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第60話「新宿に朝は来るけれど」ジーパン青春純情編02 第一ステージ

1973.9.7 放送

脚本:鴨井達比古、小川英
監督:竹林進
丁度 50年前  9月の放送です。

CAST 主なレギュラーは除いて。

永井久美:青木英美
柴田たき:菅井きん

秋山恵美:桃井かおり

中原和己:大塚国夫

野川:服部哲治

中原弘子:伊井利子 マカロニ時代以来の出演
高田助手:北川陽一郎 準レギュラー

野川京子:山吹まゆみ

遠井主任:片山滉
居酒屋の女将:上野綾子

ヒッピー:阿藤海(現:阿藤快)
ヒッピー:杜澤泰文
六人部健一、築地博、渋谷健三
___________________________

井上堯之バンド♫

★は物語伴奏に使われた状況により、
kazu氏が編成された以下並びの曲に、
蘊蓄話筆者 姫洲が勝手に創作したタイトルを
追記し、よりわかり易くしています。
それが★です。

「太陽にほえろ!-ドラマミュージックファイルVer.26」
(マカロニ・番組開始当初編)

 ミュージックカウンター
 18.05-19.10

 曲番21.「殺しの予兆〜静かなる早暁★」
★は筆者が勝手に命名してます。

🟠ストーリー序盤を窺わせる楽曲に
相応しい。

↑は第20話「そして、愛は終った」で
挿入されたBGMで、
この第60話の 朝のシーンで
流用、間奏されている。

第20話では、
沢田研二が老婆を殺しに行くシーンで。
この回です。太陽!初の近親相姦シーンは。
この老婆は、叔母と甥の近親相姦シーンを
目撃してしまったのだ。
その秘密を永遠に葬るために、殺人を。
しかし、甥は現場に証拠を残す。
___________________________

ここからストーリー概略。

鬼は読売新聞を読んでいるか?
殿下はタバコ吸い持って、大局してる。

またまた、テーブルの上で
ヘボ将棋の真っ最中。

「ダメダメ、そんな事したら
 詰んじゃうよ! 角が、、」と

将棋は全く下手クソなゴリが、一係では、
将棋名人の殿下に指図している。
次の新人テキサスにも負けるシーンも多くある。
将棋は「ゴリ押し」では勝てない見本だ。

「いやいや五月蝿いよ!
 教えたらダメ。」と。

そんな山村も、麻雀や競馬など賭け事で
推理するのは大得意。捜査と同様に。
目に見えて来ない犯人を炙り出すテクニックは
この趣味の勝負事で身に付いたと言える。

だから相手の出方の三手、四手先を
読むのには慣れている。
その山村が理知的な殿下と勝負している。
___________________________

一方で機械に強い殿下は、モノの構造の
アルゴリズムを理解している。

だからこそ女性の心理構造をも
難なく把握出来る。女性容疑者には
必ず殿下が対応する。
しかし、今回の容疑者は
人生勉強中の純が、人として
当たり前の直感で追い詰める。
___________________________

その時、ドアが開く。

誰やねん!?
あらっ?

「ぉお、つ、か、れ、さん、です。」
見た事ないブルースーツの長身ボサノバ頭が
入室して来た。

7/20初登場の純は、
8/15には公務員の初給料のはず。

やっと母たき、が見るに見兼ねて
用意してくれたのか?
それとも、初めての給料で仕立てたか?
自分で買いに行っている訳はないだろう。
かなり、ずぼらな純だから。

壁時計は
7時22分過ぎ。
夏の朝の七曲署一係はこんな早いのか?
クミも、もう出署している。
いつもよりも出署時間が
早いのは何故か?
分かりませんが。
___________________________

「ほーおーっ」
「はーえー?」「へえーー」
「えーーっ」の、
ほ、は、へ、え、、が入り混じった驚き。
皆が、今までと違う純の格好に感嘆。
一つの言葉にならない。

「ちょっと窮屈で、、」と純。
◆背広は初めてか?ネクタイが苦しいか?

