ジーパン青春純情編01 (後半部)
汚れなき刑事魂 第二ステージ
ここから後半部。
野崎は一係室にて
鬼に捜査進展の報告をしてきた。
「死んだ保全信用金庫の川島がくさいって
言うのか?」と鬼
「ええ。本庁の二課の連中と
一緒に当たってみたんですが、
あそこの経理内容は相当出鱈目で、
使い道の分からない金が
1億円以上もあるんですなー。」
「ええー。一億?」と
お茶を飲みながらゴリも感嘆する!
「もっとも死んだ川島が、
使い込んだと言うことになっていますが、
見方を替えれば、
何者かが死んだ川島に、全部罪を被せたと
言えないことはありません。」
頷く鬼。
「なるほど。筋書きが読めてきたぞ。
牧は川島に罪を被せようとした誰かから、
1000万。いやそれ以上の金額で
殺しを請け負った。
1000万という金を自由に動かせる人間
というと平職員じゃあるまい」
「牧と幹部職員との繋がりを
徹底して探るんだ!必ずどっかで
繋がっている奴がいる。」
そこで、山村曰く。
「幹部と云えば、
真っ先にマークするのが、新理事長になった
平井栄三(見明凡太朗)だな?」
平井の13-32番地の自宅を張込む。
覆面車60系クラウンで張込む山村と純。
松田優作は、運転出来ないために助手席。
山さんの運転は上手い。だから運転席に。
すぐ動ける体制を取る。
◆助手席で、純は暇そうに
吸い終わった山村の
セブンスターの吸い殻を剪定している。
灰皿に捨てた吸い殻を、まだ吸えるとし、
その一本を拾い、マッチで火を点ける。
※フィルター柄でセブンスターだと判る。
山さんはこの頃は、セブンスター派。
◆テキサス時代から、鬼が吸うチェリーに、
山さんは銘柄を変えています。
これも「太陽!蘊蓄話」の隠れた蘊蓄です。
太陽にほえろ!熱血ファンであれば常識です。
が、非喫煙者の視聴者には解らないでしょう。
簡単に素通りしてしまう箇所の絵です。
この場面がそうです。
純はタバコを切らしても、マッチはいつも
所持しているんだなあ?(筆者の感想)
その時、下校中の小学生が
平井宅前で友達と分かれて手を振る。
「バーアイ!」
ここで、もう一度。
井上堯之バンド♫
「危機のテーマ」間奏。
「どうした?」と山村。
「あの子?」と純。
「あの子だ。サッカーをしていて
怪我をしていたあの子を牧が、
家まで送って行ったことがあるんです。」
「危機のテーマ」はそのままに、
場面は変わる。
一係で、鬼を中心に事件の本ボシの確定。
しかも、狙われていた奴も確定出来たのだ。
「繋がったな!」
純も、最早反論は出来ず。
自分が証拠を突きつけ、山村と鬼に
報告したのも同然だから。
純と、後ろで心配そうに見ているクミ。
その時、体育会系ゴリが
飛び込んでくる。
「信用金庫の電話交換手の話によりますと、
昨日も平井を名指しで、若い男から
電話が掛かって来たそうです。」
※大きな職場であれば、掛かってきた電話を
振り分ける職場内の電話交換手がいたのである。
昭和58年頃にも、京都でもこんな電話交換手がいました。
筆者は記憶しています。
「長距離か?」と鬼
「感じでは、都内からだと」はゴリ
「まだ都内に潜伏していたか?」と野崎
「だろう、ね。牧は殺しをやったのに、
肝心の礼金を手に入れ損なった。
これじゃあ、高飛びも出来んだろう!」
とは、名推理警部補の山村
純は、それでも信じられない。
しかし刑事である眼はボスを向く。
「徹底して平井をマーク。
牧が食いつくのを待つんだ!」
平井宅裏で、
覆面車セリカリフトバック1600ST
車内にはゴリと殿下が待機。
井上堯之バンド♫
「サスペンス2」より途中間奏。2#1
※前半部が間奏される。
皆さんに有名な部は後半の、2#2です。
そして、平井を追尾していくセリカリフトバック。
第53話で登場した、東名信用金庫の
近くだろうと思われる場所に向かう。
ここが、第53話と同じ場所で、ロケーション。
ガードレール脇に外車は停車する。
降りてきて、
保全信用金庫に入る平井栄三(見明凡太朗)。
現場では、既に野崎と純が張り込み。
純は本屋の隣りの自販機でまたタバコを買う。
またチェリーを選択し金を投入。
一方でランチタイムの平井栄三。
ステーキランチを食する。
その後に待たせていた車に乗る平井。
これをセリカリフトバックがまた追尾する。
「お帰りのようだな」と野崎。
「長さん。牧は会いに来るでしょうか。」
「来るさ!奴は金の為に
無関係な人たちまで平気で巻き添えにした。
いや、初めからそうするつもりで
捜査の目を誤魔化すのが目的だったんだ
のかも知れん。」
「そういう奴が簡単に金儲けを
諦めると思うか?」
「しかし俺は、、」
「ジーパン!?」と肩に右手を。
🔵長さんでも、今の純には何も言えない。
純の思いも、分かっているからこそ、
捜査の途中では何も言えず。
中間管理職の辛さを演ずる下川辰平。
同室部下の純には何も言えない長さん。
最早、純は仲間だ。
「コイツを一人前にしなければならない」という
責任感を背負(しょ)わされている。
ここで二回目のコマーシャル。
三回目の柴田家の登場。
「純?
