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【時事抄】 日本株大下落の惨劇、本物の株価上昇に向けた条件

最近は金融の話題を取り上げてばかりですが、歴史的な変動が続くので仕方がない。呆然とするしかない一週間でした。週明け、凄まじい日本株下落は史上最大の下げ幅を記録し、その翌日は史上最大の上げ幅だそう。

「NISA制度は政府の陰謀」「利上げ日銀が諸悪の元凶」のような稚拙な言説が飛び交ってますが、株価急落の直接の原因は、日本当局(主に日本銀行)の足元を見て円売りポジションを膨らませて続けた外国投機筋たちです。

今回の乱高下の原因を分析した日本経済新聞の記事を要約しました。さすがは経済専門誌です。

<要約>
日本株の歴史的な乱高下の背景に、日本の「超低金利・低変動・円安」を前提に過剰なリスクを取っていた投資家の存在が浮かぶ。1987年の「ブラックマンデー」を経験したベテラン運用者の目には、今回の相場変動に既視感を覚えるという。タダ飯食い(フリーランチ・トレード)と言ってよい、容易に稼げる投資環境を作ったのは、日銀の超低金利政策だった。

円を低金利(安価な調達コスト)で借り、米ドル・新興国通貨等の高金利通貨に投資する「円キャリー取引」が活況を呈していた。調達金利の支出と運用金利の利益の差で、安定した金利差収益を得られたからだ。

また一部投機筋は、日本株トレードに「タダ飯」食いの機会を見た。米ドルを保有する海外投資家が、日本株を買う円の為替変動を抑える「為替ヘッジ」を組み合わせると、実質的に「低金利の円を借りて高金利のドルを貸す」ことになる。日本株の値上がり益、これとは別に日米金利差による収益も手にすることができた。

低金利・円安・株高が継続すれば「1度で2度おいしい」取引だった。専門家筋は「レバレッジと為替ヘッジをつけて日経平均先物に投資するファンドも増加していた。それが相場変動を拡大させたのではないか」と話す。

膨大な政府債務で日銀は利上げに動けない、為替の急変動も起こらない、という「過信」。加熱するキャリー取引に取り残されたくないという「群集心理」。これらが17年ぶりの規模に膨れ上がった円売り残高をもたらしていた。

しかし7月末の会合で日銀は利上げを決め、その継続も示唆した。米国では景況不安からの利下げ観測も重なり円高が進んだ。投機筋は損失回避のため円の買い戻しを急ぎ、7月末から3週間で円売り残高は6割減少した。

今回の円高・株安でこうしたファンドは大損失を受けた可能性が高い。月曜日午後に日経平均株価の下げ幅を拡大させたのは、ファンド勢が換金目的のために保有する株式などのリスク資産を投げ売りしたからだ。

個人投資家もまた、資金を借りて株投資する「信用買い」を膨らませていた。保有銘柄が大幅に下落すると、投資家は担保にあたる「証拠金」の追加拠出を求められ(追証)、証拠金捻出のため換金売りが大量に発生した。

世界的にも日本株の下げが突出した。円高の重荷に加え、アジア市場の中でも取引量が桁違いに多くて流動性が高く、投資家には「売却が容易」だったことも裏目になった。また相場の方向感や変動幅を基準に、機械的に売買する戦略ファンドの存在も下落に拍車をかけた要因との指摘もある。

過去の急落局面の多くでは、相場が安定するのに時間を要した。18年初頭の米中摩擦が強く警戒された際、日経平均は持ち直しまでに3回の安値をつける「3番底」を形成した。コロナ禍で市場が動揺した20年は、急落前の水準を回復するまで半年を要した。記録的な乱高下となった今回も、一本調子の戻りは期待できないと見る向きが多い。

(原文2076文字→1224文字)


今回の史上最大の下落を通じて判明したこと。それは、40年ぶりに高値を更新し、4万円を突破した日経平均株価の正体とは、「1つで2度おいしい」を狙った外国投機筋からの資金流入が作った砂上の楼閣だった、というカラクリが露見したことです。

今後も続くと思われる相場の乱高下を通じて、実は真の日本株の復活に期待しています。それは新NISA制度を背景に長期インデックス投資に目覚めた日本人が自国株式へ買い向かうとき、多少の金融環境の変化にも動じない底堅い株価を形成することを意味します。

今後も緩やかなインフレが続き、企業の名目上の売上も上がり続けば、株価も自然と上がります。日本人にとって日本株は為替リスクも無い。「長期・積立・分散」の基本に沿って、多くの日本人が低コストで例えば日本株高配当投信のような金融商品に群がってくると、次の日本株上昇は底堅く、中身の伴った”本物の”高値更新を迎えます。


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