「照れない照れない!」とシンコ。

「いーわよー。
 意外にイカしてるじゃない!」とクミ。

◆七曲署一係で、同時期に、
女性が二人在籍しているのは、
このジーパン時代と太陽!PART2のみ。
ジーパン時代では、
''刑事とお茶汲み''だが。

しかしながら、ほぼ10年後。
第595話「マミー刑事登場!」で
令子赴任前に、高田早苗が演じた、
女子大卒の刑事が着任する。

が、現実の仕事と、
これまでの想像していた刑事像と違うと、
数日で、直ぐに辞表を提出し辞めて行った。

◆平成、令和でも女性のみならず、
直ぐに仕事を辞めたがる若者像への批判かも
しれないが。何事も、石の上にも三年だ。

当蘊蓄話ブログ内、
「第38話に入る前の基礎知識」
◆ 第38話は「オシンコ刑事誕生」。
このタイトルには、「!」はありません。
①七曲署一係に女性刑事は、実は3人いた!
シンコ、令子。そしてもう一人。
これを探してお読みください。

太陽!PART2での女性刑事は
石原裕次郎が後任を指名した女係長、
奈良岡朋子演ずる、篁(たかむら)朝子と
髭ロッキーの嫁はん、令子の二人。
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「孫にも衣装かあー。」と殿下。
「は、はー。」「ヘッへ。」と野崎たち。

「何を着せても、デカに見えるの
 妙だな、ああ?」とは鬼の感想。

「ボスっ!」と本人。

「だけどな!あんまり珍しいことすんなよ。
 最近は天変地異が多いんだからな!」
と体育会系ゴリ。

「ど、ど、どういう意味。それっ!」

「はあっはっ!
 いい生地だよ!いい生地だよ。」
___________________________

突然地震が発生。

「きゃー!地震!」とクミ。

「デカいぞー。こりゃ。」と野崎。

◆ゴリは即座に自席に隠れようと。
画面内で、中央から左へ遠のく。

クミは御盆に乗せたお茶がグラつき
床に落としてしまう。

無線機の隣りの机。その上の花瓶。
生けた花も花瓶ごとグラつき、割れる。
この時は、割れたであろう、音のみ聞こえる。

「収まったようだな」と鬼。

「あはあ。びっくりしたあー。」と
クミとシンコ。

「参ったなあ。
 本当に俺が背広着たせいかな?」と純。

「んーぃっ!」と純は
ゴリ席を見遣る。

地震は鬼より怖いゴリ

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暴力団、ヤクザ、チンピラ輩には
滅法強いゴリが自席机の下に
身体ごとスッポリ隠れて出て来ない。

やっと、ネズミの様に🐭
顔をひょっこり出すゴリ押し。

「おいー気をつけろよ!」と純に。

「皆さん、気を付けて下さいよー。
 今のは前触れかも知れないですからねー。」

「いやいや、笑い事じゃないですよ。
 何が恐いったって、地震くらい
 恐いものは無いんですからね。」

「いやいや、ホント。
 ゴリさんの云う通りだ!」と野崎。
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週刊誌を見ていた野崎。
週刊読売かな?

「あー。ボス。これ見て下さいよ。
 何しろ死者推定300万と云うんですから、、」

野崎は、雑誌の大地震の記事を見せた。

「はあ。確かに酷いらしいなあ。
 今東京が大地震に襲われたら。」

◆このシーンでは、
裕次郎は「だいじしん」と発音している。

しかし、そのあとの
桃井かおりの台詞では、
「おおじしん」と発音している。
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🟣太陽!蘊蓄話
演技で登場した表現、また台詞について。
初秋の日本語講座 第60話編その1

※何方が正しいのでしょうか?
事前に調べてみました事を、
本編前に、
第60話の前振りアイテムとしてご紹介
しております。前振りをご覧下さい。
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井上堯之バンド♫
「サスペンス2#2」