勤務中、パチンコなんかしてはいけない、って
言ったでしょう?」とたき。
食卓の上には、
大量のチェリーの山。
「俺はアイツがとても悪い奴とは思えないんだ」
「?牧だよ」と純は母に。
「知ってんだろう?」
「あんた。刑事には向かないかも知れないね。
でも、亡くなったお父さんそっくり。」と母
「母さん、そんなあんたが好きだよ」
「俺、行くわー」
その時、電話が、、、。
「はい、柴田でございます。」
「居りますが。」
「誰?」
「友達としか?」
「俺だ。判るだろ?
実はあんたに相談したい事があるんだ」
「自首?お前ほんとに自首する気が
あるのか?」
「ああ本当だ。だからあんたに
付き添って貰いたいんだ。
俺一人で警察に行くのが怖いんだ。
頼むよ、柴田さん。」
「分かった。それでお前何処にいるんだ?
え?オートレース場?
其処を動くなよ!?」
「犯人から?そうなんだろ?」と
心配の母たき。身を乗り出して
行くことをやめさせようと懇願する。
「まさか、一人で行く気じゃ?」
「純!一人で行くなんて、そんな危い真似は!」
「母さん。奴は俺を頼ってきたんだ!」
「じゅん!」
「必ず自首させてやるさ!」純
「じゅん!」
言い出したら、もう母を振り向かない純。
即座にたきは七曲署へ
純の責任者に連絡して止めて貰うように、、
と電話する。
「何ですって?
一人で出かけたんですか?
で、場所は?」と鬼。
「たしか?オートレース場とか?」とたき。
「分かりました。すぐ手配します。
っ、どうかご心配なく。」と鬼。
直ぐに三菱電機製の無線機で
体育会系を呼び出す。
「オートレース場ですね、了解!」
と鬼の指示を受けたゴリ。
「ゴリさん!」と助手席の殿下。
平井を張込むセリカリフトバックの前で
自宅から歩きで外出した。
「おい。出勤にはちょいと早いぞ」とゴリ
「しかも歩きだよ」と殿下
タクシーを止めて乗込む。
※この時代に番組で使われるタクシーは、
「イースタンタクシー」
後年、昭和終盤→平成→令和でも現存する、
「東京日本交通」タクシーが、主流になって、
使われていきます。
番組と提携して使われています、ね。
◆筆者の親戚は東京にて、
その東京日本交通のタクシードライバーです。
毎月の収入は100万は下らないとか。
ゴリと殿下はその平井を追尾する。
一方、純は、オートレース場に到着。
「何処だあー」と純は叫ぶ。
牧も、ブルーメタリックの旧型タウナスに
乗って現れた。No.プレート532。
※この車はマカロニ時代から
犯人車両として使われている旧タウナスではないか?
