろ?」
「俺は、あの置時計を握っちまったんだ。
それに、俺は動機がある。
だから、だから俺は逃げたんだ!
真犯人が見つかるまで
捕まりたく無かったんだよ!」
愛のテーマは、一杯あります。
マカロニ、ジーパン時代では四つぐらいですかね?
米田をゴリに任せて、
供述を直ぐに確認しに外へ出る山村。
一係に戻ってきた山村。
当時はお茶汲み女性は居らず、
シンコも今回欠場。
よってお茶でなく、水をポットから汲んで
自らコップで飲む山村。撮影時期は梅雨の時期。
一ヶ月後にはマカロニが死ぬ1973.6月。
外から帰ると、どうしても喉が渇く。
しかも疲れている身体に堪える捜査一係は
二階にある。階段を登らないといけない。
そこに、部屋で寛いていたチンピラマカロニが、
「どうしたんですか、山さん。
事件はもう解決しましたよ。」
何を言っているか!っと、そんな口調で、
「解決など、しとらんよー、まるでな!」
※またマカロニは、上辺だけで状況をみる。
事件の本質を掴みきれていない。
「自供の裏が取れたのか、山さん」と鬼。
山村と長年捜査活動をしてきた鬼は、
何かを掴んできた?、と推察。
「四丁目の公園って言うのは
小さな児童公園で、この常連客の数人が
はっきり、米田を目撃していた」ことを
確認してきた。
「あの日米田が四時近くまで、ベンチに座っていた」と。
「そうすると」鬼
「引っかかるのは、あの時計ですね」山村
「鑑識の報告では、
あれは明らかに打撃を
受けた時のショックで止まったものです」
「しかし、害者の死亡時刻は四時。
米田があの部屋に入ったのも四時だ」と鬼
となると、、鬼は山村に後を託す。
「これは、非常に考え難いことですが、
害者は別の犯人に三時に殴られて昏倒し、
意識不明のまま、一時間後に息を引き取った」
※これは、前半部で示したように、
最初の現場検証で鑑識に話した、
ボス、鬼藤堂の直感推理と合致してくる。
「もう一度、洗い直す必要があるな?」と鬼
◆もう一度、とボスが言ったのはこれで3回目。
この二人の会話を聞いていた淳。
「あっ、いけねー!」
「夕べ、あの。
女からタレコミがあったんです。
橋爪の事で。」
◆何で、早よう言わへんねん、マカロニ先生。
「何?女?」山村
「前の電話、男だったぞ」と鬼。
「しかし、内容は同じだったんですよ。
丸並興業グループの橋爪功一を調べろ、って」
とチンピラ淳。
二度も出てきたこの男。
橋爪功一と偶然あった馴染みホステスの
証言を、もう一度確認しに行く山村。
「しつこいわねー、あまみの展望台で
橋爪功一さんに会ったのよー」
「伊豆の天気は、その日どうだった?」
「あの日は、いいお天気だったわよ!」
「ほーーっ?」
「気象記録を調べてみたんだが、あの日
伊豆地方は午後から雨が降っている。」
「いい指輪だな」と
ホステスの左手を取り上げ、
「何処で買った?、!うっんっ!」
橋爪を取調べ室に呼び、
ゴリ、殿下も共に同室。
山村が落としに掛かる。
井上堯之バンド♫の名曲
「サスペンス2#2」
指輪を机の上に提示。
「見覚えがあるだろう!」
「女は皆喋ったんだ!
これを勝って貰った代わりに
お前のアリバイ工作に一役買ったとな!」
橋爪が自供しました!と殿下の報告で
鬼も調室に赴く。
「すると害者は会社の秘密を握っていたんだな?
秘密って何だ?」
「汚職です」
「東南アジア向け技術援助の件で、あの女。
其れを揺すりの種にしたんです。
社長も私に怒鳴りました。
"100万円以内で決着を付けてこい"
"それが出来ないとクビだ!"」と。
「ところが、
女は嵩(かさ)にかかって大金を要求した?」と山村。
◆ちょっと休憩
登場人物台詞における国語、慣用句講座◆
「嵩(かさ)にかかる」とは?
1 優勢に乗じて攻めかかる。
2 優位の地位・立場をいいことにして相手を威圧する。
「―・って命令する」
[補説]「笠に着る」との混同で、
「笠に懸かる」と書くのは誤り。
上記山さんの台詞。
この場合「嵩(かさ)にかかって」は、
2の意味である。
「はい。私は頼んだんです。
それこそ手をついて頼んだんです。
それなのにあの女。
鼻の先でせせら笑って、
(明日から職探しでもすることね)と。
それから後のことは、はっきり覚えてません。」
「そして気がついたら、女が倒れていて、
あの、あの置時計を握っていたのです」
「その後は、指紋を拭き消し、
馴染みのバーホステスにアリバイ工作をした。
そうだな?」
井上堯之バンド♫
「オープニングテーマ、スロージングル」
一係の玄関。
友子が待っていた。髪は元に戻っていた。
ホステスの仕事時は、やはりカツラだったのか?
米田が釈放され、
迎えの友子と米田は七曲署をあとにする。
しかし、
山村は友子の仕草を見て、一礼したものの、
米田を警察から未だに避けようと感じた、
その雰囲気から、
やはりまだ何かを隠していると
感じずにはいられない。
「だけど、誰だったんでしょうね、あの
タレコミ電話。」と殿下。
「会社の同僚あたりじゃないのか?
社長秘書は妬まれっからな」とゴリ。
玄関から戻った山村は、
ボスの前にあった、
鬼が読んでいたさっきのゴリの調書を読み直す。
ボスはゆっくりとタバコを吸っている。
「事件は解決したんだぞ、山さん」
◆ここで、ボスの背後に映る外の背景。
「オシンコ刑事誕生」では、左手には
新築だろう、団地またはマンションが見えた筈。
なのに、三ヶ月後のこの回では、
無くなっている、ことに皆さん
お気付きになりませんか?
◆ボスの背中から見える外の景色に
注目して下さい。ここは撮影スタッフの
外景設定の盲点です。
前後の話と繋がらない背景が、そこにある。
それでも
「時間の事ですが」
「三時に殴られ、四時に死んだ。
こりゃー絶対無いとは言いませんが。
どうもやっぱり引っかかるんですね、
それにもう一つ。
あの娘です。
あの娘はまだ本心を打ち明けてはいない。
まだ何かを隠している。
どうも
そんな気がしてしょうがないんですがね。」
マカロニが、
「あれー。また遅れてるよー」と
三時五十二分を、現在の時間四時に戻した。
山村はそれを見て、部屋を飛び出した。
山さんは何処に行ったか? それは、後半部で。
中間部はここまで。
次から二回目のCM。その後に後半部、最終部へ。
マカロニ時代★★★優秀作005 の追記。【番外ストーリー関連 蘊蓄話】を(最終部の後に)設けます。
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