記事を執筆したのは、
科学技術庁 防災対策研究所の技官である
中原和己(大塚国夫)。

Wikipediaによると、

🔵科学技術庁とは、
かつて存在した日本の行政機関のひとつ。
科学技術に関する行政を
所管する総理府の外局であった。

中央省庁再編によって廃止され、
その所掌事務は
内閣府、文部科学省、経済産業省等に継承された。

2001年(平成13年)1月6日、
中央省庁再編に伴い、文部省と統合され、
文部科学省が設置されたのだ。
通称「文科(もんか)省」だ。
___________________________

ストーリーは、
その数時間前に遡る。

朝焼けの日が差してくる
場所は新宿西口公園。

秋山恵美(桃井かおり)と中原。

恵美が「おじさん」と呟いたあと
中原をナイフで刺して殺害。
何の意識もなく刺殺してしまう。

◆刺殺の音は、
マカロニが暴漢に刺された音と
似ていますね。

近づいて来た仲間たち。

仲間のフーてん(阿藤海、杜澤泰文)らが
側により、中原の遺体を確認した。

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🟣太陽!蘊蓄話
演技で登場した表現、また台詞について。
初秋の日本語講座 第60話編その2

◆フーてん、とは。語源由来辞典より。

フーテンとは、定職を持たず、
特異な容姿をしてぶらぶらと日を送っている人。

フーテンは、元々「瘋癲」と漢字表記し、
常軌を逸した行動をすることや
精神異常、また、そのような人に対する俗称で、
明治時代には、精神科病院を
「瘋癲病院」と呼んだこともある。
「瘋」は精神錯乱、
「癲」は発作的な狂態を表す。
瘋癲が定職を持たずにぶらぶらする人を意味し、
カタカナで「フーテン」と
表記することが多くなったのは、
1967年の夏頃からである。
◆この60話の六年前。
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1967年の夏、
夕方になると新宿東口の芝生に、
汚い風体で髪を伸ばし、
金をせびる若者が集まるようになり、
彼らは奇声を発していたことから
「フーテン族」と呼ばれるようになった。

その後、乞食のような身なりで何もせず、
ぶらぶらとしている人を指して
「フーテン」と言うようになった。

こんな光景を、
「別れは白いハンカチで」にて。

次の回第61話で、映像化されます。
純がまたまたゴリをぶん殴ります。本気で。

この60話でも、ぶん殴りますが。
二週連続で、純に殴られた体育会系。
カタカナ表記になったのは、
1960代にアメリカから広まった
「ヒッピー」の影響である。

◆79年登場のスニーカー五代潤も、
単身アメリカに渡り、ヒッピー生活を
送っていたと、自身の台詞に登場する。
日本に帰り、フーテン暮らしをしていた時、
ボンと出会う。これをキッカケとして
刑事になる事を決意する。

※よー勉強して試験にパスして、
2年間の交番勤務から刑事へ。
即ち(司法捜査官)になれたもんやな?
不思議と云えば不思議。
ヒッピー帰りは警察官に成れるんか?

第400話にて、
「ほう
 ボンが、お前の人生を変えたのか?」と山田署の滝。
___________________________

◆ストーリーに戻ります。

「エミっ!」とフーてんの男。

「死んじゃった」と女。

数時間後。

七曲署鑑識の高田助手(北川陽一郎)たちは
検証を始めている。

死体は担架で運ばれていく。
そのとき、一係の面々が到着。

「あー。ちょっと。」と
野崎が死体の顔を捲り、確認。

純は、スーツ背広を脱いで
いつものスタイルに戻っている。
着替えて来たのか、
署に置きっぱしなのか?不明だ。

高田は、
「死後約4時間、細身の刃物で
 心臓を一突きです。それじゃ。」と。
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殿下も、鑑識と一緒に
先に検分していた。

「あ、おーはょーす。」と殿下。

※さっき署に居たばかりじゃないの?