一年前放送した「また若者が死んだ」でも、
犯人役 水谷豊が出演しています。
この時の旧タウナスのNo.プレートと
比べて下さい。全く一緒のクルマです。
この時は、水谷豊がマカロニの友人警官を撃ち、
倒れて動けない処を、また頭に銃弾を撃つ。
そして、タウナスをバックさせて轢き殺すシーン。
これは、太陽!でもテレビ放送したくない場面だった。
その場面を水谷豊は演じた。
純の前にタウナスを横付けする牧。
「よーっお!」
「牧っ」
「解るだろおー?」
「これを押せば、あんたも俺もパァだぜ!」
「牧っ!?」
「大人しくするんだ!」
「拳銃は持ってねえのか?」
身体を弄る牧。
「自首する相手に、拳銃は要らんだろう?」
右ズボンポケットから
手錠を取り出し、牧は
「自分で掛けろ」
「なあ、牧。自首してくれ」
「五月蝿ぇー!俺はお前を人質にして
逃げるんだ!」
純は牧を説得するも、全く効果なし。
「お前、どうしてそう変わっちまったんだ?」
「変わった!?」
「こんな事しちゃいけない」
「自首するんだ!あとは俺が何とかする」
「いいから掛けろっ!」
両手に掛ける手錠。
左上ポケットから手錠の鍵を探り
手にとる牧。
牧はここまで、自分が変貌した訳と
自分のこれまでの過去を話した。
「世の中、そんなに甘くないんだぜ」
「でもな、聞きたいって言うんなら
話してやるよ。」
「金だよー!
金が俺を変えたんだーっ!
「俺の親父は借金に追い捲られ自殺したよー。
小さな町工場は潰れた。
親切そうにしてた奴らは、
誰一人助けてくれなかった。
俺も大学を卒業出来なかった。
決まっていた就職も、全部パーだ!
あは、はははーっ!」
「何故、俺に言ってくれなかったんだ?」
「口じゃ皆んなそう言うよー」
「でもなあ、
金持ってないお前に、何が出来るんだよ?」
「世の中、金だよー!
金がなきゃ何も出来やしねーんだ!」
「俺はきっとこの手で
金を掴んでみせる!
そして復讐してやるんだー。
親父や俺を苦しめた奴らに、なあー。」
「牧っ」
その時、平井を乗せた
イースタンタクシーが到着した。
同時に、ゴリと殿下のセリカも追従し
オートレース場に到着。
井上堯之バンド♫
「サスペンス2」より途中間奏。2#2
※今度は後半部が間奏。
牧は純を、レース場の上階に連れ出し、
左手手錠を手すりパイプに繋がせた。
「馬鹿な事はよせ!
自首しろよ、牧」
※ここで、太陽!特有の効果音。
井上堯之バンドではありません。
◆工事現場でカンカンと鳴り響く音。
この効果音は、他の回でも使われたもの。
特にマカロニ時代でも使われている。
「そして拳銃に弾を込めた」のラストでも。
近くに工事現場があるだろうと視聴者に
錯覚させる名効果音です。
が、絵には、工事現場は出て来ません。
皆さん、この効果音をよく覚えておいて下さい。
また他の蘊蓄話で紹介します。
そこに金の入った鞄を抱え、
二人の前に。
「持って来たかい?」牧
「持って来た」平井
「2000万だろうな?」牧
「馬鹿な?1000万は先に渡してある」
「あれを無くしたのは君の所為だ!」
「まあいいだろう。貰おうか!」
そのとき、体育会系の足音。
ゴリが駆けつけ、
「動くなっ!」と拳銃を向け構える。
平井は咄嗟に逃げるが、
退路で殿下も拳銃を向け、進行を塞ぐ。
ゴリはSWリボルバー、
殿下はオートマチック。
「牧!平井!もう逃げられんぞ!」とゴリ
「そうかなぁ?見ろ!」
と左手の爆弾を手に空に高く翳す。
「俺を怒らせない方がいいぜ。
こいつの威力はあんた達の方が
よく知っているはずだあ」
平井は観念して、膝まずき、尻を着く。
「二人とも拳銃を捨てろ!」と牧
ここで、鬼、山村、野崎の顔が
見える。
「捨てろーお!捨てないと
こいつを押すぞおーっ!」
「ゴリっ!」顔で指示をする。
「言われた通りにしろっ!」
ゴリと殿下は拳銃を放る。
「あんたも捨てろおー」と牧
鬼も、指示された通りに放る。
鬼の拳銃もオートマチック。
あとは、山村、野崎が背後から
拳銃を持ち、牧に近づく。
「平井さん、鞄を貰おうか?」
「儂はどうなるんだ?」
「冗談じゃない。あんたの面倒なんか
見られるかい?」
牧は平井を見捨てて1000万円を強奪し、
純に対して、
「あんたは一緒に来るんだ!
安全な所に逃げるまでは、
大事な人質だからな?」
「牧。俺は行かないよ。」
井上堯之バンド♫
「愛のテーマ ピアノバージョンI」
「何だとお?」
「俺はお前を自首させる為に来たんだ!
