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【時事抄】 快進撃サイゼリア

サイゼリア、この値段でこの美味しさ。。。旨い。プリン大好き。

イタリア人も大好きだという日本発祥のイタリアンチェーン「サイゼリア」が節約志向が進む中国本土の人々も心も捉えているという。日本経済新聞が報じた記事を要約しました。

<要約>
サイゼリアが倹約志向の強まる中国市場で業績を伸ばし、過去最高益を記録した。24年8月期連結純利益が前期比58%増の81億円。上海や北京での売上高は2~3割上昇した。物価高に逆走する低価格戦略に磨きをかけて内外で出店の勢いを加速している。

中国などアジア事業の営業利益は前期比38%増の116億円、全体の約8割を稼ぎ出す。9日午後の記者会見で、松谷秀治社長は中国への出店をさらに増やすと語った。低価格が支持されるのは、中国の一部で日本のバブル崩壊後に似た状況が出現しているからと見ている。中国・広州店では「ミラノ風ドリア」を18元(約380円)で売る。

◆広州に新工場
3000万ドル(40億円強)で広州市に建設する新工場では、ソース、パスタ、ピザなどを製造する。すでに着工開始し、26年1月の本格稼働を予定する。中国国内約500店から店舗数を倍増することを見据えた新工場で、仕込み作業を工場で行うことで店舗への安定供給と店舗の生産性向上を図る狙いだ。

一方、日本国内も改善の兆しが見える。国内事業は既存店売上高が23%増、同客数は19%増、営業損益は前期14億円の赤字から27億円の黒字へと転換した。黒字転換は5年ぶり。すかいらーくHDなどが既存店客数1割弱にとどまる姿と対照的だ。

◆国内2000店の大台も視野
国内も出店攻勢を強め、現状の約1000店強から今後10年で1500店舗まで増やし、いずれ2000店の国内外食でトップ級の座を視野に入れる。国内の小売り・外食各社の多くが原材料高騰を価格転嫁で乗り切る構えを見せる一方、サイゼリアは強みの低価格戦略を貫き磨きをかけている。

自社を製造小売り(SPA)と位置付け、食材調達や加工を自ら手掛け、コストを圧縮する。調達先も絶え間なく見直し、サラダやピザなどを製造する新工場を岐阜県内に建設すると発表した。食材の多くは輸入品が占めて円安は逆風が吹くが、自社努力で吸収する覚悟だ。

◆ファミレス、ファストフード利用層をつかむ
松谷社長の仮説は、ファストフードの低価格を求める客層、ファミレスの味や接客を求める客層、双方から支持を得ているというもの。サイゼリアの客単価は約820円で据え置く。マクドナルドなど値上げを続けるファーストフード各店の現行価格単価と同水準だ。物価高に逆行したサイゼリアの「逆張り戦略」が新たなビジネス機会を生んでいる。

国内外の人気を追い風に25年は連結売上高を前期比13%増の2636億円、営業利益は12%増の166億円を見込む。出店は前期比2倍となる国内30店舗増、海外で前期比6割増の136店舗の開業を予定し、ベトナムへの進出も決めた。将来は欧米進出にも意欲を示し、バブル崩壊後の日本で磨き上げた低価格戦略を武器に、世界のイタリアンチェーンへと脱皮を目指す。

(原文1909文字→1173文字)


サイゼリア創業者の正垣泰彦氏は、東京理科大の理学部物理学科を出た飲食業トップという異色の経歴の持ち主です。10年以上前、2011年に出版された著書『おいしいから売れるのではない 売れているのが美味しい料理だ』は飲食店経営のノウハウが実に論理的に展開されて、その語り口が気持ちよい。今も時々読み返しますが時代を超えた名著だと思います。

久々に著書を紐解き、印象に残った言葉を拾い上げてみました。

ほtんどの人は売上が増えれば、利益も増えると思っているが、それは違う。利益は売上ー経費。売り上げが増えなくても、無駄を無くして、経費を削れば利益は増える。経営者は日頃から、売り上げが減っても利益が増える店を目指すべきで、売上が減って利益が出ないから困るというのは、今まで無駄なことをたくさんしていたというのに等しい。

一番効果があるのは、何かを改善しようと考えるのではなく、今までやっていたことをやめることだ。

料理は衣服選びに似ている。例えば、結婚式なら礼服、仕事ならスーツや作業着、近所への買い物ならTシャツとジーパンだろう。高価な布地を使っていたとしても、礼服は近所の買い物に適さない。結局、良い商品とはその用途に適しているか否かで決まる。新メニューを開発するときも、どんな料理が店に合うのかをまず考えるべきだろう。

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