「あ、ごくろーさん」と長。

「害者の身元は?」

「ええ、ポケットに免許証と身分証が
 入ってました。それに財布もそのまま。」

「科学技術庁 防災対策研究所。技官。
 中原和己。35歳。」

◆50年前の35歳は、
現代令和の35歳とはかなり
男としての風貌が異なりますね。
最近の35歳はまだ「チャラ気」が残ってますね。
男らしさの風格に欠けるね。
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「聞いた名前だなあ?」とゴリ。

「あれだあ?!、
 あの地震の記事を書いた人だよ。」と野崎。

「あーそうか?道理で僕も
 どっかで聞いたような名前だなあ、と
 思ってましたよ。」と報告した殿下。

「気の毒になあ。
 もっともっと地震の恐ろしさを
 皆に知らしたかったろうに。」とゴリ。

「ほら。三万円も入ったままなんですよ。
 物取りじゃないっすね。」

「だろうな?、全然抵抗の跡が無かったよ。」

「顔見知りの犯行ですか?」と純。

「ーん。多分なあー。」と野崎。
「こりゃあ、ちょっと手間掛かりそうだなあ?」
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場面は、変わって七曲署取調べ室。

夫人の中原弘子(伊井利子)は号泣し、
取り付く島がなく、泣いている。
◆マカロニ時代「鬼刑事の子守唄」
以来の二回目の出演。
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🟣太陽!蘊蓄話
演技で登場した表現、また台詞について。
初秋の日本語講座 第60話編 その3

「取り付く島もない」の語源
マイナビ(ワーク&ライフ)からの解説。

取り付く島もないという言葉の由来は
航海からきています。
仮にあなたが今、荒れた海を航海していた
としましょう。

あなたは「このままでは船が
ひっくり返りそうなので、なんとか
どこかにすがり付きたい」と考えています。

しかし、着岸できるような島が
見つからない状況であったとすれば、
何も打ち手がありませんよね。
このような様子を
慣用句にしたのが「取り付く島もない」です。

つまり、
頼るところ(例でいうところの「島」)がないと、
どうすることもできないというわけです。

◆殿下の「島公之」ではおまへん。

◆また、取り付く暇もない。とは誤り。
ほんで、皆様方、
意味を取り違えないように。
日本語の表記、表現には深い意味がある。
もっと沢山本を読みましょう。
___________________________

話を切り出せない山村とゴリ。

「お気持ちはよく分かりますが、」

しかし山村はゴリと顔を合わせる。
まだ泣き続ける。

太陽!二回目の出演。

やっと
「すみません」と夫人。

「ご主人が誰かに恨まれている、と
 云うような事は、、」
やっと山村が問う。

「いいえ。主人に限って、、
 地震の事しか頭に無かったんですから。」

「地震の事しか、ねえ。」と山村。

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次は、中原の勤務地。

科学技術庁災害対策研究所を訪ねる。
訪問者は、野崎と純。

「賭け事はしませんし、
 愛妻家で子煩悩で、楽しみと云えば、
 酒くらいですか。」と主任。

「で、飲みにいくのは、
 だいたい何処?」と純。

「新宿のようでしたね?
 後で同僚の者に聞いてもらえば
 分かると思いますが。」

上司だろう、遠井主任(片山滉)は返答する。

「最近、特に昨日ですが、ね。
 何か変わった様子は
 見えませんでしたか?」と野崎。

「さあ、これといって別に、、、
 昨日は休んでいましたし。」

「休んだ?休暇ですか?」

「いや。少し身体が怠い(だるい)とか言って。」

「そーいえば、あの電話の時に
 妙な事言ってましたねえ。」

「妙な事?」

「実は私が中原の電話を受け取ったんですが、
 その時、、、」


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◆ここで、井上堯之バンドでない、
初期のマカロニ時代の効果BGMが。
これも東京バイパス指令時代のものか。
第42話「知らない街で、、、」でも間奏された。

「暑さ負けだろう。二、三日
 ゆっくりしたまえ。」

「主任も、どうぞお元気で、、」

「おいおい。遺言みたいな事云うなよ。」

「遺言は、良かったなあ。
 は、は、は、、」ここで電話は切れる。

◆近頃では、
「暑さ負けだろう」とは殆ど言わない。

「熱中症?だろう」と云うのではないか?