俺は行かないよー」
「五月蝿えーっ!」と牧
鍵を純に翳し、
「自分で外せ!一緒に来るんだよー」
「俺は行かない」
「来るんだあー、死にたいのかっー!」
「お前には、そんな事は出来ないよ牧!」
「お前は本当は、いい奴なんだ!」
「馬鹿やろー、来いよ。来るんだよー」
「お前はいい奴なんだ。
本当はいい奴なんだ!」
◆二人の心に。
頭に残る河原でのサッカー遊び。
それが回想のフラッシュバックで蘇る。
あまり見せない屈託のない笑顔の松田優作。
「いい奴なんだ!お前は」
「辞めろおー、辞めろーっ」と
手錠の鍵を投げ捨てる牧。
「じゃあ、あんたが人質だよ。」
と平井を引っ張り、逃げる牧。
その時、純のデカい声がレース場に鳴り響く。
ゴリの声よりもデカい純の唸り声。
「待てーーっ」
かなりの反響が還る。
繋いだ左手の鎖を、
鍛えた空手二段の右手が、
鎖に向けて空から垂直に切り裂く。
一回、二回、三回と。
五回めで、純の右手首は血が滲む。
繋がれた手錠にも、純の右手から出た
血がこびり着いている。
それでも、呆然とする牧、平井、仲間達。
九回、十回、十一回。そして十四回。
最後十八回目で、手錠は砕け落ちた。
井上堯之バンド♫
「淋しきトライアングル」★
★は筆者命名。
53話雨の横断歩道橋で、
シンコが純に差してくれた傘のあのシーンで
間奏された曲です。
「ジーパン刑事登場!」でリンクしてます。
オリジナルサウンドトラックを聴いて下さい。
そして、純は牧に近づく。
「牧、ダイナマイトを渡せ!
俺はお前を逮捕したくないんだ!」
「渡すんだ牧。俺に逮捕させないでくれ!」
「チキショウ。あんたみたいな
お人好し野郎に、、、」
「お人好し野郎!」と
ダイナマイトの導線を自分で
引きちぎった牧。
そしてダイナマイトを放した。
井上堯之バンド♫
「愛のテーマ1B」
鬼の元にゆっくりと歩いて行く純。
「ボス」
後ろから山村も、
「そういうお前を
いつまでも忘れるなよー」
◆しかし、あと一年後、
人を信じ、容疑者を弱い人間として
見るようになった純は、一時助けた若者に。
その信じ切った相田実に、
自分自身が、腹を撃たれて、
絶命してしまう運命となる。
🔴54話撮影エピソード🔴
松田優作は、当初番組スタッフ特製の細工
を施した手錠での撮影を拒否し、
実際の手錠に似せた鉄製の手錠で撮影を行い、
それを空手二段で鍛えた手で、本当に
打ち壊したというエピソードが残っている。
※俺たちの勲章での中野裕二(松田優作)は
空手三段の設定となっております。
■しかし実際の手錠は絶対外れないそうです。
警察が用意した手錠を素手で引きちぎるのは
どれだけ筋力、腕力があっても不可能です。
善良な多くの皆さんは、逮捕され
手錠を打たれた経験はないと思いますから、
解らないと思いますが?
以下はあるサイトより。
「引きちぎるのに必要な力に対して
力がかかる全ての箇所の中で
鎖が最も弱い場合、鎖が引きちぎれますが、
鎖よりも手の皮膚と
手首の骨の接合の強度の方が
圧倒的に弱いので
例え、鎖が千切れる強度で引っ張ったとしても
鎖より先に先に手首が切断されます。
ですから、
手首に鎖を超える強度が無い限りは
物理的に不可能になります。」と。
更にまた、筆者調査では、米国の老舗銃器メーカー、
スミス&ウェッソン社が取り扱う
実物のハンドカフ(手錠)は、
ダブルロック機構でキーホールと
ダブルロックホールの両方で開錠する仕組みです。
南京錠や通常の鍵と違い、
カーボンスチール製の本品は
容易に破壊することは困難です 。
サイズ[長さ]:約24.5cm
重量:約290gと、説明されています
その後は、2023.3.29死去された、
故奈良岡朋子氏の
追悼特別編成のブログをアップ予定です。
順番がジーパン編とは後先になりますので
皆様ご容赦を。
一人で作成してますから、
他にも二つの仕事もあり、
掛け持ちでやってますから、
時間がかかります。すんません。
6648字