※1974年では、熱中症と云う言葉さえ、
無かったのだ。また、終盤の太陽にほえろ!
にも「花粉症」と云う言葉が、ドック時代。
80年代初期。マイコンの台詞に初めて登場する。
花粉症もこの70年代には無かった。

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場面は、一係の鬼の席。


もうすぐ壁時計は午後3時。

「なるほど遺言かあ?
 普通じゃないな。シンコ、、
 鑑識の報告は?」

「虫歯以外は全くの健康体です。」

「ただ、被害者のワイシャツに口紅が。
 奥さんの口紅を鑑識に回して
 調べて貰ったんですが、違うんです。」

◆久しぶりの関根恵子の
ちょいと長い台詞です。

「じゃあ、女か?」と野崎。
「妙だな?」と鬼。

「奥さんの話からも、
 勤め先の同僚からも、今のところ、
 女性関係は浮かんできていない。」

「ボス。どうも解らないんですが。」
「何だ?」

殿下は、
「もし、犯人が女性だとすると、
 大の男に抵抗する暇を与えずに、
 ひと付きで、殺す事が出来ますかねー?」

「絶対無いとは、言えんな。 
 余程被害者が油断してたか、或は
 刺されるのを待っていたか?
 どちらかの場合はな?」と鬼は云う。
___________________________

「待っていた?」とゴリ。
ゴリを向いて
「そんな馬鹿なあ?」と殿下も。

「どちらにしても、
 この謎を解かない限り、
 事件は解決しない。
 しかも手掛かりは只一つ。
 口紅を残した謎の女だ。」

「ちっ!新宿に於ける中原さんの
 行動半径を徹底的に洗ってみましょう。」
と山村。

「長さんと殿下は、中原家に行って
 探りを入れてみてくれ!」

純だけ。鬼の前にぼそっと立つ。

「すみません。」
「俺。ちょっと気になる事が
 あるんすけど。」

「何だ?」
___________________________

井上堯之バンド♫
「愛のテーマ1B」


「中原さん、って、その口紅の女性を
 愛してたんじゃないでしょうか?」

「それは、お前の勘か?」

「い、やー。
 自分でもよく解らないんですけど。」

「只、新宿って云う街には、
 そう云う破滅的な、、

 それでいて真剣な、、
 そう云う 若い連中が沢山いるんです。」

「俺、あの街が好きだから。
 何となく分かるんです。」

「口紅の女が、そう云う若い女の
 可能性がある、って云う事だな。」

「はい!」と純。

シンコを向いて鬼は、
「シンコ。ジーパン手伝ってやれ。」

「えっえー?、、はい。」

ここから、第53話登場篇、テニスコートの捜査以来、
純とシンコの共同捜査が始まる。
ほぼ1か月半ぶり。
___________________________

場面は、居酒屋。

女将(上野綾子)は、
「ええ。中原さん、よく
 お見えになりましたよー。
 お一人の時が多かったみたいですね。」

「最後に現れたのはいつですか?」と山村。

「ええーっとお、あれは

 先月の末でした。8000円ほど、

 お勘定が溜まったのを

 全部お支払下っすって、其れっきり。」

山村とゴリは、顔を見合わせる。
___________________________

変わって場面は、中原家。

「ええーっ!?300万?」と野崎。

「定期預金を!?」とは殿下。

「つい、今し方気付いたんです。
 三日前、全額解約して引き出して
 ありました。」

「何処にも無いんですね、それが?」

「はい。」

「あのおー。恐縮ですが、
 ちょっとご主人の書斎を、、」と野崎。

書斎にカメラは移動。

「長さーん。凄い資料ですねー。」

見ても解らない殿下。
解らないから、本棚に手を伸ばさない。

地震に関する膨大な資料と
研究中の書き留めた便箋を読む長。

【東京大地震、災害に関する、、、の現状】
長さんも読んでも解らない。

「うーむ。」と野崎。

その本棚の上に置いてあったのを
殿下が発見し、野崎に。

___________________________

ザ・ディランIIの
「男らしいってわかるかい」のレコード。

「プ。カ。プカ」

「何だこりゃあ?」と野崎。
「さあ?」と殿下も。

西岡恭蔵「Kyōzō Nishioka」 |||
プカプカより。
この動画の最後に、桃井かおりが、他の映画で出演した
絵が拝める。

___________________________

場面は、
山村とゴリはラーメン屋にて。

「冴えないねー。
 七軒廻って、収穫ゼロかあ?」

「しかし、どの店でもツケを全部払って
 あとは現れてないって、
 コイツは何かありますよ。」

山村は、
「新宿のどっかに
 手掛かりがある、って云うのは、
 コイツは確かなんだがな。」

「貸し替えたんですかねー。
 死ぬ前の二日間。
 行き付けの店の何処にも
 現れていません。」とはゴリ。

「つまり、気まぐれに
 何処かの店にぶらっと入った。
 そこで何かが、あったー?」と山村。

「中年の真面目人間が、
 一度は行ってみたい店が、
 新宿にはいっぱいありますからねー。」

「ほらーっ、半分素人。ふーてん娘を
 雇って、おじ様族を、、そお、
 喜ばす店ですよー。」

◆京都市木屋町にも、そんな店は
沢山あります。今でも。

「そいつだーあ。
 片っ端から当たってみよーう!」山村。

「ちょ、ちょー!山、山さーん?!」

まだラーメンが残っているゴリ。
___________________________

◆山さんはラーメンを一杯だけ。
少しずつ、食べはります。
ゴリはいつものように、二杯。
しかも、がっついて食べる体育会系。
だから時間が掛かるんやでー。
↑の画像で、良くわかる。
テーブルの上に、お鉢が二つ。

井上堯之バンド♫
「サスペンスM1」テレビバージョン
↓はレコードバージョン。

サスペンスだけでも、
楽曲は沢山あります。

ラーメン屋を、出た山村とゴリ。

松阪屋という店を通り過ぎて、

何処で買ったか、今度はパンを齧ってる。

深夜喫茶店ロンドンをも過ぎる。
そして、また三軒目。
___________________________

山村とゴリは、

CLUB「Min」に立ち寄る。

「ええ、最近二、三度。
 お見えになりました。」とママ。

「あまり目立たないお客様でした。」

「恵美ちゃん。恵美ちゃんー?」

「なーにぃ?ママー?」

「中原さん。覚えてるでしょ?」
「もちろん?」と恵美。

「最後に来たのは、いつ?」とゴリ。

「えーっとおー?」
「先週の土曜日かなあ?
 これ貰っちゃったあー。」

腕時計をプレゼントされ、
自慢げに見せる幼稚な口調。

「その時、何を話してたのかな?
 何か変わった様子は無かったかね。」

「うーうーーん?いつもと同じ。
 地震の事ばっかし。」

「一体、どうしたんですか?
 中原さん。」とママ。

「殺されたんですよー。
 今朝西口公園で。」

「まあ。いやだ!」

しかし、恵美は気にも留めずに、
山村、ゴリを見ようともしない。
良く知っている客が、殺されたと言うのに。

山村の勘は、的中したか?
ヤマ勘が閃く。山村の直感だけに。

コイツかも知れない。
殺(や)ったのは。
___________________________

一係に戻って、野崎、殿下が
中原家から拝借して来たレコード。

これに針を乗せてみる。

◆◆最近では、
レコードや簡易プレーヤーが
無くなっていっている為、
レコードに針を落とすことも出来ない
若者が多くいると聞きます。

🟠貴方は、レコードプレーヤーに乗せた
レコードに針を巧く落とせますか。
昔のアナログ習慣が徐々に
薄れていっている時代。令和です。

50年前なら、誰でも出来たことが、
今では容易(たやす)く
出来なくなっているのです。

___________________________

♫ 俺のあんこはタバコが好きで
 いつもプカプカ、プカー、、

ここで、純席の電話が鳴る。

山村が電話を取る。

「はいっ!おー!ジーパンか?
 やっぱり手掛かり無しか!?」

「おい、この歌聴いてみろ!
 中原さんの書斎にあったレコードだ。」

♫ 幸せってやつがー、あたいに判るまでー。
 あたい、タバコは止ーめないわー。

「プカプカ。分りました。」と純。

夜の街を、聞き込みする純とシンコ。

シンコは純の腕を手繰り寄せ、
恋愛中のカップルを装う。

シンコは、3か月前に
結婚まで意識していた、
親愛なるカメラマン尾沢康彦と死に別れ、
この時期は、恋愛に飢えていたか?
仕事よりも、恋愛が女の夢?

◆これは、第48話「影への挑戦」を
ご覧下さい。🔴マカロニ時代最優秀作品です。
シンコの悲哀なるも壮烈な愛を描いてます。
当蘊蓄話も既にアップ済みです。

聞き込み捜査中だが、
タバコ臭くて、汗臭い、
パチンコ好きの男の匂いプンプン。
そんな情に熱い純が、
実は気になり始めていたか?

仕事に託(かこつ)けて
新人純と引っ付くチャンスは
逃したくなかったか?

白いネオンが眩しい
喫茶店シルビアの前。

その片隅にある「ライトハウス」。
___________________________

ここに入店した。


店内入り口から、先程聞いた、
♫ 「プカプカ」が流れくる。

プカプカより。

「いらっしゃい。何するう?」

タバコを吸いながら接客する店員。

しかも、客席の灰皿に堂々と
灰を落とし揉み消す。
平成、令和では怒られんで!

「うーんと、水割二つ。」と純。
シンコも頷く。

「それからね、ここに
 中原さん来なかったあ?」と純。

「中原さん?」

「あー、この歌が好きなー。
 一見学者風の中年のオジさんよー。
 分かんないー?」とシンコ。

「あー、ああー?
 あの人かあ?あの人なら今日はまだ
 見えてないなあー。」
「あの人、恵美ちゃんといつも一緒だから
 恵美ちゃんが来たら
 聞いてみるよー。」

「恵美ちゃん、って?」と純。

「??」とシンコ。
___________________________

井上堯之バンド♫
「サスペンスM1」
テレビバージョン

その仕事終わりの恵美を、

外で張り込むゴリが、
尾行開始する。

場面は、山村とゴリが
先程訪問した「Min」。

ママの野川京子(山吹まゆみ)は、
弟の、竜神会幹部野川(服部哲治)を
店に呼んだ。

「珍しいじゃねーかよ、
 姉貴が俺に用があるって云うのはよー。」

「偶に店に顔を出したら、
 暴力団は来るなって、
 嫌な顔をする癖によ。」

そこに、夕刊を見せる。

「あー、これか?
 読んだよー。どうしたんだよー。」

「犯人は、恵美よー。」
「ええーっ?何だってえ?」

「殺されたのは、ウチのお客さん。
 夕べこの男から、店の恵美に電話が
 掛かってきたの。
 しかも、恵美が帰るとき、
 店のキッチンから包丁をこっそり
 持ち出したのを、あたし見たのよー。」

「狙いは300万かあ!?」
「少しお金が要ることがあってね。
 半分ずつで、150万。
 しかも警察に訴える恐れもないし、
 どうお?」


___________________________

場面は、先程のライトハウス。

ここに恵美が入店。


「恵美っー」と髭の店員。

井上堯之バンド♫
「サスペンス2#2」

「おっー!皆んな居るぞー。」

「遅いじゃねーか?」

「違うのおー。お酒飲み飲みしたいわねー。」

純は、あの子が、恵美か?

仲間のヒッピーたちと
話が瞬時に盛り上がっていく。

「困ったわねー、どうやって接近する?」
とシンコも。
「どうやって、て言ったって、、」

そこに
竜神会野川と弟分輩たちが入店。

「おー、恵美。やっぱりここか?
 ちょっと話があるんだ。来てくれ。」

「い、やあー。」
「大人しく着いてこいよー。」

「嫌だーって、言ってるじゃん!」
「構わねーから、引き摺りだせえー。」

井上堯之バンド♫
「青春のテーマM1」

アップしたのは、
太陽にほえろ! 青春のテーマM1
By 井上堯之バンド Cover cos cosさん
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恵美を強引に連れ出そうとしていた。

その時を狙って、純は飛び出す。

広場で野川たちを蹴散らすが、

張り込むゴリも、尾行し

乱闘に膨れ上がる純を止めようと、

「おー、おーい。おー」と
動きを封じる積もりが、

純の左腕から繰り出すパンチが、
ゴリの右頬をぶん殴る。

「あーたー!」

恵美を救出。暫く走り続ける。

「は、は、はーっ!はは。
 凄っごく、強ーいのおー!」

「そうでもないさー。」

恵美は、純が外した手を
また強く握り直す。

「君の仲間、何処に行っちまったのかな?」

「いいのお、気にしないで。
 仲間ならちゃんといるわー。」

「でも、嫌な人たちねー。」

「あのヤクザたち?」

「うん。竜神会のアニキ分で野川って云うの。
 うちのお店のママの弟さん。」

「何か狙われる事でもやったの?」

「知らないよーお」

「でもあいつさあー、時々お店に来て
 あたしの事口説いてんのおー。
 馬鹿みたーい!」

「あーっは!それよりさあ!
 あんた当分サツには、気ー付けた方が
 いいよー。」

「どうして?」
「あんたが、最後にぶっ飛ばした奴ね、
 アレ、デカ!」
「何故、知ってんのお?」

「お店に来たのお。
 あたしシツコく聞かれたんだあ。」

「さては、何か悪いことしたかな?」

「うん。人殺しちゃったあ。」

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井上堯之バンド♫
「青春のテーマ -愛-」  ←正式名称はこれ

ジーパン愛のテーマでは、ありまへん。

「あたし、ね。恵美。」

「お、俺は。ジュン。」

「ジュン、飲みに行こう!」
「これから、、あ」
「あたしと一緒に乾杯して、、。
 新宿の為に。。。」

乾杯する二人。


「うーーんと、新宿のために。」
「えーーと、人を殺した恵美のために。」

「本当?  殺したのお!?」

「ジュンは、人殺したいと思ったこと
 ないの!?」

「ええっ?」

「ジュンはさあ、人殺したいと思った
 ことないの!?」

「いやあー」
「好きで好きで堪まんない人が
 出来たらさあ、きっとそう思うよ。」

「好きだから殺したのか?」
「誰殺したの!?」「恋人?」

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「恋人おーっ?何のこと?」

「人を殺した話、さあ。
 今そー言ったじゃない。」

「馬鹿っ!冗談よ、うーっ。んはあ。
 こんな話じゃ、さあお酒呑もう。
 明日は明日の風が吹くって、さあ。

 だってねえ、大地震が来たら皆んな
 死んじゃうんだもんねー。
 そうでしょうお。

 ああ、注(つ)いでもっと。
 それじゃあ、Nowな新宿の為に。
 そして今日の為に。
 今この瞬間のために。
 乾杯!!」

◆ここのシーン。
桃井かおりの台詞で、
「大地震」を、おおじしん、と発音している。

◆また、Nowな新宿の為に。
近頃では、Nowな、とはもう死語である。

純は、恵美の得体の知れない
妖しげな天真爛漫さの陰にちらつく、
そこはかと無く隠し持っている、
女は誰でも持っている

天性の豹変さの裏に
少し見え隠れする穏やかさを感ず。

誰でも持ち合わせている、
【面従腹背】を感じ取る純。


「こんな娘が、人を殺すだろうか?
 こんな娘が、、、」

ここまで、23分21秒。
ここで、最初のコマーシャル。
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一夜明けた柴田家。

井上堯之バンド♫
「仲間のテーマ」

母の用意した朝食。
母たき(菅井きん)は、

「何処で、誰と飲んでたの?」

「新宿で、女の子と」

「ええっ!
 何だってえー!」とたき。
「そ、その女の子、どうなんだい?」

「髪が長くてね、綺麗な子だったね。」

「あんた、まさか?」

では、今日はここまで。
あとは、第二ステージで。

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